第14話
昼休みのチャイムが、鳴った。
日本式の挨拶をし、午前の授業が、終わった。
「何処に行かれるのぢゃ。『救世主』様。」
「学食だ。」
「『救世主』様、ソノ様ナ不特定多数ノ人間ガ、ヒシメキ合ウ場所ハ、賛同デキマセン。」
「私も同感です。『救世主』様。」
「で、誰がどうやって、準備した。」
「わらわが、キッチンカーを持ち込んだ。」
「駐車場には、あまり余裕が無い筈だ。」
「無論ぢゃ。校長と教頭の車を、どけさせた。」
「まあ、いい。それで、1階にしたのか。」
「お待たせしました。」
外から声が、かかった。
「うむ。」
教室内で待機していたメイドが、扉を開いて招き入れる。ワゴンが、運び込まれる。
「手際ガ良イデスネ。私達ノ出番無シデシタ。」
「では、『救世主』様、食事に、いたそうぞ。」
「分かった。」
ちなみに、メニューは、オニオンスープ、サラダ、ジャーマンポテト、ソーセージソテー、温野菜(付け合わせ)、オムレツ、デザート(コーヒーゼリー)だった。
「しかし、意外だったな。日本国内で、教員免許を取得済みの、メイドを召し抱えていたのか。まさか、メイド服を着たまま教壇に立って、教鞭を振るうとはな。」
「うむ、此度の案件、しくじりは許されぬ。故に、連れていく家臣の人選には、心を砕いた結果ぢゃ。」
「ありがとう。」
「アリガトウゴザイマス。」
メイドからお箸を受け取る幼馴染、ポロポ。
「何ぢゃ、ナイフとフォーク位、使えぬか。」
「私は、日本人なの。日本人たる者、箸を使うべきよ。」
「私ハ、銀製ノ食器、使イ慣レナイデス。」
「アーデルハイド。」
「何ぢゃ、『救世主』様。」
「つまらない事で、一々マウントを取るな。僕は、嫌いだ。」
「左様であったか。以降留意する。『救世主』様。」
続けて、幼馴染、ポロポに向けて言うゾフィー。
「先程の発言、『救世主』様を見習うべき。そう言う意味で申したまで。他意は、無いのぢゃ。気に病むでない。」
既に、スープと、サラダを平らげていたサマノ。
「アーデルハイド、やり過ぎだ。やめなさい。」
「承知した。」
「それよりも、僕は、炊き立ての白米を食べたい。独逸料理も悪くは無いがな。」
言い終えると、ナイフとフォークで、ソーセージソテーを切りながら、口に運ぶサマノ。
「日本食かや。しからば……。」
目くばせをするゾフィー。
「どわぁーいじょーぶ、むぅわぁーかして。」
幼馴染の「任して。」は、「どわぁーいじょーぶ、むぅわぁーかして。」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
某闘う先輩とも無関係に相違ない。
「勿論、私モ参戦致シマス。」
「そうか、お手並み拝見だな。ポロポ。」
こうして、昼食もつつがなく終わる。メイド達が、食器の後片付けに走った。
* * *
こうして、今日の授業は、全てつつがなく終わった。
「『教え方に隙が無い』。『分かり難い所が無い』。彼女達と比較すると、この学校で働く教師は、明らかに努力不足だ。」
「無論ぢゃ。わらわが、厳選した選りすぐりの教師ぢゃからの。
「納得。」
そこに、ヘレン先生が、入室する。
「皆さん、終了会の時間です。gathering。」
日本式の、起立、礼。着席の挨拶をした。
「本日の連絡事項は、1つだけです。本『特別学級』の授業を化学室で行うのも後、数日になります。a few days。」
こうして、今日のカリキュラムは、終わった。
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