第24話
サマノ家の居間、LINEの画面を確信し、スマホを側のメイドに預けるゾフィーだった。
「ようやく、寝静まったぞ。『救世主』殿。」
「ヨウヤク、4日目、終了デスネ。」
「なんだか、毎日忙しいわ。」
「しかし、頑なぢゃのぉ……。何故、あれ程夜伽を、拒否するのぢゃ。何ぞ心当たりは、無かろうや。長馴染み殿。」
「昔は、よく笑う男子だったわ。朗らかにね。」
「デスガ、今ハ、スッカリ人間嫌イ。『シールズ襲撃』ガ、トドメデシタ。」
「噴! その阿呆共のお陰で、わらわ達は、こうして、ご尊宅に上がれておる。彼奴等の、間抜けぶりのお陰ぢゃ。」
「そこに、胡坐をかいちゃ駄目ね。何としても、『救世主』様を、喜ばせないと。」
「ソウ言ウ事ナラ、『救世主』様ガ、自ラ仰ッテイマシタ。『痛ミトハ何カ、教エル。』コレデス。」
「要は、『イジメ犯人共』を、徹底的に痛めつけ、彼奴等の泣き叫ぶ様を、動画に収めて鑑賞する。ビールが、美味い事おびただしいのぉ。」
「『救世主』様は、未成年よ。それに、この国ではお酒と煙草は、二十歳からと決まってるわ。そんなに飲みたければ、母国に帰ればいいのよ。」
「わらわは、18歳、成人ぞ。何と、後進の国ぢゃ。」
「ソンナ事ヨリ、ソロソロ本題ニ入リマセンカ。」
「うむ。では語るとしよう。今日入ったばかりの、ほやほや情報ぢゃ。」
「わらわちゃん、『救世主』様が、いなくなると、すぐマウント取ろうとするのよね。」
「女伯、勿体着ケズニ、オ願イシマス。」
無言で、タブレット端末を、突き付けるゾフィーだった。
「これが、米国の『救世主』なの?」
「全ク、顔ノ造形ダケデハ、『救世主』足リ得マセン。」
確かに、顔だけ視れば、桃色髪をツーテールにした白人美少女だ。
「フレディ・テイラー、16歳、男、RH-、英国人と、米国人のハーフ。既に、飛び級で、高校を卒業。現在、CIA傘下のシンクタンクに勤務……。」
どうやら、今後闘う羽目になりそうな相手を確認する3人娘だった。
* * *
「買収の進捗は、どうだ。アーデルハイド。」
「上手く進まぬ。」
「何故かな。」
「この国は、外国人に株を売る事に、拒否反応があるのぢゃ。業者達の横連携が、堅すぎて、中々食い込めぬ。」
「確か、国が一部企業の株式を買っている。それを買い取ればいいだろう。」
「それには、1つ『ご許可』を賜りたい。『救世主』様。」
「何の『許可』だ。」
「『救世主』様が、『ご所望』ぢゃ。警備保障会社の株式を売れ。左様に、日本政府に申す。」
「それは、僕が『救世主』になる。人類を『救済』すると『承諾』した。そうなるな。」
等と言う無駄口を叩かないサマノだった。
「して、返答や如何に。『救世主』様よ。」
「却下だ。そこは、君が、如何なる手段を用いてでも、やり抜け。」
にべもないサマノだった。
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明日00:00公開
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