豹変
「ふゎぁ〜あ」
少し大きな欠伸をしながら登校している俺
もちろん一人だ。
欠伸なんて人に聞かれたら恥ずかしいだけだからな
別に友達が出来てないわけじゃないぞ?
クラスに馴染めてないだけだからな?
まだ隣の人とろくに話していないだけだからな?
まぁ、言い訳はこれぐらいにしておこう
俺の高校生活が始まってから今日で3日目
未だに俺は友人がいない
今日も俺は誰におはようと言うまでもなく席に着く。
やることもなくぼーっとしているとクラスの連中が
なにやら騒がしい。
「ねぇねぇ!今日テレビ見た?」
「見てなーい、なになに?なんかあったの?」
「いや、なんかすっごい気持ち悪い事件あったじゃん」
「気持ち悪い事件?」
「そうそう!いきなり人が襲いかかってきて齧られたってやつ!」
「あっ!それツュイッターで見た!」
どうやら世の中には突然噛み付いて来る人がいるらしい
いや、俺もたまに綺麗なうなじとか見ると食い入るように
見ちゃうけどさぁ?
本当に食い入っちゃうのは駄目だと思うよ?
まったく、紳士たるものいつでも冷静に努めなければと
キーン コーン カーン コーン
おっといつものチャイムだ。
俺は一人脳内語りをやめ、教壇に目を向ける
いつのまにか教室に入っていた先生が大きな欠伸をしていた。
「ふゎぁ〜あ」
なんかすっごいデジャブ
「おーし、授業始めんぞぉ」
そう言って先生が黒板に文字を書か始める
しばらく先生の黒板にチョークを走らせる音と学生のシャーペンの音しか聞こえない静かな空間が続く
ふと、振動を感じてなんとなく隣を見る
俺は貧乏ゆすりでもしてるもんかと思っていたが違った
隣の女子は体が震えていた。
小刻みに、それこそ集中しなければ分からないほど細かく
それだけならなんとも思わなかった。
まぁ、多少気になるがそれだけだ
だが、その子は目の焦点があっておらず、口から唾液が垂れていた。しかもよく見ると唾液には赤が混じっており、
耳から血が流れていた。
俺はなんだか不味い気がしてその子に声をかけようとした
「どうしたんだ」と一言かけようとした
俺が口を開けた瞬間、その子は口を大きく開けると
俺の首に噛り付いてきた。