第7話 大地を動かす女帝の復讐
前回までは……。
青年アレンが、美女グレースに導かれ、能力開発都に、たどり着くアレン。
そこで、まず目にしたものは目覚ましい発展を遂げた科学技術の都市、犬の少年メリー・ポリットとの出逢い、魔術師である少女のソフィアを助けたり、炎の魔術師ヘルチェイサーをぶっ倒したりと、色々あり、ソフィアと共に学園都市に向かうとちゅうで、ふらっと寄った店で、ソフィアの親友と出逢い、ソフィア達の悲しい昔の出来事を知ったアレン。
そして、今、学園都市に向かう路線が、なぜかトラップにかけられ、全然違う場所にたどり着いたのだった。
そのたどり着いた場所とは......。
なんと、荒野の果てだった。
そして、2番乗り場へ向かうアレンとソフィア達だったが、2つの分岐点により、衝突し、喧嘩になり二人は離ればなれになってしまった。
急いで後を追うアレンだったが、果たしてソフィアに追い付くことができるのか?
第7話 地形を自在に動かす恐怖の女!土砂属性ナギ!
アレン
「おーぃ!どこだぁ?」
「クソッ。砂嵐がすごくて、あまり前が見えねぇ。」
「ソフィアは、どこまで行ったんだ?」
「まぁ、2番、乗り場まで、行ってみるしか...なさそう...だな。」
前方を、砂嵐や、砂ぼこりで、よく見えないこの道で、最終地点である、学園都市行きへの2番乗り場まで行くしかないと決めるアレン。
10㎞程度歩いてきただろうか。
そこで、血へどの様な、血のかたまりがところどころ、地面にポタポタと垂れていたために、驚くアレン。
アレン
「これって、まさか、ソフィアの?!...じゃない...よな?!」
「けど、誰かの血であるのは、間違いねぇ。」
「くそっ。急がねぇと!」
そういう色んな思考が交差する中、アレンは早足で走り始めた。
数キロ進んだ所で、ふと足を止め、立ち止まる。
アレン
「うそだろ……?!」
「なんだよ、コレ。」
「なにが、どうなってんだ?!」
辺りを見回すと、なんとここまで向かって来ていた学園都市の生徒達が、数人血しぶきを吹いた跡の上に、傷だらけで倒れていたのだ。
アレン
「おぃ!大丈夫か?!」
学園都市の生徒
「逃げ…て…くだ、さい。」
アレン
「どうしたんだ?!」
「誰かに襲われたのか?!」
学園都市の生徒
「砂と泥、を操る...女が...。」
アレン
「砂と泥を操る女?!クソッ。また、新たな追ってかよ
!」
「まだ、俺の能力も、分かってないってのに。」
なんと、ポタポタと垂れていた血の痕は学園都市の生徒達のものだった。
さらに、その生徒達を襲ったのは、砂と泥を操る女だと言う。
まだ、能力名も、能力の秘密も分かっていない青年アレンは、闘うすべもなく、ただ見つからないようにしようと思うしか出来なかった。
そして、アレンは、1本の電話をかける。
アレン
「もしもし?」
「あっ!俺だ!」
グレース
「アレン?!どうしたの?!」
アレン
「学園都市の生徒達が、何者かに襲われてて、みんな傷だらけで、大変なんだ!」
グレース
「分かったわ。病院には、私から、連絡しておくわ!」
アレン
「あぁ。」
グレース
「それと、学園生徒達を襲うってことは、犯人は外部の人間よ!」
アレン
「そうなのか?!」
グレース
「えぇ。学園内には、SSG達や、CPTと呼ばれる治安や風紀を護る者達が居るもの。」
アレン
「けど、ここは学園都市外部だぞ?その効果は通用するのか?!」
グレース
「なんのための学園都市だと思っているの?」
なんと、電話をかけたのはグレースだったが、今の現状況と、対処法を両方聞こうとするアレンに、グレースは、犯人は学園都市外部の人間である事は、間違いないと告げた。
しかし、学園都市外部でも、SSG達の効果は効くのかと問うアレンに、グレースは、学園都市の治安維持の素晴しさを伝えた。
グレース
「とにかく、 SSGや、CPTにも応援要請しとくわね!」
アレン
「あぁ、頼む!」
グレース
「ソフィアちゃんは、無事なの?!」
アレン
「分かんねぇ。喧嘩して、離ればなれになっちまった。」
グレース
「なにしてるの?!早く見つけないと。」
アレン
「分かってる。だから、追っかけてたらこのありさまだったんだ!」
グレース
「そぅ。なるべく早く、ソフィアちゃんを保護してあげて!」
アレン
「あぁ、ありがとな。」
そこまで、伝えると、アレンは電話通信を切り、ソフィアの走っていった方向へ走り続けた。
すると、数キロ先で、物凄い音が鳴り響いた。
なんと、そこには、ソフィアと地滑りしたかの様な地形の跡、大量の大きな岩石が、あちこちに転がっていた。
それを、見るだけで物凄い激闘が繰り広げられたと感じるのは、手に取るように分かる。
アレン
「ソフィア、大丈夫か?!」
ソフィア
「あっ、アレン!来ちゃだめ!」
アレン
「えっ?!なん…で…。」
そこまで言いかけたアレンの、足元の地形が大きく傾き、転びそうになったが、体勢を瞬時に立て直す。
だが、その瞬間、後方から土石流が流れてきた。
アレン
「うそだろぉ?!ヤベェ。ソフィア、走るぞ!」
ソフィア
「大丈夫!私に任せて!」
「母なる大地よ!私の前に、大岩を出現させよ!」
「Rock Ridging(岩石隆起)!!」
ソフィアが、呪文を唱えると、大きな岩石が、地面から突如出現し、土石流を防いだのだ。
さらに、この辺り一面に転がっている岩石と同じものだった。
つまり、ソフィアの呪文で、出現したものだったのだ。
謎の敵
「あーら、また1人獲物が増えちゃったわね!」
アレン
「なに?!どっから、喋ってんだ。」
「正体を現せ!!」
謎の敵
「バカだね~。正体を現さず、相手を倒すのよ!それが、神秘ってもんでしょ!?」
「あ~!ゾクゾクするわぁ~!!」
アレン
「クソッ。ふざけやがって!」
なんと、土石流や地すべりを起こした相手は、正体も現さずに、アレン達を倒そうと言うのだ。
さらに、声だけが響き渡る様に聞こえてくる。
そして、正体を見せずに敵を倒すのがゾクゾクしてたまらいと言うのだ。
アレンも、辛抱たまらず、ふざけた奴だと激怒した。
アレン
「待てよ。確かあの時……。」
アレンは、ヘルチェイサーとの闘いの事を思い出した。
アレン
「そうか!」
「ソフィア、走れ!」
ソフィア
「えっ?!そっか。でも、アレン!」
アレン
「俺は大丈夫だ!いいから早く!」
ソフィア
「分かった!絶対生き延びてね!!」
アレン
「おぅっ!!」
謎の敵
「チッ。獲物がバラバラになっちゃ、めんどくさいのよ!」
アレン
「……フッ。やっぱりそうか!」
「お前の技は、相手がバラバラになれば、攻撃は定まらない!そうだろ!?」
謎の敵
「それが、分かった所で、なんだって言うのかしら?」
「お前を、先に叩きのめせば良いだけの事よ!」
青年アレンは、なんとソフィアに逃げるように命令し、自分はその場にとどまった。
そして、敵の攻撃は、二人が散り散りになって、逃げれば攻撃が定まらず、上手く狙えないという弱点を見つけだした。
そして、敵も弱点を突かれ、苦しまぎれに叫んだ。
だが、ソフィアが見えなくなるまで、待った後で、すぐにアレンも走り出した。
謎の敵
「ちょっと、待ちな!!」
アレン
「見えない敵を、いちいち相手にしてられるか。」
「とは言ったものの、なんとかしねぇと、このままじゃやられちまう。」
謎の敵
「待ちなって、言ってるのが~わからないの!」
「土砂崩壊!!」
アレン
「なにっ?!地面がっ!」
なんと、アレンも、ソフィアの後を追いかけようとした途端、敵が攻撃名を言い放った。
さらに、アレンの立っていた地形が大きく割れ、その地形が、沈んでいく。
ここまでか、と観念したアレンは、右手に軽く力を込めて、地面を殴ると、一瞬、白い暖かな光が放ち、凄まじいパワーを実感したアレン。
アレン
「なんだ、この暖かい光と強力なパワーは?!まさか、これって……。」
「......なら!」
謎の敵
「フン。どうやら観念したよーね。」
アレン
「誰が。」
謎の敵
「はぁ?なんだって?」
アレン
「誰がするかぁぁあ!!!!」
なんと、アレンは右手に思いきり、力を込めると沈んでいく地形を物凄い力で、殴りつけた。
すると、その地形がさらに大きな音を立て、激しく振動しながら元の高さに戻っていく。
謎の敵「なぁにぃぃい?!?!」
アレン
「よしっ!これだ!」
「俺の意志と、神に選ばれし力!」
「光、つまり希望の光が俺の意志でもあり、神に選ばれし力だったのか!!」
「ようやく...ようやくこれで...闘える!!」
謎の敵
「フンッ。ただ、アタシの力を粉砕しただけで、いい気になってんじゃないよ!」
アレン
「別に、いい気になってんじゃねぇ。」
謎の敵
「はぁ?」
アレン
「ただ、お前に勝つって自信を持ってるだけだ!!」
なんと、青年アレンは、自分自身の力で、自身の能力を見いだし、その強靭な力を理解した所で、敵が見えないのにも関わらず、逆転勝利の鍵を見つけたと言わんばかりの表情になった。
そして、見えざる敵は、自身の攻撃をふせいだ所でいい気になるなとくいを打つ。
だが、アレンは勝つ自信しか持ってないと高らかに宣言したのだった。
謎の敵
「アタシの能力名も分かってないくせに、誰がアタシに勝てるって?!」
アレン
「お前の能力は、土砂崩れに関係してるはずだ!」
「さっきの土石流と言い、地形を割ったのも、土砂の力だった!」
謎の敵
「ふーん。そこまで、分かってんならアタシの能力を、教えておいてあげるよ!」
ナギ
「私の名はナギ!!それと、マス・ムーブメント!これが、アタシの能力名さ!」
「この能力はね、土砂の力だけでなく、地形の傾斜を自在に変えたり、辺りの物に、まとわりついた土砂で、岩石なんかも動かせるのさ。」
アレン
「へぇー。土や、砂でそんな攻撃が出来るなんてスゲーな!」
ナギ
「......。」
ナギは、勝利宣言をするなら、自身の能力を解明してからにしろと言わんばかりの口ぶりをするが、アレンは、敵の能力を理解したと言う。
そして、それまで姿を現さなかった敵は、地中から、大地を割って、土砂の波に乗り、姿を現した。
さらに、ナギは、自身の名と能力名をアレンに告示するが、アレンは、すかさず触れずに物を動かすなんて凄いと告げた。
だが、その言葉で、ナギは15年前までの過去の出来事がフラッシュバックした。
~28年前のナギの過去の出来事の回想~
A
「よぉ~。ナギ!今日も能力の鍛練か?」
ナギ
「えぇ。そうよ!」
能力者A
「相変わらず精がでるなぁ!まっ。頑張れよ!」
ナギ
「えぇ!ありがと。」
能力者A
「なぁなぁ、あいつの能力知ってるか?!」
B
「知らねー。」
A
「あいつさ、土砂を操る能力なんだぜ!」
C
「うわっ!だっせーな。」
A
「だろー?!」
「今時、どんな古い能力だよ!って、話じゃね?」
B
「まぁまぁ、そんなに言ってやんなって。あいつだってちんけな能力だとは、分かってんだろ?!」
ABC
「ハーハッハッハ。」
ナギ
「......グス。」
なんと、ナギは、幼児期に暮らしていた街の1番旧式の能力者だったのだ。
そして、その街の中で、誰からもの嫌われものだった。
だが、ナギは皆に、古い、ちんけ、旧式だのと呼ばれ、イジメられる度に、どんどん能力を鍛練し、なんども立ち上がって来たのだ。
そして、10代を迎える頃には、その街の誰よりも明らかに強くなっていた。
ついには、自分をバカにしてくる、魔術師や、能力者達を次々になぎ倒していった。
そして、その倒した者達から、女帝とまで呼ばれる様になった。
それから5年の月日が流れたある日の事。
なんと、学園都市、もはや能力開発都市の中でも、最強と言われた学園生に、闘いを挑んだ。
だが、見たこともない力により、敗北してしまう。
そして、その時、その学園生にこう告げられた。
最強の男
「てめぇみてぇな、自分の力に頼り過ぎてて、名誉や地位だけで、俺に勝てるなんて思ってたのか?!だとしたら、相当自惚れてんなぁ!!」
「てめぇの地位や、名誉なんて、その能力通り、土や砂に埋もれて、全て化石になっちまってんじゃねーか?!」
~時は戻り現在~
ナギ
「自分が、1番大切だと思っていた地位や名誉のために、何度破れても勝ち上がってきたのよ!けど、その事に、傷をつけられ、それ以来、復讐、反逆のために、学園生を全員潰してやる!って、決めたのさ!!」
アレン
「おぃ!」
ナギ
「なんだいっ?!」
アレン
「てめーの考え方より、てめぇが1番潰したいと思ってる、学園生の方が、よっぽど立派なんじゃねーのか?!」
ナギ
「なんだってぇ?!」
アレン
「だって、そうだろーが!!」
「今までのお前は、相手に罵られ、馬鹿にされる度に、相手がどれだけ強くても、何度も勝ち越えてきたんだろーが!」
ナギ
「そうよ!」
アレン
「それなのに、1度狙った相手にたったの1度敗北しただけで、てめぇは、学園都市の生徒達が、必死になって頑張って努力する事より、逆襲の道を選んだんだろ!」
「それに、なんの罪もない、戦意も持たねぇ、学園生達に、こんな汚ねーやり方で、喧嘩を売ってくんなら、俺が代わりにぶちのめす!!」
ナギ
「それなら、お前を、徹底的に叩いて潰してやるだけよ!」
「泥雨砂!!」
なんと、青年アレンは、今までの思い出に浸りすぎて、地位や名誉どころか、ナギの大事にしていた今までの努力や、栄誉までも全て、土や砂の中に、埋もれて消えてしまってると言った生徒を肯定するかのように、ナギを勇敢な言葉で、一刀両断した。
さらに、ナギも、今までの苦労を全て、無駄にされた様な気分になり、最後の一撃だと言わんばかりに、アレンに大量の泥の槍を、雨の様に降らせた。
アレン
「んなもん、効くかよっ!」
ダダダダダ!!!!!!!!!!
一気に走り始め、泥の槍を全て避けきり、殴りつけながら、ナギの目の前まで思いきり走ってくると、右手に物凄い力を込め......。
アレン
「てめぇは、もっかい埋もれちまった地獄の底から、這い上がって来やがれ!!!!」
ボッコォーン!!!!
その言葉と同時に、ナギを思いきり殴り飛ばし、地の底から這い上がって来いと伝えた。
ナギは、回想シーンを思い浮かべながら、目に涙を溢れさせ、ぶっ倒れた。
ちょうど、その時SSG達が、現場に到着し、ナギの回収と、傷ついた学園生の手当てなどを行った。
もちろん、ソフィアがバス停から、ここまでの間を、先導して連れてきてくれたのだが、アレンに強く抱きついて、勝利の笑みと涙をこぼした瞬間、アレンは、こう口ずさみ、気絶した。
「ソフィア…無事だったか!」




