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第8話

「随分、荒らされたな。戸締りもできない。」

 蹴破られた扉の残骸を見下ろすサマノ。

「では、わらわと共に、ホテルに行くのぢゃ。」

「いいえ、私とお泊りですね。」

「2人トモ抜ケ駆ケ禁止デス。私ノ部屋デ休ミマショウ。」

「それより、家の修理と、警察への届け出だな。」

「家の修理は、任せよ。ぢゃが、警察は無駄であろう。」

「それ、説明長そうだな。仕方ない、場所を変えるか。」

 片手を突き出して、三人娘を黙らせるサマノ。

「場所は、僕が指定する。着いて来なさい。」

「車を使わぬか。」

「断る。君の車に乗ったら、何処に連れていかれる事やら。」

「仕方ありません。歩きましょう。」

「私ハ、構イマセン。」

 こうして、カラオケボックスに移動する運びになった。

 ちなみに、強化外骨格は、助手さえいれば、着脱には大した時間もかからない。

 お陰で、閑静な住宅街に金属製コスプレ騒ぎが、発生せずに済んだ。


 * * * 


「では、さっきの襲撃者について説明をして欲しい。」

「ハイ。今度ハ私ガ、務メマス。『救世主』様。」

 ここで、またホワイトボードに、何やら書き込むメイド。

 襲撃犯 → 存在しない

「マズ、サッキノ襲撃犯デスガ、世界ノドノ国ニ問イ合ワセテモ『我ガ国ニハ、ソノ様ナ人物ハ、存在シナイ。』ソウ言ワレマス。」

「ほう……と言う事は、1国による嘘つきか。その手の嘘が好きな国と言えば、米露中だ。そして、露中は、軍人に黒人を採用しない。つまり、米国だな。」

「ハイ。連中ハ、米露中ベロチューノ米。ソレモ、特殊部隊『シールズ』デス。」

「聞いた事がある。米国に害を成すテロリストや、麻薬原料の栽培プラントのボスや幹部を、米国外へ無許可侵入した挙句、射殺しまくっている特殊部隊だと。」

「ソノ通リデス。先程、『救世主』様ガ、仰ッタ通リ連中ハ、米国ノ尖兵デアリナガラ、何処ノ国ニモ帰ル場所無キ者。合衆国ノ為、文字通リ自ラヲ犠牲ニスル者。」

「分かった。もういい。つまり、連中は米国軍人でありながら、本国から返却拒否される訳だ。まったく、産業廃棄物じゃあるまいし、どう扱うべきか。対策はあうのか。」

「ハイ。アリマス。『救世主』様。」

「ならいい。連中の黒幕は、米国。あまつさえ、米国には『預言者』と『救世主』がいる。よって、日本に手柄を独り占めさせたく無い。そんな所か。」

「ハイ。デスカラ、米国ノ『救世主』ガ、健在ナ限リ、襲撃ハ、続キマス。」

「勿体つけるな。その『救世主』は、何処の誰だ。それが、分からないと手の打ちようが無い。」

「残念ナガラ未ダ特定ニハ至ッテイマセン。『救世主』様。」

「そう言う事ならやむを得ない。これで、概ねの事は、分かった。で、特に説明が無いなら、僕の疑問に答えて欲しい。ポロポに2つ、アーデルハイドに1つだ。」

「ハイ。私ニ答エル事ガ、デキレバ。」

「さっき、君がやった『黒豹』に変ずる『能力』。あれの正体を教えて欲しい。」

「アレハ、私ノ『精霊ロア』デス。『救世主』様。」

「聞いた事がある。確か、如何なる生物も、肉体と魂があり、死によって、それぞれが、分離する。肉体は、朽ちても魂は残り、いずれロアを経て神になる。それが、ブードゥー教だ。」

 等と言う無駄口を叩かないサマノだった。

「アレハ、『黒豹』ノ『精霊ロア』ヲ『召喚』シ、肉体ニ宿ラセル事デ、姿ト身体能力ヲ移シトル『術』デス。」

「疑問は、2つだ。1つ、『召喚』と言う事は、何処からか、呼んでいる訳だ。何処からだ。2つ、代償は、何かないのか。」

「本来、『霊魂』モ『精霊』モ『冥界』ニイマス。デスカラ『儀式』ヲシナイト、『現世』ニ存在デキマセン。私ハ、自ラノ『魂』ニ召喚ノ儀ヲ『刻印』スル事デ代償無ク高速化シマシタ。」

「疑問は、2つだ。1つ、『刻印』と高速化の役に立つ事が、どう繋がる。2つ、あの『黒豹』を見る限り、質量保存の法則は、無視できる様だが、変化可能なのは、『黒豹』だけか。」

「最初ノ疑問デスガ、『刻印』トハ、スマホアプリノ様ニ、『決マッタ詠唱動作ヲ自動的ニ実行シマス』。魂ハ、『冥界』ニモアリマス。ソコデ、ココモ『冥界』ト繋ガッテイルノデス。」

「強弁だが、日本にも『言霊』と言うものがある。似た様なものか……。」

 等と言う無駄口を叩かないサマノだった。

「次ノ疑問デスガ、動物ノ『精霊ロア』ナラ、理論上『何デモ召喚可能』デス。但シ、私ガ『名前ヲ知ラナイ獣』ハ、『成功』デキタ事ガ、アリマセン。」

「『理論値』と『実測値』の差か。やむを得ないな……。」

 等と言う無駄口を叩かないサマノだった。


 * * * 



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