第35話
「『Sleeping Beauty』面白カッタデス。」
「おのれ! 光秀裏切ったか!」
サマノの「だから、英会話に、集中しなさい。」は、「おのれ! 光秀裏切ったか!」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
某第六天魔王とも無関係に相違ない。
「やっぱり、『シンデレラ』よね。」
「ブルータス! お前もか!」
サマノの「だから、君も英会話に、集中しなさい。」は、「ブルータス! お前もか!」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
某ローマ皇帝とも無関係に相違ない。
「わらわにとっては、丁度良い暇つぶしぢゃ。」
「君の場合、問題ない。だが、難しいな。今1つ進まなかった。」
「後で、わらわが、個人レッスンしてやろう。『救世主』様。」
「だが断る。」
サマノの「断る。」は、「だが断る。」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
某狂漫画家とも無関係に相違ない。
全員、雨具を着用の上、防水加工つきの鞄に、荷物をまとめて、飛行機を降りる。彼等を、出迎えるのは、小雨と水たまりに満ちた空港だ。
「さっさと、中に入るのぢゃ。」
「同感デス。」
「そうしましょ。」
空港施設内に入ると、入国審査官が待つ窓口へと向かう。ここで、パスポートのチェックなどの出入国手続きを、する為だ。
そこに、背広姿の男達が、立ちはだかった。正面に立つ1名が白人である事を除き、サマノ達を、半円形に包囲するのは、全員東アジア系、中韓であろうと推測できた。
つい、さっきまで、そこかしこのシートに、腰かけていた連中、モブだと思っていたが、サマノ達が、建屋に入るやいなや、立ち上がり、あっと言う間の出来事だった。
《ロートシルト女伯爵。》
白人が、英語で発言しつつ、身分証を見せる。
ちなみに、翻訳機には、イヤホンをつけて、起動させている。雨具が、イヤホンを隠してくれていた。
「怪我の功名とは、まさしくこの事だ。」
翻訳機に音声を入れない様、気を付けるサマノだった。
「何、この失礼な連中。」
「FBIだ。あの身分証見覚えがある。洋ドラでな。」
《FBIの身分証を見せれば、如何なる失礼も許されると言うか。お若いの。》
相手をするのは、ゾフィーだ。
《女伯爵、あなたが、違法な品物を持ち込んだ疑いが、あります。あなた方の身柄を拘束し、機内を捜査します。》
「アーデルハイド、僕の言葉を訳せ。」
さりげなく、翻訳機のスピーカーを切って、日本語で話しかけるサマノ。
「うむ。」
「2つ疑問が、ある。1つ、FBIの身分証には、通し番号がある。それをよく見せろ。2つ、ジョン・スペンサー、君以外の者達の身分証を確認させなさい。」
丁寧に、英訳するゾフィー。
「いやっかましい!」
白人の合図と共に、テーザー銃を抜き、サマノ達に照準を合わせる男達だった。
そこで、幼馴染にアイコンタクトをするサマノ。
《とっとと、大人しくしやがれぇっ!》
「かしこみもぉすぅ。」
だが、白人の合図を受け、テーザー銃を使用する直前、水の壁が間に合った。
《なっ……ななな……なんじゃ、こりゃぁっ!》
「ご安心を。これは、『不純物』を、全て取り除いた『超純水』の壁。電気は、通しません。」
更に、そこに屋外の水溜りが、蠢きうねり暴力を伴う形となって、雪崩れ込んだ。男達は、何処かへと、流された。例外は、水の『結界』内の面々だけだ。
「汚物は、水洗に限ります。」
そして、跡形も亡くなった。もとい、死んではいないので、きれいになった。
「さ、参りましょう。『救世主』様。」
「ああ。」
「相変わらず、凄まじいのぉ。」
「雨天時ダケハ、無敵デス。」
廊下を歩む4人だった。メイド達が、後に続く。
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