花一華
うす暗い部屋の中、一人
奪われたのは、熱か命か
焦がれたのは、この心か
過ぎ去った今ではもう分からない
外を見て、あなたの姿を探し求める
姿を見られることをためらわず
足に巻き付いた枷で動けず
まだ暁は来ないまま
流れ着いた時の中は
残酷ね
重ねついた泡沫の夢
もう見られないのね
罪深き歌を詠んで
言葉を連ねてゆく
憂き世の醜さを投げ捨ててしまいたい
どうして月は
こんなに酷く綺麗なの
ぼろぼろになった私の姿を
見ないで
朧げな夢から醒めて
花一華はアネモネのこと。