第五十話 全滅
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アルレイヤは驚愕せざる得なかった。
下位とは言え、常軌を逸した力を持つ円卓十剣を三人同時に相手をして圧勝してしまった。
それも、たったの一撃で…
「終わったな。」
武装を解いて、アルレイヤに話しかける。
「は、はい…あの円卓十剣を相手に見事でした…」
「それはどうも。ディナもご苦労だった。」
「ふん、期待はずれだったがな。」
リュートに褒められたディナ。
顔は至って冷静だが、動きは明らかに喜んでいる。
「それにしても…」
正直、侮っていた。
円卓十剣、まさかあれほどとはな。
龍の力を手にした直後の俺だったら、間違いなく苦戦していただろう。
あの命を賭けた一撃は、殺されたガレス達への確かな思いが篭っていた。
それを、アルレイヤに向けられたら何か結果が違っていたのかも知れない。
奴らは救いようのない屑だった。
だが、仲間を想う気持ちは本物だった。
まぁ、心は痛まない。
俺の心はすでに死んでいる。
今更、人を殺した所で取り乱すほど正気じゃない。
「ひとまず、一件落着か。」
「そう、ですね。それにしてもまさか、貴方が女神によって召喚された勇者だったとは…」
「ああ、隠していて悪かったな。」
もう、隠す理由はない、か。
名前も明かしてしまったし、彼女は確かに信頼に足る人物なのは言うまでも無いしな。
それにしても、どうもアルレイヤに落ち着きがないな。
俺が勇者だと明かした時から…ああ、そう言う事か。
「今からアンタに真実を明かす。俺は女神ヴィーナスと召喚された勇者達によって勇王国を追放されたんだーー」
事の顛末を話す。
必要な情報だけを話し、不必要な情報や知られたく無い情報を省き簡潔に説明した。
「ーー以上だ。」
全てを聞き終えた彼女は、複雑そうな表情を浮かべる。
「そう、だったのですか…まさか、女神がそのような神物だったとは…何と言うか、その、、、」
「ああ、慰みの言葉とかは掛けなくて良い。悪い事ばかりではなかったからな。ゴミ女神とクラスメイト共のお陰でディナに出逢い力を得ることが出来たしな。」
そう、同情も慰みも必要ない。
これから俺が成そうとしている事は、決して褒められた事では無いから。
「勿論だが、これは他言無用で頼む。アンタに明かしたのは、これから共にするにあたって俺だけアンタの情報を知っている。ってのは避けたかったからさ。これで、フェアだ。」
「律儀なのですね。」
アルレイヤ、お前は律儀すぎるけどな。
「それよりも、助かったぜ。アンタが気を引いてくれたお陰でここまで上手く事を運べた。」
礼を言う。
アルレイヤは、少し困った様子で言葉を述べる。
「私は、何も出来ませんでした…リュートさんとディナさんに任せっきりになってしまいました。」
「そう思うならその分、後でしっかりと働いて貰うさ。」
任せっきり。
他者から見たらそう思っても仕方ないかも知れないが、何を出来なかったって言う訳ではないと俺は思ってる。
口には、しないけど。
「………ッ」
アルレイヤの視線。
転がっている円卓十剣の死体を捉えていた。
やはり、思う所があるのだろう。
様々な感情が、表情に現れていた。
仲が悪かった、と言う訳ではなさそうだったしな。
「後悔してるのか?」
「いえ…覚悟は決めていましたが…ですが、やはり辛い物が有りますね…それに、色々な事が一気にきたので…」
「まぁ、幾ら覚悟を決めていても知り合いが死にゆくのは辛いだろ。でもまぁ、アンタには立ち直って貰わないと行けないからな。」
「それに、貴方達が無事で本当に良かった。」
……。
「もしも、貴方達が彼等に殺されてしまったら私は一生後悔していました。」
「…………」
「護ろうと決めた誰かを失うのは、何よりも辛いですから。それに、私を助けようと駆け付けてくれた恩人を何も出来ずに死なせてしまったら、私はきっと…自分自身すら許せなくなるところでした。」
全く…本当に、彼女は…
自分よりも他者を重んじる。
やはり、似ている。
アイツと…その心の在り方が似ている。
「まぁ、安心しろ。」
「?」
「俺達が死ぬのは、全てが終わった後だ。ま、死ぬつもりはないけどな。」
「ッ!リュートさん!」
アルレイヤが何かを発見し、声を荒げる。
ゆっくりと、振り向く。
其処には、俺に喉元を斬り裂かれたルキウスが凄まじい形相で佇んでいた。
「ガハッ…オ、ノレェ…おまえ、たちさえ居なければァ…許る、さねぇ…」
血を地面に垂らし、根元まで折れた剣を片手にゆっくりと近付いて来る。
恐ろしいほどの執念だ。
だがまぁ、その気持ちは分かるぞ。
俺達さえ此処に来なければ、お前達は確実にアルレイヤを殺す事が出来ただろう。
俺たちさえ居なければ、パーシヴァルもガレス達も死ぬ事はなかった。
タイミングと運が悪かっただけさ。
お前達の落ち度って訳でもない。
「ころ、す…殺してやーーるぅ?」
ーーヒュオン、スパッ。
剣を振るう音と切れる音が、鳴る。
アルレイヤの剣が瀕死のルキウスの身体を一文字に斬り裂さいた。
「もう、楽になりなさい…」
彼女は哀しそうに、そうつぶやいた。
「ちく、しょう…お前はァ、お前らはァ、何者、だァ!」
「だから、言っただろ?俺は、俺達はーー復讐者だ。」
その言葉が届いたかは分からない。
ルキウスは、とうに絶命していた。
ーー
この日。
帝国が誇る最強戦力である円卓騎士団の全滅。
そして…
円卓十剣。
第六席パーシヴァル。
第八席ガレス。
第九席ルキウス。
第十席ボールス。
以下、四名の死亡が確認された。
無敗無敵を誇った円卓の騎士の敗北は世界各地に衝撃を奔らせる事になるのを彼等はまだ知らない。
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