第五十四話 エーレ聖王国
次回の更新は金曜日です!
土日は諸事情によって家を空けるので、執筆作業が出来るかわからないので更新は未定です。
一応、火曜日か木曜日には間に合わせたいと思っています。
エーレ聖王国。
大陸北部最大の国であり四大勇者国に名を連ねる大国。
元々は弱小国だったが、現王の手腕と彼が召喚した勇者達の活躍によって一気に大国へと成り上がった。
また、王自ら前線に立ち戦線を切り開き次々と国を征服して行く様から征服王と呼ばれ北部では恐れられ尊敬されている。
実力主義の国であり力のある者ならば冒険者でも傭兵でも奴隷でも平民でも関係なしにこの国で一定の権利を与えられる。
そして王に見定められた者は、騎士団などにスカウトされたりなど持たざる者達へのチャンスの国としても有名である。
そして聖都アレクサンドリアには、エーレ聖王国で最も有名なのは闘神場コロッセオと呼ばれる巨大な遊技場。
屈強な戦士と戦士が殺し合ったり、戦士と魔獣が死闘を繰り広げる催し物であり、戦士達にとっては夢を掴む場所でもある。
ーー
街を出てから数日掛けて、俺たちはようやくエーレ聖王国に辿り着く。
そして、聖都に立ち寄っていた。
聖都の名はアレクサンドリア。
古代ローマを彷彿とさせる街並みが一際目立った城下町である。
綺麗で古風な街並み。
世界史などの授業で学んだような、古代ローマの服装や武具、道具などが売られている店舗も並んでいる。
コレが、大陸最大を誇る勇者国の中心都市…か。
思った以上に大きいな。
ヴィーナス勇王国では、まともに王都を見る機会もなく痛め付けられて神殺ノ遺跡に追放されたからな。
ああ、思い出したら腹が立ってきた。
「うむ、凄いではないか。」
「ああ。」
「聖都アレクサンドリア…初めて見ました。」
ディナとアルレイヤも驚嘆している。
ようやく、一安心みたいな表情も感じ取れる。
今日まで数日間、ずっと野宿だったしな。
あれから、追手の気配は感じない。
やはり、あの工作が功を奏したというべきか。
旅の途中も、追っ手が放たれたという噂は聞かない。
叛逆姫の死亡。
円卓十剣の全滅。
よく聞くのは、これだけ。
各国の情勢はいまだに不明だ。
聞けば聖王国は、聖王国は武力の国であると同時に情報の国でもあると聞いた。
この聖都では、新たな情報を得られる事が期待できる。
「…………」
聖都の大門を振り返る。
門は簡単に通れた。
検問官に冒険者兼傭兵だと説明し印を見せると歓迎してくれた。
やはり、傭兵や冒険者でも実力のある者は誰でも通れるというのは嘘じゃないらしい。
帝国にはとっくに伝わっていると思うが、偽装には気付かれていない?
いや、それはないだろうと考えた方がいい。
聖王国にもとっくにアルレイヤが生きているという事を知っている。
そう思っていた方が、いざという時に行動しやすい。
となると、聖王国はさほどアルレイヤの生死、帝国に協力的ではないのか?
「取り敢えず、今の所は大丈夫そうだ。」
「ええ。」
右隣を歩くアルレイヤにそう声をかける。
今の彼女は姿を変えていると同時に、兜を付けている。
数日前に寄った街で買った英雄王ギルガルの配下が付けていたとされる兜を付けている。
目元と鼻部分はバイザーになっていて、耳元にあるスイッチを押すと両側からバイザーが装着される。
偽名も少し変えて、アルトと呼んでいる。
「そう言えば、帝国は円卓十剣が最強戦力だがエーレ聖王国はどんな奴らが居るんだ?」
「エーレ聖王国には"五勇士"と呼ばれる全員が勇者で構成された最強の戦士達が居ます。かつての戦争では征服王と5人の勇士だけで数万の軍を壊滅したという噂を聞いた事があります。」
「へぇ〜」
エーレ聖王国の五勇士、か。
やはり、どの勇者国にもそういった最強の戦力が居るのか。
「今の五勇士なら、弱体化した円卓十剣と戦えば勝てるのか?」
「わかりません…が、円卓十剣が負けるとは想像もつきません。」
ほう?
「我々が相対したパーシヴァルは円卓十剣"第六席"です。つまり、彼よりも強い円卓十剣があと5人いるという事です。中でも円卓十剣の上位3人は神に匹敵する力を持っていると。」
「フッ、我らに匹敵すると?」
「実際、私は彼等の闘いを見たのは一度だけです。それも、数百年前に…なので上位3人の実力は未知数です。それ位、やると思っていた方がいいと思います。」
神にも匹敵する…か。
パーシヴァル達を失った所で帝国としては痛手にならなかった、と。
いや、それはないか。
円卓騎士団も数百人失ったんだ、損失はない…そんな考えは生まれないか。
数十人なら分かるが、流石に百という数は大きいだろう。
「それじゃ、宿を探すか。」
エーレ聖王国には一日だけ滞在する予定だ。
あまり長く居るのも、良くない。
本当は滞在するつもりは無かったが、幻界領域に行くならば準備が必要になると思ったからだ。
そして、もう一つ。
それは、新たな戦力を探す為だ。
幻界領域の話が本当ならば、この3人だけでは戦力が足りなくなる可能性も考えられる。
なので出来れば、もう一人か二人は欲しい。
が、普通の仲間じゃない。
俺達に絶対的な忠誠を捧ぐ、従順な仲間だ。
そして可能なら、実験したいこともあるしな。
アルレイヤは、協力者だ。
協力者であって仲間ではない。
その忠誠も信頼も、いずれは別つ。
だから、彼女とは対等にWinWinの関係で居なければならない。
仮に、彼女が協力者という立場を超越し寄り添ってくるなら利用させて貰うがな。
あとは、あの迷宮で手に入れた謎の宝玉の解読。
日用品の調達。
ここは、聖都。
見渡すと、良さげな店が次々と目に入る。
後で、ディナと周ってみるか。
「ここだな。」
ようやく、宿を見つける。
程よく古そうな、宿だ。
人の往来も少ない。
入る前に、確認する。
「俺とディナは一緒で、アルレイヤはどうする?」
ここは、アネットとは違い人が多い。
アネットは人が少なく、嫌でも街を固まって歩いていると視線が刺さる。
冒険者や傭兵だと尚更、歩いている者が目立っていた。
だから、別々の行動をとりなるべく人の目に付かないように気を付けていた。
が、ここは大国の聖都。
人通りは、アネットと比べても桁違いだ。
傭兵や冒険者など、他所から来た者達が多く歩いている。
俺達を奇妙な目でみて来る奴は居なかった。
それに、街には俺達と同じような仮面を付けている人間も居た。
追っ手の存在も暫くは考えなくて良さそうだ。
念の為に警戒しているが、そこまで心配しなくても大丈夫だろう。
少なくとも、今はな。
此処ならもう、別々に行動をする必要もないだろう。
しかし、宿はそうはいかない。
アルレイヤは女、俺は男。
それに、ディナはほぼ毎晩夜這いを掛けてくる。
そんな部屋に純粋な彼女を一緒にしておくのは申し訳ない。
「楽しみだな、リュートよ。」
どうやら既に、ディナはやる気満々らしい。
豊満な胸を俺の腕に押し付けてくる。
だから尚更、部屋は別々にすべきだろう。
彼女と俺が致している所を見せる趣味はないし、見て欲しくもない。
それくらい、俺も配慮は出来る。
「?私も同じ部屋で構いませんよ?」
「いいのか?」
少し、固まってしまう。
案外、すんなりと返事をしたな。
「はい…?」
本当に大丈夫だろうか。
少し心配だが…まぁ、本人が良いのならそれで良いだろう。
そんな訳で俺達は、宿に入る事にした。
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