第10話 能力試験<アビリティーテスタメント>
幾多の難を乗り越え、ようやく学園都市にたどり着いたアレンとソフィア達。
学園都市の入り口で待っていたのは、なんとアレンと夏姫達の担任のララフィー先生だった。
そして、新入学園生式で、大々的に表彰されたアレンは、学園都市生徒達、皆の脳裏に深く焼き付けられた。
それは、アレンがこの学園都市に迫り来る危機を救うためにやって来たことを一人でも多くの生徒達に、分かってもらうためだった。
さらに、クラスメートの秋黄鷹、真銀と、青泉、夏姫達の輪に入り、落ち着いていた時、クラスメートの銀亜が、最近多発している事件に巻き起こされるのは、お気楽な考え方をしているアレンみたいな奴のせいだと告げるが、秋黄鷹、真銀、青泉、夏姫はアレンを全力で庇い、さらに注意換気を促す。
だが、事件が多発しているのは、間違いなかった。
そして、今、アレンの能力を解明するためにララフィー先生はとある計画をしていたのだった。
アレン
「ふぁぁぁあ~。」
「もう、7時か。よく寝たな。」
ソフィア
「アーレーンー!」
アレン
「ど、どうしたソフィア?」
ソフィア
「どうしたじゃないんだよ!」
アレン
「なに、怒ってらっしゃるんですか?!」
ソフィア
「私は今、非常~におなかが空いてるんだよ!」
アレンは、久々に暖かい部屋の中で寝れたという実感を体が覚えていたのだが、昨夜寝たのが、学生寮の手続きや、寮官とララフィー、アレンの二人で必死にソフィアと共に居させて欲しいという事を説得させたり、他にも部屋への物般運送などを行っていたために、就寝出来たのが、0時を過ぎていたのだ。
だが、早起きのアレンは、ひどく疲れていたのにも関わらず、朝早く起きれたのだ。
だが、1つ問題点があった。
ソフィアがアレンより早く起きていたために、お腹を空かしてアレンが起きるまで待っていたのだ。
「あぁ、なら食堂に行くか。」
「今すぐ!!」
「支度出来るまで待ってくれ!」
「がまん、でーきーないー。」
「はぁ。不幸だ。」
なんとか、アレンは着替えだけ済まして、ソフィアと共に、食堂に向かった。
その食堂には、何百人という生徒達が居たのだが、その内のちらほら何人かが、こちらを見てクスクスと笑っているのである。
「ねぇ?あの人達、なんでこっち見て笑ってるの?」
「ん?あぁっ、気にしなくてもいいぞ~。」
「でも、気になるんだよ!」
「んー。なら、もうちょい待っててくれれば、笑われずに済んだかもなぁ。」
「それって、どういう意味?」
「なんでもないって。とにかく、大丈夫だ!」
「ふーん。」
着替えだけはしていたものの、寝ぼけ眼に髪型まで寝癖がついたままのぐしゃぐしゃな姿だったアレンを見て、笑っているのが、アレンには分かっていたのである。
それに、気付かないソフィアに、アレンは、気づかせようとするが、ソフィアは見慣れていたために気づかなかったのだ。
「それより、アレン!今日は休みの日だから、一緒に遊べるんだよね?」
「んー。いや、なんか特別に学校に緊急召集されてるんだ。ごめんな。」
「けど、ここの寮では、無料で使用できるとこ多いから、遊び放題だぞ!」
「ほんとに?無料なの?」
「あぁ、この学園都市無料パスがあれば、遊び放題!食べ放題だぞ!」
「うわぁ~。食べ放題なんだよぉ。」
「後、俺とソフィアが二人で暮らしてるのは、秘密な!」
「これで、なに食べようかなぁ?」
「って、話し聞いてんのかぁ~?」
ソフィアは、最近、アレンと遊べてないために、今日は祝日だったために、アレンと学園都市で遊びたいと思い、アレンに遊べるか聞いてみた。
だが、今日が祝日なのにも関わらず、アレンの教室は、緊急召集されていたのだ。
そのために、ソフィアとは遊べないものの、ソフィアに無料パスがあれば、この学生寮の施設は、全て利用可能だという事を伝えた。
そして、アレンは、ソフィアと共に暮らしているのは、ソフィアと二人だけの秘密だと伝えるが、ソフィアはそっちのけで無料パスに目を輝かせていた。
「聞いてるんだよ。でも、どうしてなんだよぉ?」
「バレると、こっから追い出されちまうんだ。」
「えぇ?!それは嫌なんだよぉ!」
「なら、守れるか?」
「うん!分かったんだよ!」
ソフィアは、理由も分からず言われたために、なぜかと理由を聞いた。
だが、アレンは、その約束を破ると、この寮から追い出されると端的に述べる。
ソフィアも、それは困ると思い、絶対に守るとアレンの前で、断言した。
アレンも安心して、ほっと胸を撫で下ろした。
アレン達が、大食堂で学食を食べた後、アレンは、学校へ行く準備を全て済ませ向かおうとした。
「じゃあ、行ってくる。」
「行ってらっしゃーい!」
「おぅ!」
「ちょい待ちーや、アレン。」
「秋黄鷹!どうしてお前が?」
なんと、アレンがソフィアに出掛ける前の挨拶をした後、秋黄鷹が、アレンの元へ駆け寄ってきた。
どうして、ここの学生寮に居るんだと言わんばかりに、疑問を投げかけるが、それは、秋黄鷹の言葉により、謎は解ける。
「俺も、アレンと同じ学生寮やねんで!」
「そ、そうなのか。」
「せやねん!奇遇やなぁ~。」
「なんか、運命感じるわぁ!」
「あぁ、俺もだ!」
「よし、ほんなら一緒に行こーや!」
「あぁ!」
なんと、秋黄鷹も、アレンと同じ学生寮に入っていたのだった。
運命を感じると、2人は言い始め、その熱い思いのまま、2人は共に学園へ向かった。
途中で、7番学区のフォリナー通りで、真銀と遭遇した二人は、3人で学園に向かった。
そして、3人が、クラスに着くと、半数以上の生徒達が既に集まっていた。
到着した3人に、青泉が声をかける。
「あら、あなた達来るの少し遅かったわね。」
「そーか?いつも通りの時間やで?」
「えぇ。僕も、早めに来たつもりですけど。」
「それより、今日なんかあるのか?」
「祝日で臨時召集なんて。それに、来てるの俺達のクラスだけみたいだし。」
「そうなのよ。そこが私もひっかかってるんだけどね。」
少し、ピリピリした感じで、秋黄鷹、真銀、アレンの3人に来るのが遅いというように、話しかけてきたが、いつもより早めの時間帯で登校してきたと伝えるアレン達。
それは、臨時召集にも関わらず、他のクラスの生徒達が、誰も来ていなかった事に対して、少し緊張感をもっていたからなのだ。
その時、ララフィーがクラスに入ってきた。
「みなさーん、GoodMorningで~す!」
「おはようございまーす。」
「早速ですが、今日の臨時召集で、なぜこのクラスの生徒達だけが、集められたのか、気になってる人達もいるみたいですけど、それは、全然リライブリーしてくださ~い!」
「今日は、このクラスの代表生徒のみの能力試験を行います。」
「能力試験?!」
ララフィー先生は、入ってくるなり、今回の臨時召集の理由を生徒達に告げた。
それは、なんと、代表生徒のみで行う能力試験は、常にサバイバル形式のバトルロワイヤルと決まっているのだ。
「やっぱり、そういう事なのね。」
「その能力試験って、まさか......。」
「彼のための能力試験なんですか?」
「えっ?」
なんと、青泉、秋黄鷹、真銀はすぐにアレンのための能力試験だということに気付いた。
そして、アレンは、なんの事かと思い、疑問を隠せずにはいられなかった。
だが、その疑問は、ある一人の言葉により、確定せざるを得ない状態になってしまう。
「ハンッ。おもしれぇ!コイツのためとは言え、俺達まで闘えるんだろ?」
「俺の...ため...?」
「そう!アレンちゃん!あなたはまだ自分の能力をディスカバリーされてないんですよね?」
「あっ、あぁ。」
「正確には、能力名が分かっていないんだ。」
なんと、その空気を破ったのは、銀亜だった。
だが、銀亜の言葉に、アレンは、自分の能力解明のために、臨時召集されたのかと理由を知り、皆に感謝の気持ちを抱いた。
大天使 翼
「そういう事なら、僕達も参加しますよ!アレン君のためにもね。」
聖龍 珀
「まぁ、私は、この極限まで鍛え上げた体技を、試させてもらういい機会だ!私も参加しようではありませんか。」
花森 香
「えぇ~。翼と珀も出るんなら、私も参加しようかなぁ~!」
銀亜
「ハンッ。誰が来ようとも、片っ端から、ぶちのめしてやるぜ!」
ルクセン・莉人
「このボクのレイピアの剣技で君達を踊らせてあげるよ!」
速風 風雅
「めんどくさいけど、やってやるよ!」
なんと、代表に選ばれそうな選手が、次々に思いを口にした。
そして、いよいよ想いを口にした者達が、そのまま、代表に選ばれた。
そして、試験会場へと皆試合会場へと、皆は移動して、試合が始まる前準備をした。
だが、試合選手の控え室では、選手達の会議が開かれていた。
秋黄鷹
「なんで、俺まで選ばれなあかんねん。」
青泉
「ほんとよ。私だって、ほんとは参加する気なかったのよ。」
真銀
「まぁまぁ、二人ともそう言わずに。これは、彼のためでもあるんですから。」
青泉
「彼って、月弥音くんの事?」
秋黄鷹
「せやなぁ。アレンのためにも、俺らも頑張ろか」
青泉
「そうね。月弥音くんのためなら、私も頑張れそう!」
真銀
「では、まず相手の攻撃方法、守備範囲などの分析から、始めましょうか。」
秋黄鷹
「せやな!」
青泉
「分かったわ!」
秋黄鷹、青泉は、最初この能力試験の代表に選ばれた事に対して、文句などを言っていたが、真銀のアレンのためにも、頑張ろうという想いに賛同し、この試験に全力で挑もうと、決意を固め、冷静に作戦会議に取りかかった。
しかし、一方、翼達の控え室では......。
翼
「さっきは、アレン君のためとは言ったけど、実際の所、大天使である僕に勝つ方法なんてあるのかな?」
珀
「それは、どうかは分かりませんけど、僕たちの力を甘く見てるようなら、確実に...…死にますよ。」
香
「ニコッ。も~う、そんなに怖いこと言わないでよぉ~!」
「怖すぎて、ゾクゾクするよ~!」
翼
「まぁ、僕達は、僕達のモテる限りの力を発揮するだけだよ。」
香
「そうだね~!」
珀
「はぃ!」
先程、教室で、生徒達の前で、いい格好してた翼達が、反旗を翻したように、自分達の持てる限りの全力でこの試合に挑もうとしていた。
そう、この能力試験、いや、サバイバル・バトルロワイヤルは、時に命にすら危険が及ぶ場合があるのだ。
そのために、気を抜いて闘う者達は、必ず敗北してゆく、それがこのサバイバル形式なのだ。
そして、銀亜達の控え室では、もはや作戦会議どころではなくなっていた。
銀亜「さーて。俺に全力で歯向かってくる奴らは皆殺しだ。」
ルクセン・莉人
「おやおや。怖いですねぇ。この試合で死者が数年ぶりに、出そうな予感がしますよ。」
風雅
「めんどくせぇな。とっとと帰って、眠りたいぜ。だが、SSG達が居る前で、死者なんかださんでくれよ。」
銀亜
「おぃ!風雅!俺に命令すんじゃねぇ!叩きのめすぞ。」
風雅
「めんどくせぇ。もうなにも言わねーよ。」
銀亜
「だが、SSG達まで来てちゃ、本気は見せれねぇな。」
三人(銀亜、風雅、莉人)
「だが、とにかく、
めんどくせぇけど、全員ぶっつぶす!
僕の剣術で、必ず、 」
殺伐とした空気を漂わせる銀亜達の控え室では、会議どころか、全ての敵を打ち倒す事しか3人の頭の中の、思考にはそれだけしか、なかった。
そんな時、学園前の大通りでは、5(フィフス)クラスの生徒の夏姫だけが、唯一試合会場には行かず、1人で学園内にいくつかあるお店を眺めながら、歩いていた。
夏姫
「まったく、なーにが能力試験よ。」
「私だって、そりゃ参加したかったといえば、嘘じゃないし、皆の事が心配でもある。」
「けど、だから逃げてきたとか、傷つくのを見たくなくて逃げてきたわけでもない!」
「私は...ただ...。」
夏姫は、今、自分がなぜ、試合会場に行かず、こんな大通りを1人で歩いているのかという気持ちに答えが出せずに、1人で自問自答していた。
そこへ、1人の少年が後ろから追いかけてきた。
「おーぃ!」
「ん?誰よ。こんな時間に。」
場所は変わって、ララフィーが、ある1人の生徒を必死に探していた。
「もう、二人とも、どこに行っちゃったんですかぁ~。」
「特に、あの子は、今回の能力試験に必要不可欠な存在なのに~!」
場所は移り、学園都市の大通り。
「えーと...確か...夏海だっけか?」
「違うわよ!夏姫よ。な・つ・き!」
「そうだった。夏姫、お前なんで1人でこんな場所に居るんだよ!」
「えっ?なんでって......。」
「そんなの、私の勝手でしょ!」
夏姫を追いかけてきていたのは、なんと今回の能力試験の目玉であるアレンだつたのだが、その当人が、今、夏姫の目の前に居て、どうしてこんな場所に居るんだと言わんばかりに、夏姫の心情を聞き出そうとした。
だが、夏姫は、必死に自分の気持ちをごまかそうとして、アレンにきつく当たってしまった。
そのせいで、アレンに対して、悪いと思う気持ちと、私なんかのために、こんな所まで来てくれたのかと、頬を少し赤らめた。
だが、夏姫は途端にララフィーのために怒り始めた。
「ってか、なんであんたがここに居るのよ!」
「今回の能力試験は、あんたのために、ララちゃん......が、真剣に考えてくれたのよ!」
「そのあんたが、なんでこんな所に......」
「お前を探しにきてやったんだろーが!」
「えっ?」
夏姫は、アレンのために、真剣に考えてくれたララフィー先生の思いをどうして無駄にするような事をするんだと言わんばかりの口ぶりで怒ってみせるが、逆にアレンも、それならこっちにも言いたい事があると思い、夏姫の言葉を遮って、同じクラスの生徒達が、みんなで夏姫のために点呼が取れず、あちこち探し回っていると報告を受けた青泉に、アレンが責任もって探してくるから、順番は最後に回してくれと伝えた。
その代わりに、青泉にいいことを教えてもらったのだ。
それは......。
「ったく、なんであんたと一緒に、自転車に乗らなきゃいけないのよ。」
「なんでって、しょうがねぇだろ!」
「自転車屋さんの店員に、1つしか貸し出せないって、言われたし、それにお前とじゃなきゃ、こんな速く走れねえだろ。」
「ったく、しっかり捕まって、振り落とされんじゃないわよ!」
「おぅ!」
なんと、アレンが夏姫と共に、自転車屋さんに行き、貸出し用の自転車を1台借りて、夏姫の夏姫のサンレイズ(太陽光線)の力を借りて、ソーラーパワーで猛烈な速度(車の時速100km)で、景色を消し飛ばすように、自転車をこいで、試験会場に向かった。
そして、アレンと夏姫は、能力試験の終盤で、会場にたどり着いた。
そこでは、双葉青泉と花森香の試験が始まる直前だった。
5(フィフス)クラスの副クラス委員
「ちょっと、夏姫!あんた今までどこ行ってたのよ!」
夏姫
「みんな、ごめん。ちょっとこういうの苦手だったんだ。」
クラスの女子達
「なら、夏姫私達と一緒に試験観よ!」
クラスの男子
「夏姫も、こっち来て見てみろよ!」
「う、うん。」
「ほらな、皆お前も待ってたんだよ。」
「......。」
「なら、俺は試験があるから行ってくるぞ」
5(フィフス)クラスの生徒達は、夏姫が戻ってくるのを、皆で暖かく待っていたのだ。
そして、夏姫に、クラスの生徒達は、皆で暖かい声を一斉に投げ掛けてくれた。
そして、これで、クラスの生徒達の気持ちが分かったかと言わんばかりの口ぶりをするアレン。
試験があるから、行ってくるぞと言う口ぶりをすると、夏姫は、アレンにこう呟いた。
「ちょっと、ちょっと待って!」
「ん?」
「あり...がと...。」
「ハハッ。あぁ!行ってくる!」
「ムチャ、ムチャしすぎるんじゃないわよ!」
「あぁ。分かってるって。」
夏姫は、アレンにお返しに、感謝の言葉と、照れながら
、励ましのエールを送った。
アレンも、夏姫の期待にも応えると宣言して、勇姿を見せた。
「こら~アレンちゃん!もう試験はとっくに始まってるんですよ~?」
「一体、どこに行ってたんですかぁ~?」
「あぁっ。わりぃ先生。今から、控え室行ってくる~。」
「もぅ、アレンちゃんったら。」
「でも、グッジョブ!なのですよ!」
そして、アレンが、控え室に戻る最中に、ララフィーと偶然出会い、今までどこに行ってたんだと注意される。だが、ララフィー先生は、心の中では、アレンをさすがだと誉め称えていた。