第4話
「では、これより説明会を始める。まずは、概要ぢゃ。」
背後に控えていたメイドが、自ら持ち込んだホワイトボードに、何やら書き込む。
1、おさらい
1-1、『預言者』
1-2、『預言』
1-3、『預言』をめぐる対応
2、今後の対応(議題)
「今回の説明は、こうなっておる。」
「話が、長いぞ。もっと効率良くまとめられないのか。」
「そうは言うがのぉ、『預言』案件は、公開情報ではないのぢゃ。『救世主』様が、知らぬ事もあろうて。故に、おさらいから、なのぢゃ。」
「それだ。その『救世主』様も止めてもらいたい。」
「では、尚の事、説明が必須ぢゃ。何故、『救世主』様なのかやとな。」
「簡潔に簡単に簡素にしてくれ。」
「では、理解を得られたとして始める。まずは、『預言者』についてぢゃ。ちなみに、『預言者』の個人情報は、完全に抹消されておる。現時点での生死すら不明ぢゃ。」
無言で、先を促すサマノ。
「日本(この国)では、当初から『預言者』が申す『預言』を、重要視しておった。そこで、『預言』に倣った政策を実施する事で、『先手内閣』と呼ばれ、国民からの支持も高い。」
「『先手内閣』ナラ知ッテマス。『先手総理』トモ言イマスネ。」
「私も知ってるわ。」
「おひおひ……オカルトに頼っても、いい事なんてないぞ。元俳優の元大統領じゃあるまいし。」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
「では、1-2に移る。そこで、登場するのが、『破滅の預言』ぢゃ。これによると、人類滅亡が、謳われておる。ぢゃが……」
「わくわく……。」
「ワクワク……。」
「なんと、『救世主』が、人類を救うと言うのぢゃぁ!」
「おぉーっ!」
「この素晴らしい世界に祝福を!」
ポロポの「素晴ラシイ!」は、「この素晴らしい世界に祝福を!」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
某異世界転生ライトノベルとも無関係に相違ない。
「勿論、『救世主』たるには、条件がある。その条件を満たすのが……」
ここで、サマノを指さすゾフィー。
「お主、と言う訳ぢゃぁ!」
「その、『条件に合致する人物』に関する情報漏洩元なら、分かっている。」
「はいはぁい! 私、覚えてまぁす。むかぁし、一緒にお風呂入った時よ。見たのよねぇ。『救世主』様の左脇の下に『しるし』が、あるの。」
「ちなみに、『しるし』に関して言えば、お主の父君からも、言質をとってある。今更見せろとは言わぬが、観念せよ。お主が、『救世主』様ぢゃ。」
ここで、目くばせをされた幼馴染。