表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

2

「僕が送るよ!」と怜司。


 レジに代金を置いた2人が外に飛び出す。


 そこには、2人をここまで乗せてきた高級車が小早川家の老執事、吉川春彦(きっかわはるひこ)と共に待っていた。


「爺! 陽葵さんの家へ!」


「かしこまりました」


 さすが、先代当主から使えるベテラン。


 2人を後部座席へと乗せ、運転席に座るとすぐさまエンジンをかけた。


 スムーズに発車する。


 車窓から離れたビル街を40mはあろうかという爬虫類系の2足歩行怪獣が前進する姿が見えた。


 その頭上には、怪獣を操る宇宙人の青いロケットが浮いている。


 まだマンダム1号2号の姿はない。


「お兄ちゃんたち、何してるの!?」


 陽葵が唇を噛む。


 そうしているうちに車は、㈱栗山の格納庫前に到着した。


 陽葵が勢い良く飛び出し、怜司も続く。


 格納庫付近に立ったロールアウトしたばかりのマンダム3号機の前で、剛太と勝雄が取っ組み合っている。


「3号には俺が乗る!」


「ズルいぞ、兄貴! オレが乗る!」


 2人とも、コクピットへと伸びたタラップに相手を上がらせぬよう牽制している。


「お兄ちゃん!」


 呆れた陽葵が大声で呼ぶ。


 兄たちはチラッと妹を見たが、再びケンカを再開した。


「俺だ!」


「オレだよ!」


 揉めている間に、怪獣は手近なビルを破壊し始めた。


 すでに住民の避難は完了しているだろうが、このままでは犠牲者は避けられない。


「ああー、もう最悪!」


 そう叫ぶと陽葵は兄たちの横を抜け、タラップを駆け上った。


 マンダム3号の肩に立ち、振り向いた。


 後ろ上空には、宇宙人のロケットが浮いている。


 陽葵が大きく息を吸い込んだ。


 そして「お兄ちゃんたち!」と叫ぶ。


「「え?」」


 もつれ合った2人が見上げた。


「今日から私が司令官だ!」


 颯爽(さっそう)と陽葵が宣言した。


 剛太と勝雄の口が、あんぐりと開く。


「お………」


「へ?」


 2人が陽葵の気迫に一瞬、押されたものの。


「な、何、バカ言ってんだ!」


「そうだぞ、降りてこい!」


 両眼を吊り上げた兄たちに、陽葵が「イヤよ!」と首を振る。


「いつもいつもケンカばっかり! だから私がリーダーになる!」


「「むぐぐ………」」


 2人が唇を噛んだ。


 その時。


 剛太と勝雄のスマホが同時に鳴った。


「「お?」」


 2人がスマホを見る。


「なな、何ー!?」


「そんなバカな!?」


 兄たちの慌てぶりに、陽葵が「どうしたの?」と訊いた。


「セイロン・マックスが………」


「陽葵を司令官に任命するって…」


「え………ええーーー!?」


 自ら立候補しておきながら、陽葵が驚いた。


「どうなってんだ…」


「どうしてセイロンが陽葵を?」


 2人は呆然としている。


「陽葵ちゃん!」


 怜司が呼ぶ。


「早くしないと街が!」


 陽葵かハッとして、後ろを振り向いた。


 宇宙人の怪獣は街を破壊し続けている。


「とにかく私が司令官だよ、お兄ちゃんたち!」


 陽葵が細身を(ひるがえ)し、3号機のコクピットへと飛び込む。


 ハッチが閉まった。


「早く1号2号に乗って!」


 マンダム3号の外部スピーカーから響く妹の指示に、兄たちが弾かれたように走りだす。


 格納庫内の2機を駆り、3号機の横に並んだ。


「㈱栗山」


 陽葵の瞳がキラッと輝く。


「全員出撃!」









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ