表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/18

crystal labyrinth 開始初日

 四月二十九日。GW初日、そしてクリスタルラビリンス公式版の初日。


 午前十時の開始を多くのプレイヤーが胸をときめかせて待っているんだろうな。

 もちろん私の甥っ子達も。


 私は今日はゲームの中から外にこぼれ出てくる情報を観察するつもり。

 開始直後のラッシュに巻き込まれたくないと言う気持ちもあるので明日の朝から参加する。

 もちろん私の他にも様々な理由で初日からは参加できない人達もいるんだろう。



 私の日課は毎朝九時に鷹原医師の回診を受ける事だ。

 今日も九時に先生が現れた。

 その時に約束させられた事は以下のとおり。

 1、毎朝九時、病室(VRの)に戻って回診を受ける事。

  (ゲーム内では三日に一度。アラームをセットしておこう)

 2、睡眠をたっぷり摂る事。(ゲーム内でも睡眠は可能)

 3、ショックを受けるなど動揺する事があったり気分がすぐれない時は直ちに病室に戻り診察を受ける事。

 4、上記の場合などで脳波に大きな乱れが見られたら強制的に病室に戻される場合がある事。


 私のように常時VRダイブ状態のユーザーはゲームのアクセス時間の制限が完全に解除される。だからこそ睡眠時間を大切にするようにだって。

 一般ユーザーは十九歳以上・十八歳以下・十五歳以下のそれぞれ一日のログイン時間と連続ログイン時間がきめられている。

 高齢者やメディカルユーザーの場合はそれぞれの状況に応じて時間制限が決められるらしい。




 そんなこんなでいよいよ十時になった。

 クリラビの公式ホームページにアクセスして見ると初めの町に降り立ったプレイヤー達の動画が流れ始めた。

 三倍速だから編集はされているんだろう。

 映る視点が変わり場所が変わりして各地の様子に切り替わって行く。

 この人達は事前にキャラクターの設定を済ませていた人達なんだろうね。

 みんな歓声をあげたり呆然と周りを見回していたり。

 どちらにしろ楽しんでいるのが分かる。


 早速ゲーム内の龍樹からメールが来た。

 甥っ子姪っ子総勢六人は全員ログイン済み。

 着いた場所はやはりばらけているらしい。

 招待券をくれた三人はフレンド登録されているはずだから明日ログインしたらどの町に着いたかメールするようにと。

 了解、うんと楽しんでてねと返信した。



 その内公式ホームページの掲示板に書き込みが流れ始めた。

 一度流れ始めると中は三倍速なのでどんどん書き込みが増えて行く。

 どんなに見えるものが凄いか。どんなに体がよく動くか。どんなに感覚がリアルか。匂いも味も。

 初めてモンスターを倒した。攻撃を受けた。強かった。弱かった。

 書き込んだ人達の興奮が伝染して私もワクワクしてくる。

 明日からが楽しみだ。



 その後は少し眠っては掲示板を覗くことを繰り返している。

 中でも一番熱心に見ているのが最初に降りた町の情報。

 書き込んだ人達に寄ると各面が赤・青・黄色・緑・白・紫に色分けされた六面体のサイコロで決まるらしい。

 赤は大国・ルビア帝国の寒村。青はやはり大国・サフィール王国の辺境の小さな町。黄色はシトロネラ共和国の町。緑は小さなエメロード公国の首都。白は宗教国パーリッシュ聖国の村。紫は中立自由都市アメジスティア。

 大きな国程田舎に小さい国程中心に最初の場所があるようだ。


 βテストではルビアとサフィールとシトロネラだけだったそうだ。

 その時はルビアとサフィールは少しきな臭かったそうだけどレベルの上がりやすいモンスターやクエストが多くあって冒険者には人気があったそうだ。

 シトロネラは商業の盛んな国で流通や商品の開発力にも優れていて生産者に人気だったらしい。


 今回追加されたエメロードは大陸南西部の半島に位置し小さいながらも穏やかな気候でのんびりした雰囲気だそうだ。


 パーリッシュは大陸を南北に分ける山脈の更に北東に位置しその西にサフィールを挟んでルビアがあるらしい。聖国と自称するところに胡散臭さを感じる……


 大陸北部はレベル上げには向くかもだけどちょっと国同士がゴタゴタしそうな気がするなぁ。


 そしてアメジスティアは大陸の南東の端にある都市で都市自体の規模はそれなりに大きいけれど近郊に小さな村をいくつか抱えただけの纏まりとしては小規模なところらしい。


 この六ヶ国以外にもいくつか国がありそうだけどまだ判らない。


 個人的には王侯貴族がいる国とか宗教国は面倒くさい事が起きそうな気がするから避けたい。

 それなら山脈の南側のどれか、シトロネラかアメジスティアかな。

 小国・エメロードはまだマシかも知れないけれど。


 そう思いながらも掲示板を読み続けている。

 攻略やレベル上げに熱心なプレイヤーにはやはり大陸北部の人気が高いみたい。

 シトロネラがそれに次ぐくらいでエメロードとアメジスティアは人気が無さそう。

 小さすぎる事と周囲にあまり強いモンスターが出ないっぽいからだって。

 南部の国に降りたガチな人達は早々に北部の国へ移動すると言っている。


 その後エメロードは常春で農産物が豊富な土地だとかシトロネラは南部の中心国でアメジスティアにもエメロードにも接しているとかアメジスティアには港があり漁業も盛んで更にシトロネラや西方面の海に面した地域と船でも流通があるという事が判ってきた。


 そして最後に個人的に決定的な情報が判明した。

 アメジスティアは魔法が盛んでまだ入学の方法は判らないけれど魔法大学院があるそうだ。

 ファンタジーの花形はやっぱり魔法でしょ!っという事で私の第一目標をアメジスティアに決める。

 最初にアメジスティアに降りられなかったらせめてシトロネラ、でなければエメロードだと良いな。

 もし北部の国に降りてしまったら早々に護衛を雇っても南部に移動しよう。

 護衛を雇うお金は課金で賄えるかしら。


 取り敢えずは最初に幾らか課金しておく事を決意してホームページを閉じた。


シリアス気味だったプロローグからゲームに関わるほどにゆりあの言動がくだけて行きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ