第21話
特別学級3日目終了したその日。夕食後の動画鑑賞を、終えたサマノだった。
「アーデルハイド、君が言う所の『興味深い見世物』とやらが、これか。」
「然り。」
「やったぁ♪」
「コレデ、『救世主』様ヲ、イジメタ不届キ者ヲ成敗デス。」
「確かに、今朝、僕は、録音データを渡した。それは、主犯格を追い詰める為の証拠だ。『見て見ぬふり』の生徒に対し、これはヤリ過ぎだ。」
「しかし、鼎の軽重と言う物が、あろう。全てにおいて、優先されるべきは、『救世主』様の安寧なり。主犯、従犯、見て見ぬふり、関係なく、連帯責任ぢゃ。」
「そこまで、言うなら仕方ない。今後は、全て僕の許可を得る事。完璧に完全に完了させる事。いいな。」
「相分かった。」
「はい。」
「承知致シマシタ。」
* * *
話は、少し遡る。
特別学級3日目の、終了会だった。
「本日で、本教室の使用は終了です。遠隔で会議が、可能になりました。今後、皆さんは、自宅からネットワーク経由で、学校と連絡を取り合います。Network。」
特に質問は無い。事前の説明が、行き届いているからだ。
「テストなどのイベントは、可能な限り、『遠隔』で実施します。」
問題無い、とばかりに沈黙する特別学級生徒達。
「尚、部活動、委員会活動は、全て免除します。来週予定しているオリエンテーリング、秋の遠足、学園祭、体育祭、合唱コンクール、修学旅行などは、中止とします。exempt。」
特に、質問も無い。
いつもの挨拶をして、終わった。
* * *
「ああ、コラ! ナニなまいきなツラしてやがんだ!」
「い……痛い……苦……しい……。」
胸倉を掴まれ、襟で首を絞められる男子生徒だった。
「ああっ! っせぇんだよ!」
突き飛ばされた男子生徒。尻もちをついた。
「ゴルァッ!」
尻もちをついた男子生徒に、蹴りが入れられた。
勿論、多数の人間によってだ。
* * *
放課後のある教室。
「いやぁー、悪いねぇー。掃除やってもらちゃって。」
「……いいのよ……大丈夫……。」
そう答えるのは、おさげで、眼鏡の女子生徒だった。
暫し彼女は1人で、掃除をする女子生徒。バケツで水を汲み、モップで床を水拭きする。
机椅子を動かす事無く、モップを動かす女子生徒。
そして、掃除もようやく他の女子生徒達が、教室内にやって来た。
勿論、掃除を押し付けた者達ではない。
「おっ、やってる、やってる。1人かい、相変わらずだねぇ。」
教室内にやって来た5人の女子生徒達は、笑う。
「んじゃ、ちょっくら、手伝ってやんよ。」
「……もう、終わるわ……大丈夫……。」
「いいって、いいって、エンリョすんな。やんな。」
眼鏡の女子生徒を2人がかりで、押さえつけ、1人がモップを持って接近。
「……お願い……やめて……。」
さっきまで、床掃除に使っていたモップで、眼鏡の女子生徒を、なでる。
またも、笑い声が、上がる。
「ツギ、あたしな。」
今度は、濡れた雑巾を投擲する。俯いた眼鏡の女子生徒は、髪を濡らす。そして、髪からずり落ちる雑巾。
この様な、『悪戯』が、暫く続く。そして、下校時間の予鈴が鳴った。
「おっと、いけない。ジカンだ。」
「じゃあなぁ。ちゃんと、ソージすんだぞ。」
* * *
明日00:00公開
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