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第13話

「ヘレン先生の案内で、第2化学室に連れてこられたと思いきや、クラッカーで出迎えられた。ここは、本当に学校で、教室なのか。」

 クラッカーから、飛び出した紙吹雪を、髪から取り除くサマノだった。

 そこに、さりげなくくず入れを差し出すメイドが、いるので、そのくず入れに、ごみを捨てたサマノ。

「おいでませ、サマノ様。」

「よう参られた、サマノ様。」

「ヨウコソ、サマノ様。」

「話が、違うぞ。一般教室から離れた、特別学習教室校舎の隅っこに、僕だけ隔離されたのは、安全の為、昨晩の『轍を踏まない(てつをふまない)』為だとな。」

「ソウデス、サマノ様。学ビ舎トハ、『虎の爪』ヲ隠シ持チ、用務員ニ偽装シタ者ガ、何処ニ潜ンデイルカ、分カリマセン。」

「それは、『創作フィクション』だ。真に受けるな。」

 等と言う無駄口を叩かないサマノだった。

「つか、お前らは、何処の格闘漫画の話をしてる!」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「左様な、つまらぬことを言うでない。」

「そうですわ、サマノ様。着席して下さい。」

「授業ガ、始マリマセン。」

「君達は、雑過ぎる……。」

 全員が、席に着いた所で、ようやくヘレン先生が、口を開く。

「では、出欠を取ります。call the roll。」

「サマノ君……ミナミノさん……ポロポさん……ロートシルトさん。はい、では皆さん出席と言う事で、まずは、朝礼と行きましょう。morning assembly。」

「その前に1つ。宜しいか。」

「はい、サマノ君。」

「やはり、話しておいた方が、いい。何故、僕が、命を狙われるのか。先生も、この奇妙なクラスの担任をするからには、知った上でやるべきだ。」

「サマノ様、それは、情報秘匿の観点から、宜しくないと思います。」

「そうぢゃな。担任殿が、敵の手中に捕らえられたとしても、知らぬ事は、話せまい。」

「ソウデス。ソウ言ッタ『リスク』ニ、見合ッタ報酬ヲ受ケ取ッテイル。ソウ聞イテイマス。」

「先生は、それで、いいのですか。お金で、安全を売る行為なのでしょう。」

「サマノ君、心配し過ぎですよ。私は、納得してます。」

「……先生が、そこまで言うなら……僕からは、何も言う事は、ありません。」

「では、気を取り直して朝礼です。まずは、学級委員を決めます。form leader。」

「先生、提案があります。」

「何でしょう。サマノ君。What’s。」

「これは、特別学級であると同時に、他のクラスとの接点を持たない『特別学校』とも言えます。よって、生徒会と同等の組織にすべきです。」

「……そうですね。皆さんは、どう考えます。think。」

「問題ありませんわ。」

「是非に及ばず。」

「同意シマス。」

「そう言う訳で、学級委員改め、生徒会役員人事を、決めます。student council。」

「そこで、もう1つ、提案があります。生徒会役員人事は、僕の一存で、決定させて下さい。そして、それに対する異論、対論、反論は、認めない。宜しいか。」

「………………そうですね。皆さん、いいのですか。agreement。」

「サマノ様が、そこまで言うなら、構いませんわ。」

「是非に及ばず。」

「構イマセン。」

「では、サマノ君、人事をお願いします。personnel。」

「では、会長は、僕。副会長、ポロポ。会計、アーデルハイド。書記、みぃちゃん。以上だ。」

 3人娘が、騒ぎ立てる前に、静かにしろと言う動作をしたサマノだった。

「理由を説明しよう。まず会計、一番お金と権力を持っている人物にした。次に書記、一番日本語に明るい人物にした。副会長は、消去法だ。異論、対論、反論は、認めない。宜しいな。」

「サマノ様が、そこまで言うなら、止むを得ません。」

「是非に及ばず。」

「分カリマシタ。」

 重い沈黙が、降りてきた。

「では、決定とします。decision。」

 こうして、世界一騒々しい朝礼が、終わった。


 * * * 



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