第28話
「採用頂き誠にありがとうございます。」
深々と頭を下げた森成利だった。
「畏まらなくていいよ。僕もそうする。で、先刻ので説明は終わりだ。何か、質問は?」
「では、早速ですが、これ、刑務所ですよね。」
「刑務所より遥かにまし。経歴に傷をつけない様、配慮されている。」
「それです。我々には、刑務所の様な、『法的根拠』が、あるのでしょうか。あるなら、何の法律でしょう。」
「君は、そんな事を、心配する必要は無い。兎に角、収容された人間を、更生させる。必要とあらば、どれだけ厳しくしても構わない。死亡しない様注意する事。」
「無茶でしょ。訴えられますよ。」
「先刻も説明した。収容されてくるのは、『元イジメ加害者』。司法の場に出て困るのは、むしろ彼等の方。」
「しかし、人権団体あたりが、クレームを入れて来る可能性もありえます。『加害者』も人間である以上、『人権』に配慮すべきだと。指摘されたら……」
「鱈?」
「どうします?」
「そもそも、連中は『甘やかされている』。本来なら、『被害者の権利』を、十全に保証すべき。その後でなら、『加害者の権利』にも触れても構わない。」
「ですが、暴力は、暴力でしょう。その様に指摘される恐れもあります。」
「そう、『暴力は、暴力』人権派を自称する輩は、そこをはき違えている。1人に対して多数で、よってたかって行う『暴力』、それを愉しむ精神構造が、問題だ。」
「では、何か対策が、あるのですか。」
「勿論。が、それを今ここで、全て明かす事はできない。」
「なら、せめて一部だけでも、お願いします。」
「……………………………………………………弁護士先生だ。」
「……ああ。」
「1人に対して多数で、よってたかって行う『暴力』、それを愉しむ輩は、性格に人格に品格に、問題がある。それが、僕の考えだ。」
* * *
「そう言う訳で、目的地に到着。」
サマノ達を運ぶ車が、停止した。車から降りる一行。
勿論、サマノと、森成利だけではない。3人娘に、兵員輸送用のトラック内で、待機する完全武装メイド達も一緒だ。
勿論、兵員輸送用のトラックは、一般車輛に偽装済みだ。
「確かに、視察くらい、リモートでもできるさ。でも、肉眼で見る景色と言うものは、違って見えないか。」
「確かに、車で結構移動すれば、これだけ雄大な自然が、広がってますね。残念と言えば、放棄された施設と、それを囲むフェンスですね。」
「実はここ、かつては、某宗教団体の跡地だ。その後、巨費を投じて建造したテーマパークが、コケた跡地でもあるんだ。かなり安く手に入ったよ。」
「おひおひ……そんな有名な話、していいのかよ。」
などと言う無意味な指摘をする者などこの場に存在しない。
「という感じで、過疎地に、施設を建造。施設が、出来てしまえば、会長業務は、リモートでも可能。だが、一般職員は、ここに住み込んでもらう。」
「それ込みで、一般職員の人材を集める必要が、ありますね。」
「その通り、やはり、君を採用して正解だったね。」
* * *




