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第51話

「凄い。ここまで、『救世主』様の予想の範疇内に、全てが収まっていますよ。」

「流石デス。『救世主』様。」

「凄まじいのぉ。『救世主』様。」

「以前も言ったはずだが、僕には2つ懸念があった。覚えているか。」

「1つ、相手は、米国の法律で守られている。が、こちらはそうでない。だから、人数や武器で、力押しできないですね。『救世主』様。」

「その通り。」

「2つ、相手は使い慣れた本拠地に、武器を貯め込んで、人数で立て籠もる事が、可能ぢゃ。『救世主』様。」

「その通り。だから、どんな手を打つべきか、話したが思えているか。」

「ハイ。米国の『救世主』ニ、『追跡チップ』ヲ埋メ込ンデ、敵本拠地ヘ誘導スル。デスネ。『救世主』様。」

「左様。しかも、『追跡チップ』が、発見されるのは時間の問題。しかも、発見した事で、自分達の本拠地の位置が、ばれた事を悟る。後は、沈没船を見捨てて逃げる鼠と同じぢゃ。」

「しかも、全員散り散りに逃亡するので、連中は3つのアドバンテージを失います。それは、『使い慣れた本拠地』『堅牢な本拠地』『人数で押す』です。全て的中ですね。『救世主』様。」

「更ニ、逃亡スル車ニモ、尾行ヲツケルヨウ、ゴ指示ナサイマシタ。オ陰デ途中、我々ガ発信器ヲ着ケタ車ヲ、乗り捨テタ者ヲ、見失ウ事モアリマセンデシタ。『救世主』様。」

「凄い……ここまで、全て計算通りでしたか……。『救世主』様。」

「だから、末端の構成員まで指示を下す者、所長、副所長をまとめて捕らえる必要があった。で、それは成功したが、目的はそれだけじゃない。情報は、どうなった。アーデルハイド。」

「………………ああ、その話かや。」

「連中は、パスワードを白状したのか。そうすれば、ノートPCから情報を取れるだろう。」

「そうよね、何で私達を、遠ざけているのかしら。わらわちゃん。」

「私モ知リタイデス。女伯。」

「…………進捗状況を、話すに話せぬには、理由があるのぢゃ。」

「『話す事ができない理由』も話す事ができないのか。アーデルハイド。」

「勿体着けないで、説明してくれないかしら。わらわちゃん。」

「私モ知リタイデス。女伯。」

「……では、『話す事ができない理由』を申し上げるのぢゃ。心して、聞かれよ。それはぢゃなぁ……『18歳未満は閲覧禁止の手段』を用いておるからぢゃ。『救世主』様。」


 * * * 


「ようやく、真実に辿り着いたな。」

「確かに、副大統領や、大統領の様には、行かなかったわね。」

「ソシテ、卑猥ナ手段ナラ、上手ク行ッタ訳デスネ。」

「卑猥ぢゃと! そもそも、お主らが、無能ゆえ諜報工作員の口を割らせる事ができなんだ! それが、原因であろう!」

「落ち着きなさい。アーデルハイド。君の言い分は、『人間の三大欲求の内、性欲に働きかければ簡単に口を割る』そう言う事だろう。」

「流石、『救世主』様。理解が、早くて助かるのぉ。」

「じゃあ、報告しなさい。アーデルハイド。」

「うむ。では、説明してしんぜよう。連中の個人情報は、タブレットで確認してくりゃれ。で、連中は、『薬物投与』と『外科手術』で『追加臓器付与』された『後天性能力者』ぢゃ。」

 タブレット端末を指し示すゾフィー。

「ふうん、じゃ、『薬』を服用しなければ、只の人よね。」

「然り。幼馴染殿。」

「よし。僕の疑問は、その『薬』だ。生産費と、制作難易度と、生産力と、備蓄量、管理手段、服用手段だ。」

「ほぉ、随分核心をついて来るのぉ。まぁ、1つ1つ説明するのぢゃ。まず、生産費は、1回3千数百ドルぢゃ。」

「ソレハ、日本円ナラ、3百~4百万デスネ。」

「高っ!」

「恐らく、理由は2つだ。1つ材料費。2つ目は、研究所職員の手作業に、頼っているから。だろう。」

「正解ぢゃ。では、残りの問題も答えは、お分かりであろう。『救世主』様。」

 そう言いつつ、タブレット端末を、操作してから画面を、見せるゾフィー。

「やはりな、『圧力注射器』と薬剤を、研究員がアタッシュケースで、保管。持ち出して逃亡している訳か。つまり、米国の『救世主』は、研究員と一緒に逃げている訳だな。」

「デハ、如何致シマショウ。『救世主』様。」

「こんな時、僕がどんな手段を使うか、予想してみなさい。」

「1人ずつ『闇討ち』よね。『救世主』様。」

「1人ズツ『闇討チ』デス。『救世主』様。」

「1人ずつ『闇討ち』ぢゃ。『救世主』様。」


 * * * 



明日00:00公開

52話~54話


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