第二十五話 冒険者ギルドでの揉め事
遅れて申し訳ありません!
そしてご報告です。
わたくし、X(旧Twitter)のアカウントを新たに作りましたので今後はそちらの方に、作品の投稿日などをお知らせします。
アカウント名は、プンプン丸(@tanaha235)です。
ーー冒険者ギルド
もはや、異世界と言うジャンルに於いて知らぬものは居ないであろう定番のもの。
その名の通り、冒険者専用のギルド。
基本的な業務はギルドカードやタグを発行しての冒険者の登録に加えて冒険者の除名。
モンスターの討伐や薬草の採取、街の掃除、商隊の護衛といった各種依頼による仕事の斡旋。
素材の買い取り。
冒険者のランク昇格のための試験の管理や開催。
冒険者同士の揉め事の仲介等を行う事が基本の仕事だろう。
どこの小さな街にも一つ程度は冒険者ギルドが存在し、国ならば数ヶ所に冒険者ギルド本部と支部がある。
初めての登録の際には登録料やステータスの確認等が必要となったり、登録試験として筆記や実技がある。
ギルド職員はギルドマスター受付嬢。
昇格試験の試験官。
モンスターの解体担当者。
中にはギルドお抱えの専属冒険者や暗殺者がいたりする場合もあるだろう。
異世界系に分類されるアニメや漫画を読んで見ている者なら説明するまでも無いだろうが。
そんな訳で俺達は宿を出て、冒険者ギルドへと赴く。
建物の前には、大きな扉。
その扉は、休む暇もなく開け閉じられ様々な人々が出入りを繰り返している。
ある程度、人の出入りが静まったタイミングを見計らいその扉を開く。
扉を開けて中に入る。
冒険者ギルドの中は広く、酒場が備わっていた。
早朝にも関わらず、ギルド内は大勢の冒険者で賑わっていた。
俺達がギルドに入ると、彼等の視線が集まる。
見慣れない新入り。
物珍しさ。
敵意。
悪意。
様々な感情が入り乱れる視線を浴びながら俺達は堂々とギルドの中央を歩き受付の元に向かう。
受付のカウンターには、異世界では定番の受付嬢が立っている。
そんな状況に俺は少し興奮している。
これぞ、the fantasyって感じだ。
「ようこそ冒険者ギルドへ!」
カウンターに居た可愛らしい受付嬢が笑顔で此方に向けてそう言った。
ただ、その笑顔にはまるで元気を感じられない。
まぁ、俺達には関係ない事だが。
「冒険者登録をしたいんですが。」
「はい!かしこまりました!では、此方の用紙にご自身の名前などを記載お願いします!」
手渡されたのは、バインダーに挟まった紙とペン。
おお、此処は現代っぽいな。
俺達、それぞれに手渡された紙に記載していく。
名前は、勿論偽名だ。
冒険者が本名を語らないといけない義務はないだろうしな。
それに、まだ正体を知られる訳には行かない。
「では、これで。」
全ての情報を書き終え、受付嬢に紙を渡す。
「ありがとうございます。お名前はリュー様、ディナ様、アル様ですね?
それでは、簡単に冒険者の説明をさせて頂きます。」
冒険者とは、国やギルドから依頼される案件をこなし証拠となる素材などをギルドに渡す事で適切な報酬が授与される。
依頼はランク毎に難易度が高くなり、その文報酬も大きくなる。
また、冒険者は国家間の争いには介入出来ない。
冒険者同士の私闘は死者が出ない限りは咎められないが、犯罪行為や相手を死傷させた場合はギルドから永久追放となる。
冒険者にはランクが存在する。
一番下に、Fランク。
Eランク。
Dランク。
Cランク。
Bランク。
Aランク。
そして、最高ランクにSランク。
ランクが上がれば、依頼の難易度や報酬も上がり。
ギルドから得られる支援も多くなる。
また、冒険者には冒険者カードが発行される。
このカードを所持していれば、身分証にもなり他国への行き来も可能。
他国のギルドにカードを見せれば、そのギルドで冒険者として活動する事も可能。
「以上が冒険者のルールと説明です。それでは次に、軽い試験を受けてもらいギルドカードを発行いたします。」
「試験とは、どういったものでしょうか?」
「はい。ギルドの冒険者職員であるリーザスさんと戦って貰い一撃でも当てられれば合格です。」
なるほどな。
相手によっては、手加減しないと殺してしまうかもな。
「では、リーザスさん。」
「おうよ。試験管を務めるリーザスだ!安心しろ本気は出さない、内容は俺に一撃でも攻撃を当てれば合格だ!
さっそく始めーー「どうも〜」
バァン!とギルドの扉が大きく蹴り開けられ、数人の男女がギルドの中に入って来た。
一人は、禿頭の大男。
筋肉質の身体、背中には大剣を背負い、下卑た笑を浮かべている。
一人は、ロン毛の細身の男。
腰には歪曲したサーベルを帯、目には眼帯。
海賊っぽい。
一人は、刈り上げの女。
軽装、腰のベルト部分には短剣が何本も装備している。
男の目を引くような、過激な服装。
物騒だな。
それになんだ?
奴等が入って来てから、明らかに冒険者やギルド職員の顔色が悪くなった。
空気が澱んでいる、奴等は何者だ?
そんな空気もお構いなしに、奴等はギルドの中央を堂々と闊歩し俺達の前に立った。
「よう、その様子だと新人か?」
禿頭の大男が、俺の前に立ちそう質問してくる。
大きいな、俺も身長は高い方なんだがな。
「ええ、そうですが?」
「なら、俺達が試験してやるよ。」
突然、何を言い出すんだこの禿頭。
コイツらも冒険者だろ?
それに、後ろに控えている2人はさっきから妙にニヤニヤしてるし。
「それは困りますよ、ハーゲン殿。」
俺達を庇うようにして試験官のリーゼスさんが前に出て来た。
いい人だな、見ず知らずの俺達を庇おうとしてくれるなんてな。
「なぁ、カーネさん。彼等は?」
俺は受付嬢のカーネさんに聞いてみることにした。
「彼らは、『強欲の手』と呼ばれる冒険者で…あのヴィーナス勇王国出身の勇士達です…」
へぇ…ここで出てくるかヴィーナス勇王国。
どうやら、勇者以外にも戦力は居るのか。
「そして、我々は非勇者国…国としても小さく戦力も少ない我々は彼等のような冒険者を派遣してもらい国の治安を支えて貰っているのです。」
非勇者国、確か四代勇者国の同盟国に属さなかった国々の総称だったか?
「だから、あんな横暴を許しているのですか?」
「はい…彼等に逆らえばそれは、勇者国に喧嘩を売ったと同義、本国から勇者が派遣され我々は奴隷のような扱いを受ける事になるのです。」
なんだ、そのクソ見たいな話は。
どうやら、この世界は俺達が思っているよりも根本から腐っているのかも知れない。
「おいおい、俺達に逆らうってのか?」
「そういう訳ではありません。ギルドとしてこのルールは絶対なのーー「黙れや。」
リーゼスさんの言葉を遮り、ハーゲンと呼ばれた禿頭の男が彼の腹を思いっきり蹴り上げる。
「ぐっ!?」
「リーゼスさん!」
カーネさんが慌ててリーゼスさんの元に駆け寄る。
「………………………………」
ーーパキ、パキィ。
何かが、割れる。
「カーネちゃぁん!?そろそろ、俺様のモノになる準備は出来たかぁいい!?!?」
今度は、カーネさんが標的となる。
ロン毛の細身の男が、カーネさんの身体を下卑た笑みと目で舐めずり回す。
「ホーソ様、困ります…」
「なになに、僕ちゃんに逆らうつもりぃぃい!???いいのかなぁああ!僕ちゃん達に逆らえば、勇者国が黙ってないよぉぉぉぉおおおお!?!?!?」
ペラペラと口が回るやつだ。
ふと、横を見る。
どうやら、2人も同じ気持ちらしい。
仕方ない、他の冒険者も彼等を恐れて動く様子はない。
「まぁまぁ、そこまでにしましょう。」
俺は、彼等の間に割って入る。
「あぁあ!?ガキはすっこんでろ。」
「まぁいいじゃねぇか、なぁ小僧…そこにいる2人、俺様達に貸してくれよ?なぁ、いいだろ?
いい体してるよなぁ?特に、あっちの大女、ありゃ上玉だ!
俺達に貸しやがれ、テメェみたいな童貞にゃ勿体ねぇ。ま、俺達が使い終わったとき、あの女は既にぶっ壊れた後だろうけどなァァァァァァァァァァァァア、!!?」
「……………………………………………………………」
完全に、折れた。
もう容赦はしない。
「はっ、お前如きが?」
「ーーーーあ?」
「お前見たいな粗チン野郎に、俺の女は相手出来ねぇよ。最も、彼女に指一本触れさせるつもりはないんだよ。
諦めろ、カスども。」
まさか、自分たちが言い返されるとは思ってなかったのか口を大きく開いて固まってしまう。
また、ギルドに居た冒険者やギルド職員たちも唖然としてしまう。
「てめぇ、なんつった?」
「丁度いい機会だ教えてやるよ。」
「あ?」
「お前如きじゃ、俺には勝てないって事をな。」
プチン。と禿頭の堪忍袋の尾が切れた音が聞こえる。
「後悔してもしらねぇぞ。テメェはもう容赦しねぇ、ぶっ殺す。
おい!そこの受付嬢、決闘場に案内しろ。」
「なんだ、惨めに逃げ出すと思ったが度胸があるんだな?」
「て、めぇ…まぁいい、来やがれ。この身の程知らずが。」
さてと、身の程知らずはどちらなのか分からせてやるか。
俺は自分でも想像も出来ない程に、ブチギレている。
俺の女を侮辱した、その代償はデカいぞ。
俺達は、闘技場に案内される。
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