第9話
「ようやく、この話が、できるな。アーデルハイド、ポロポ。」
「うむ。『救世主』様。」
「ハイ。『救世主』様。」
「今回の違法行為の数々、どう償う。」
「違法行為ぢゃと?」
「銃刀法に、暴行傷害、数え上げれば、キリがない。」
「ふっ……わらわには、強力な権力があるわぁっ! 『外交官等身分証明票』!」
『ピカッ! ピコピコピコン』
アイテムを取り出す際に、効果音が聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
某猫型ロボットとも無関係に相違ない。
「おひおひ……みだりに外交特権を振りかざすな。」
「私モ持ッテマス。」
「ブルータス! お前もか!」
サマノの「それで、君も外交特権持ちか。」は、「ブルータス! お前もか!」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
某ローマ皇帝とも無関係に相違ない。
「つまり、日本政府とは、何らかの裏取引が済んでいる。拳銃ぐらいでは、逮捕されない。」
「然り。」
「私モ大丈夫デス。」
「あまり、外交特権に頼るな……。なら、この件は、終わり。次にいこう。」
まず、メイドから、場所とホワイトボード用マーカーを譲ってもらって、板書するサマノ。
「今回、問題として浮上し、対応が必要なものを、優先順位をつけた上で、リスト・アップした。それが、これだ。」
A、敵対勢力への対応
A1、米国政府 日本の『救世主』攻撃を止めさせる
A2、米国の『預言者』 個人情報特定
A3、『救世主』(その候補者全員) 〃
B、襲撃犯への対応 既に対応策在り
C、米国以外の真『預言者』派国家並びに『預言者』『救世主』を特定
「何か、過不足は無いかな。」
「ふむ、特にないのぉ。が……」
「が?」
「米国への対応とやらは、如何にする。」
「勘違いするな。それは、外交だ。僕にできる事は、何もない。」
「ありますわよ。」
「私モ同感デス。」
「然り。」
「外交特権さえ持って無い僕が、外交? そんな馬鹿な。」
「そうでは、ありません。先手を打ちます。」
「『救世主』様ガ、自ラ『救世主』ダト公表スルノデス。」
「そもそも、米国は、真『預言者』派である事も、『預言者』も、『救世主』も、秘匿しておる。そこに、お主が、『救世主』と分かれば、迂闊に手を出せまい。」
「それは、あれか。『救世主』が、事故死でもすれば、『謀殺された』と言う評判が立つ。その後に、別な『預言者』が、登場すれば、『犯人はあいつか』となるだろうと。」
「つまり、抑止力です。」
「そんなもの、テロリストにでも、殺らせてから、さっきの連中(『シールズ』)にでも、テロリストを、殺害させればいい。抑止力なんて絵に描いた餅だ。」
どうやら、さっき『救世主』になる気は無いと、言ってた事を思い出したらしい。3人娘は、沈黙した。
「特に異論が無ければ、今回の一件、日本政府に対応させろ。対応策は……」
こうして、対応策の『案』を説明したサマノだった。
* * *