第2話 不思議な出逢い<メモリーズ>
あらすじ
青年は、山の中にある広場、今の世で言う小さい公園の様な場所で目覚め、動揺してる折から、約3メートルはある、ライオンと狼のような合成生物の化け物ケルベロスに襲われかけ、しかも、逃げてる際中に足を少し大きめな石で踏み外し、山道を一直線にくだり落ちていくという、なんとも不幸の連続が巻き起こり、今、山道の1番麓にある、小さな街ドリームローズタウンに着いたのである。
第2話
不思議な出逢い<メモリーズ>
ドリームローズタウンは、見渡す限りのたくさんの店や、高層建築物、噴水や水の潤い、大きな広場や、雑踏にはたくさんの小さな花々が咲き誇り、大勢の人々の賑やかな話し声が希望や期待などで胸いっぱいに溢れるように、聞こえてくる。
パン屋の主人
「今日も、パンが大安売りだよ〜!ここのお店の人気名物メロンコルネが、いくつでも、まとめ買いで売ってるよ〜!」
花屋の奥さん
「今年も綺麗な色とりどりのバラがたくさん咲いたよ~!」
「是非、買ってって~!」
町長さん
「今日は、週に一度のバラの花束をふんだんに使い込んだ、花吹雪が舞い散ります!」
「その花吹雪に当たると、たちまちバラの香りで包まれ、気絶する人すら居るという幸せな一大イベントの日です!」
「存分に盛り上がって行きましょう!!」
青年「...な...なんだ。」
村人A「今日も、朝から街が大賑わいだな!」
村人B「本当ね!こんなに楽しくて、明るい日々ならいつまでも続けばいいのにねぇ。」
青年「なんで......。」
村人C「まったくだ!!」
村人達は、この平和な街の暮らしが、とても気に入っているらしく、バラの強すぎる臭いで気絶する事は除いて、いつまでも続いて欲しいと言いながら、皆で高らかに大笑いをした。
青年「なんで、この街はこんなに、キラキラ輝いてんだぁ~?!」
青年は、さっきのあまりにも、殺風景だった山の方角を見つめ直した後で、このドリームローズタウンの街を一望し、物凄く大きな声でこの街の意気揚々として、活気溢れる街並みに目を丸々と輝かせながら、大声で叫んだ。
青年
「けど。ハハッ。まぁ、確かに街が、こんなに穏やかで平和なら、安心だな!」
「ふわぁぁぁ~。」
青年がこの街に来て、平和で穏やかな街並みで助かった安堵で、胸を撫で下ろすと、安心しすぎたせいか、咄嗟に欠伸が、顔を表した。
青年「なんか、安心したらお腹空いてきちまったな。」
青年が笑顔で、そう呟くと、街中を、軽快に歩き始めた。
暫くすると、バラのいい香りに紛れて、美味しそうなパンの匂いが鼻めがけて飛び込んで来た。
青年「うわっ!!あのパンめちゃくちゃ旨そうだな。」
青年「すいませーん!そのパン1つ...うわぁ...!!」
早く食べたくてしょうがなかった青年は、軽やかにパン屋に走って近づきながら、注文しようとした所で、激しい衝突音と共に、「キャッ」と女性の小さな悲鳴が聞こえ、その女性と共に地面に倒れこんだ。
青年「イテテ……。」
青年が、顔を上げようとすると、目の前になにやら、白くて柔らかそうなものが、水色のワンピースから輪郭を見せている。
青年「え?これって…もしかして…?」
女性「んー……。イタァ~イ!!えっ?!…キャアッ!!」
青年が目の前にあるものがなにかと考える前に、その女性も、むっくりと体を起こして、すかさず、再び今度は先程よりも大きめに、少し照れ臭そうに、悲鳴をあげた。
マズイ。これは、お決まりのビンタですか?!と目をつぶって青年が、我慢していると……。
女性「あ、あの~?大丈夫ですか?」
艶々(ツヤツヤ)した白髪が背中の辺りまであり、綺麗な碧い瞳の色白の水色のワンピースを着た長身美女のお姉さんが、心配そうに声をかけてくれた。
青年「えっ?!」
女性「お怪我などされていませんか?」
青年「あっ、はい!大丈夫です!!」
「それより……。」
女性「そぅ。良かったわ!」
そっと立ち上がった二人は、お互いの顔を見合せ微笑んだ。しかし、女性は、自分の事より、目の前に居る青年の事ばかり気にかけ、優しい言葉をかけてくれた。
こんなハッピーサプライズ、今まで経験した事もなかった青年は、誰からのプレゼントだ?まさか、神様からのプレゼントか?!などと、阿呆な考えを過らせていた青年に向かって、その女性はこう呟いた。
女性「あら…。それって…?」
青年「え?なんの事ですか?」
青年「って、なんだこれ?!」
お姉さんが細くて綺麗な人差し指で、指し示す方に目をやると、青年が1枚の切符をしっかりと握りしめていた。
そして、その切符をじっくり見てみると、何かの文字が書かれていた。
それは、能力開発都市(学園生)行きと、書いてあり、驚嘆した青年は、女性に切符を見せた途端に、こうもらした。
女性「これって。」
青年「なんか、マズイんですかね?」
女性「いいぇ。それより、あなた学園都市の生徒さんだったの?!」
青年「え?いや、ち、ちがぃ……。」
女性「だとしたら、あなたは早く駅へ向かった方がいいわ!!」
女性が、切符を見るなり、少しビックリした表情になった。なぜなら、この都市のセントラル、所謂この世界の三大重要機関である魔術と超能力が共に生存している能力開発都市の学園に行くための切符だったのだ。
それを、青年に確認するが、当然知るはずもなく、女性はてっきり、勘違いをしているのか、青年の事を、その能力開発都市の学園生だと思い込んでしまったのだ。
女性「駅はここから、300メートル先にあるわよ!」
青年「いや、だから、俺は……。」
女性「いいから早く!もう、列車が来ちゃうわ!」
青年「え!ちょっと、お姉さん?」
その女性は、まるで青年の話を一切聞いていないかの様に、青年の手を握り、猛ダッシュで駅に向かって走り始めた。
青年も、また、お姉さんに手を引っ張られて走るという生まれて初めての経験に、ややハッピーな気持ちに高鳴る胸の鼓動を抑えつつ、駅へと走っていった。
これから、待ち受ける地獄の恐怖が待っているとは少しも知る由もなかった。




