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邪に堕ちし神達の番 〜復讐の焔は、世界をも焼き尽くす。〜  作者: ぷん
第四章 円卓十剣、襲来編
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第五十三話 邪龍ノ蛇剣、爆誕。

学業が忙しく、次の更新は未定です。

来週の火曜日か水曜日までにはしたいと思っているのでよろしくお願いします。

そして、俺達は邪の森を抜ける。


アネット小国を通るのは避ける。

人の手が行き届いて居ない道を進みながら、エーレ聖王国に向かう。


地図では、この先に小さな宿街がある筈だ。

まずはそこに向かう事が目的だ。

道中、常に警戒は解かない。


と言っても、捜索の手はあの森で終わっている筈だ。

偽者のアルレイヤの死体を奴等は本物だと判断し、捜索を打ち切るだろう。

更に、念の為に服装と顔を変えている。


幻術を破るような魔法使いや魔導具がない限り、彼女の偽装を見破る事はできない。

この偽装は、聖霊と妖精の力によって扱う事が出来る力である程度は自由に姿を変えられる。


便利な能力だ。


名前も、人前では偽名で呼ぶ事を意識する。

俺達ならともかく、アルレイヤは今…時の人だ。

彼女の名を知る者の中に、彼女がそのような幻術を扱う事を知っている奴が居るかも知れない。


そうなれば、あの死体による偽装は無駄に終わる。


とにかく、気を付けるべきだな。

 

「思ったのですが…リュートとリューでは、誤ってリュートさんと呼んでしまいそうなのですが…」

「たしかに、紛らわしいな。」


かと言って、他の呼び方は分からないしなぁ。


「なら、呼び易いように呼んでいい。本名じゃなければ。」


正体さえバレなければ、どうでも良い。


「そうですね…"王"や"我が君"などはどうでしょう。三人きりの時はリュートさんと。」

「王…か。元姫様に言われると違和感があるからな、我が君でいいんじゃないかな?」


確かに、と。

少し微笑むアルレイヤ。


「我はー?」


物欲しそうにディナが呟く。


「お前はディナで良いだろ…」

「ディナさんは呼びやすいので…」

「ちぇ。」


うーん。

なんか一緒にいるうちに気が付いたが、ディナってガキっぽいな。

見た目や話し方は大人な女性だが、たまに子供っぽい。


「取り敢えず、名前問題は解決したな。」

「ええ、ありがとうございました」


顔だけ向けて、アルレイヤに言う。


「改めて、よろしく」


アルレイヤは、少し間を置いて応える。



「ええ、我が君。」




ーー


アネット小国の北側。

ブリテン大帝国とエーレ聖王国の間には、宿街が幾つも存在している。


俺達は、一日野宿した後にようやく宿街に到着した。

到着後は念の為に、別行動。

宿は同じだが、部屋は別々。

三人での行動は、なるべく避ける。

エーレに辿り着いたら、三人で行動するつもりだ。


この宿街を更に、北に向かうとエーレの王都アレキサンダに着く。


そこを更に北に抜けると、最終目的地。

危険森林地帯、"幻界領域"に辿り着く。


円卓十剣と騎士団の襲撃から1日が経過した。

が、追手の気配はない。

帝国が誇る最強の勇者が全滅した。

そろそろ、傭兵やらが死体を発見した頃だろう。

大帝国がどう動くかはわからないが、少なくとも混乱しているだろう。


勇者国でも最強と名高い円卓十剣と率いていた騎士団の全滅。

そして、アルレイヤの偽者の死体。


どう転ぶかは、勇者国の動向次第。



ーー


体力回復の為にも、少し宿で休む。


仮眠を取った俺は、街を歩く。

ディナとアルレイヤは、宿で寝ている。

起こすのは、忙しない。


街は薄暗く、野外用の照明具の光のみが辺りを照らしている。


闇夜に鮮明に光り揺らめく火の粉が照らす宿街の広場にはたくさんの村人がいる。

旅人らしき人物や傭兵らしき人物が少なからず目についた。

他には、楽しそうに談笑している者。

歌っている者。

踊っている者。

道端で賑やかに酒を飲み交わしている者。


村人によると、今日は村の若者が結婚したという事を祝う為の祭りが行われているらしい。


確かによく見ると、広場には様々な屋台が立っていた。


なんと、都合の良いだろうか。

俺達のような他所の者が偶然、訪れても怪しまれない。

祭りに参加条件などあるはずも無く、疑われる余地はない。


屋台を適当に見渡しながら、聞き耳を立てる。

 が、大した情報はなかった。

驚くことに円卓十剣達の件すら知らないらしい。

アネット小国の方で何かが起こった、というのは知っているようだが。


「…………」


例の件。


今頃は、どうなっているだろうか。


円卓十剣の死体は、魔物の餌になっているだろう。


神龍鎧装によって義手となった右腕を眺める。

まだ、痺れている。

ふと、ルキウスの事を思い浮かべる。


あの時の一撃…ダメージは無かった、が…効いた。

火事場の馬鹿力はレベル差すら凌ぐ、か。

やはり、危険だな。


レベル差が、ステータス差があろうと…油断すれば危うい。

ディナにも言われたしな。

肝に銘じておこう。

 

「ん?」


ふと、気になった屋台が目についた。


「おう、らっしゃい。」


陽気そうな中年の店主が俺に声をかける。


「どうだい?何か、買ってくかい?」


屋台を見る。

被り物や、墨で描かれた一枚絵が置かれている。

確か、アネット小国にもこんな風な感じの物が置かれていたな。

何かの物語の人物だった気がする。


「ふーん。」


一枚絵を手に取る。



「おお、良いものに目をつけるねぇ〜。そいつぁ、英雄ギルガルだぜ。」

「英雄ギルガル?」

「おや、知らないのかい?」


店主が話してくれた。


「『英雄紀伝』という伝承に出て来る英雄達を題材にした実際にあった物語さ。


数千年前、いや数万年前だったか?滅んじまったが、最期まで()()()()()()()()()()を信じて勇者国と戦い続けた英雄ギルガルと仲間達の話だ。

かつて命を救われた神龍が邪神龍へと陥れられた事に憤怒したギルガルがヴォーディガーンを救い出す為に反旗を翻したんだ。


しかし、奮戦虚しく…英雄王と彼の仲間達は壮絶な戦死を遂げてしまうんだ。

勇者国からしたらとんでもねぇ叛逆者だが、英雄王と仲間達の話は大人気でそれを模した被り物や書物の販売を勇者国も容認してるんだ。」


英雄ギルガル…


「これらは?」

「ああ、英雄ギルガルの仲間達が身に付けていたとされる兜や防具、装飾品さ。」

「これは、勇者国でも売ってるのか?」

「ああ。」


アルレイヤも偽ってるとはいえ、ずっと顔を晒すのはリスクがある…

俺達は神龍鎧装で顔を隠せるので問題ない。

力も消費しないので、永久的に着けてられる。


が、彼女は兜と鎧は聖剣の力を著しく消費すると言っていた。

なら、今後の為にも買っておくべきか。


どうせなら、統一したい。


配下用の被り物を予備で、三つ程買っておく。

英雄ギルガルが身に付けたとされる鎖に縛られた蛇をモチーフにした耳飾りを一つ。


「毎度ありぃ!どうせなら、被ってみたり、着けてみたらどうだい?試着室なら無料で貸すからよ!」

「いえいえ、遠慮しておきます。」


被り物を見やる。

何処か、龍をイメージさせる造りにもなっている。


しかし、そうか…孤独、っていう訳でもなかったんだな。

神龍ヴォーディガーンを最期まで信じ続けて勇者国と戦った英雄と仲間達…


彼等の人気を博し、大陸中に出回っている装飾品や被り物。


「さて……」


これなら、当初から予定していた事が出来そうだな。

冒険者兼、傭兵団。


武器を身につけて、プレートを下げていれば傭兵や冒険者で通じると言っていた。

商人と異なって身分を確認される事はない、とも。

今は冒険者だが、人数が増えるなら傭兵団と名乗る事を勧められた。


反勇者国の傭兵団。


カシャン。


神龍鎧装の兜を装着する。


目元より煌る紅き瞳。


不思議と、手に持っていたギルガルの仲間達が被っていた兜達も共鳴し始めたような感覚が伝わってきた。



クラスメイト(勇者達)、そして女神ヴィーナス…」



奴等の顔が、頭から離れない。


燃え滾るような憎悪が…俺の心を黒く、熱く染め上げる。


いつか来る、その日の為に…


俺は…復讐者だけを集めた、最狂の傭兵団の王となる。


今の内に、名前も決めておくか?


蛇の様にしつこく、目的を遂行する為ならばどんな手段でも厭わない恐ろしく悍ましい者達。


そして、他の誰よりも邪龍に心酔する狂信者達。


邪龍の悲願と己達の悲願の為に、復讐の刃を振り下ろす。


その名はーー「『邪龍ノ蛇剣(ダインスレイヴ)』」


四章・完


この話が面白い!続きが気になる!と思ってくださった方は是非、評価や感想を宜しくお願い致します!

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