第54話
「…………私が、今日ここにお邪魔したのは、CIAの指令です。」
納得した様子の3人娘だった。
「『お邪魔』とは、CIAらしからぬ言い回し、正しく『邪魔者』ぢゃのぉ……。」
「駄洒落が、くどいわらわちゃんですわ。」
「君達、静かにしなさい。……話を続けて下さい。」
後半を、『本宮先生』に対して、話すサマノ。
「誰かさんが、CIA長官を、使い物にならなくしたせいで、CIAは、派閥争いが激化しています。その内1つ、比較的穏健派からの指示を受けました。」
無言で、先を促すサマノ。
「彼らは、日本の『救世主』の身柄を押さえ、日本政府との交渉を望んでいます。交渉内容は、私の『権限』では、知る事を許されません。」
「それだけですか。」
「そうです。」
「しかし、それでは、あなたの目的が、語られていません。少なくとも、『不法侵入』な上、『未成年者略取』などの『犯罪』に、手を染める理由を語って下さい。」
「私は、『諜報工作員』ですよ。上の命令は、絶対。逆らう事は許されません。」
「成程、ですが、僕には、その様な『誤魔化し』は、通じません。」
「何の事でしょう。サマノ君。」
「何故なら、『上』たるのは、CIA長官でしょう。あなたに指示したのは、派閥の1つに過ぎない。それに……。」
「それに?」
「あなたが、そんな、弱小派閥に身を置いた。『目的』を語っていませんよ。」
「『弱小派閥』とは、失礼でしょう。サマノ君。」
「そうでもありません。『救世主』とは、人類を救う唯一の希望。そんな人物の身柄を押さえる。そんな、『乾坤一擲』『一発逆転』の手段に頼る時点で、派閥の規模が知れます。」
『本宮先生』の貌が、真実だと物語っていた。
「語って下さい。『本宮先生』。」
「私の『目的』は、日本の『救世主』……いえ、サマノ君と話をする事です。」
「不敬デス!」
「私達だって、みだりに話しかける事を、許されていないのに!」
「分不相応とは、この事ぢゃ!」
等と言う無駄口を叩く前に、全員を黙らせたサマノだった。
「成程、では現状、僕はあなたと『会話』している。これで、目的は達成した訳だ。今度は、僕の話を、聞く番です。あなたがね。」
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明日00:00公開
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