どうか僕を殺してください
あなたは言う。
「あなたのような人間とは関わりたくないの。」
そうか。
僕は君の言っていることが十分に理解できる。
僕は罪を犯したのだからね。
文字に起こすのもはばかられるから書きたくもないような、
救いようのないやつをね。
いろいろと考えを巡らせてみたんだよ。
自分を正当化しようとすれば、できなくもなかった。
僕は単に「知らなかった」からやってしまったんだって。
でもね、知らなくても刑務所にはいかなくてはいけないっぽいんだよね。残念なことに。
だからさ、どうやってそれを避けるかって考えるじゃん?
まあそうしたらさ、時効なり示談なり逃げる方法はいっぱいあったわけ。
けどね、だめなんだ。
僕自身とあなたが僕を許してくれないんだから。
本当の意味で僕の人生が終わってしまった、と思っている。
いくら嘆いても後悔してもだめなんだ。
僕自身でありつづけることに耐えられなくてたまらない。
死なないとだめなのかな。
そう簡単に死ねない。こわくて。
いいことを思いついた。
僕はもうすでに「あの世」の人間ってことで生きていこう。
うん。これなら気が楽な気がする。
もう何も怖くないや。
あなたに軽蔑されるのも。
自責の念に駆られることも。
本当の自分自身を打ち明けられないことも。
社会的評判が貶められても。
肉体的苦痛に苛まれても。
もう、大丈夫なのだ。
いつでも「あの世」に脱出できるのだからね。
今この瞬間から、僕の死者としての生が始まる。