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第3話

「ようやく、邪魔者も消え失せました。私達の用件を、すませましょう。『救世主』様。」

「然りぢゃ。」

「ソノ通リデス。」

「手短に、と言いたい所だが、長くなりそうだな。僕の家まで送って欲しい。説明なら、車中でできるだろう。それと、僕を『救世主』と呼ぶな。」

「今、車を回しておる。しかし、呼び方に関しては、説明に含まれる。故に、まとめて行うとしよう。」

「………………止むを得ない。では、車中でな。」

 こうして、来た道を同じ車に、乗って移動する一行だった。


 * * * 


「先程、お主が遮ったからのぉ。自己紹介からぢゃ。」

「構わない。」

「デハ、私カラ。……エンマ・ポロポ、16歳、中央アフリカ共和国ムボム州出身。ムバカ族。身長120センチ、体重48キログラム。79(H)-41-70デス。」

「お菓子の名前みたい。可愛いわぁ。」

「まさかとは思うが、難民扱いではないな。」

「亡命扱イデス。家族ハ、両親死別。生キ別レノ兄2人。外務省ノ木下サンガ、後見人デス。」

「つまり、今は中央アフリカ共和国と日本の二重国籍だが、成人した時点で、中央アフリカの国籍を捨てる気だと言う事か。」

「………………ハイ。………………ソウデス。」

 アレルギーや、食の好みなど問題点になりそうな事柄を、聞き出してから次に移る。意外にも、ポロポは、幼い頃、日本に亡命したらしく、納豆を含めた日本食を好むそうだ。

「わらわは、ゾフィー・アーデルハイド・フォン・ロートシルト女伯爵ぢゃ。誇り高きアーリア人。身長180センチ、体重77キログラム。112(K)-61-100ぢゃ。」

「光の巨人とは、何の関係もない。何処かに同じ名前の宇宙人が、いるとしても偶然の一致に過ぎない。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「つまり、ロートシルト財閥のご令嬢か。」

「否、家督は、ヴィルヘルムの物ぢゃ。わらわは、後見人として采配を振るっておる。」

「だが、ロートシルト伯爵と言えば、民間軍事会社を始めとする企業を幾つも1代で、財閥レベルにまで成長させた傑物だ。死亡したらニュースになる。が、聞いた事が無い。」

「無論、生きておる。ぢゃが、お身体を壊して闘病生活中。故に、家督を譲ったのぢゃ。」

「そう言う事か。」

「恐らく、長年の無理が祟ったのぢゃろう。思えば、名誉伯爵に叙勲されたあたりが限界ぢゃった。」

「それは、民間軍事会社から兵士を、国に提供した事で、国民の兵役義務を大幅に軽減したと、功績が認められたと言うあれか。」

「然り。よぉ、知っておるのぉ。」

「ねぇ、ねぇ、いい。私、自己紹介してもいいかしら。」

「しなくても知ってる。7年前、本家に引き取られたので、引っ越した。それまで、お隣さんだったのだからな。」

「私、スリーサイズは、99(I)-55-90なのよ!」

「そうか、ピーマンを食べられる様になったのなら、言うべきだ。他に何か言う事は、あるか。無いなら、説明に移って欲しい。」

 無言になる幼馴染だった。

 この後、車が自宅に到着したので、第2ラウンド、説明会になだれ込む。


 * * * 



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