プロローグ 5 (改変済)
説明回です。
説明を説明ぽくなく書きたいと思うのですが力及ばず、です……orz
1/22 ゲーム内の時間表示を改めました。
来客が帰った後またしばらく睡眠を取りそれから溜まっているメールを少しずつ整理する。
重要度ごとに分け不要分を処分した後クリスタルラビリンスの公式HPにアクセスしてみる。
美しくリアルな動画、様々な職業、多種多様なアバターに驚かされる。
最初にフルダイブのVRゲームが登場したのは私が大学生の頃だった。
その頃のマシンはまだ大きなカプセル状でとても個人宅に普通に置ける大きさではなく専用のゲームセンターで利用するものだった。
私も何度か試してみたけれどまだ視覚や触覚などの再現度も低く、また主に世界観光と戦闘を楽しむタイプの物ばかりですぐに興味を無くしてしまった。
その後、マシンの小型軽量化は年々進み現在ではアイシェード付きのヘッドギアと体に数カ所付ける小さなセンサーがセットになっている。
今後これらも体内に埋め込む形になるんじゃないかと言われている。
最近の私のVR利用はと言えばネットシアターでの音楽や舞台芸術の鑑賞とワールドネットライブラリーでの読書や付属のショップでのレンタルや購入、そしてセミダイブで弾き語りの公開を時々する程度である。
セミダイブで配信とはネット放送配信サービスを利用して行うものでVR内をモニターしつつ現実に意識を置いたままでの動きや演奏や音声をVRへ投影することを指す。
リアルのままの映像を流す人もいるけれど私は森の中の広場のセットに二足歩行の青い猫のアバターを利用している。(ちなみにどら焼き好きの耳の無い彼ではありませんよ!スラリとシッポの長いアバターで瑠璃猫と言うハンドルでした)
アバターが現実での私の動きをVR空間に再現して私の声で歌い演奏するのだ。
オーディエンスも動物のアバターを選んでダイブして森の音楽会という雰囲気を楽しんでもらっていた。
それは中々可愛くて楽しくて気に入っていたし、それなりに固定のオーディエンスも付いていたんだけれど今の状態では続けられそうに無い。
残念だけれど健康上の理由ということで無期限凍結のお知らせを書き込むことにしよう。
ちなみに現在この国ではほとんどの家庭にHSが普及していてVRを利用する人はVRマシンに国民IDを登録しHSと相互に連携するようになっている。
ダイブ中の体調の急変や火事や地震など外的な危険に対応するためだ。
取り敢えずは放送サイトに断りを書き込んだ後再びメールに戻り重要な相手から返事を書いていった。
夕方になり兄や甥達とチャットする。
私は40歳になったら今の仕事を辞めて自然が残る土地に引っ越してVRで仕事をしようと計画を建てていた。
その為に30歳からここ八年ばかりがむしゃらに働いて資金の用意をしてきたのだ。
だけどどうやらその計画も長期的に延期しなければいけなくなってしまったようだ。
今朝、会社からはVRオフィスで仕事を続けるように打診されたが一層の事もう退職して無職になろうかという気分にも今はなっている。
計画の為の資金もそれなりに溜めていたし入院している間は生活費もかからないし賠償金も保険も入る見込みだし。
そんな事などを兄達に相談してみたのだがもうしばらく様子を見てはどうかと言われた。退職自体は二年早まる程度だが。
金銭的にはおそらく今後一生に渡って生きるに困らないだけの貯えは出来るだろうけれど、今は体からの影響で気分的に働く気力が薄れているのだろうからと。
なるほど今は体の状態が精神に影響しているんだなと当たり前の事なのに言われて初めて気が付く。
心が元気にならなきゃ体も元気にならないぞ、その為にはゲーム内であろうと存分に楽しめと発破をかけられる。
それでは今度は俺達がゲームの話をと龍樹達が話し出す。
CLの中では時間が三倍になるらしい。つまり現実の一日が三日になっていていろんな時間帯で生活している人に対応できるようにだとか。
そして一年は千と九十五日(!)になって季節や暦の巡りは現実に沿ったものになるそうだ。
一年は12カ月。一月凡そ90日。
季節ごとのイベントも現実のタイミングに合わせられるようにって事ね。
一日は現実の八時間で内五時間(内時間では十五時間)が昼で三時間(内時間では九時間)が夜になるらしい。
現実時間の朝の8:20にゲーム内時間が0:00になり、RT10:00はGT5:00で日出に、RT12:20はGTは正午12:00に、RT15:00にGT20:00で日没にRT16:20にGTでは翌日0:00になる。
暦の表示は例えば五月一日の8:20からが五の月の一の一の日(5/1-1と表示)に、16:20からが五の月の一の二の日に、翌二日の深夜0:20から五の月の一の三の日に設定されているらしい。
一の一から一の三の三日間を一ダイ、七ダイで一ウィック。
また順に風・火・水・木・金・土・光という七曜日があり一つの曜日が一ダイ、七曜日で一ウィックになる。
季節はあるが日の出・日の入は固定。5:00に日が昇り、一日は二十四時間。
運営の苦心が偲ばれるが慣れるまで結構ややこしいかも……
もっとスッキリ出来ないかしらね。
CLはA国とF国と日本の三カ国の国と研究機関とゲーム会社が合同開発したものでその舞台は惑星ガイアの周りを同じ軌道で等間隔に巡る六つの月だ。開発に携わった各国がそれぞれ二つずつの月の使用権利を持っているそうだ。
今回始まる舞台は日本が持つ月の一つ「カグヤ」の海に浮かぶ大陸の更に一つ「リューン大陸」で今後ゲームが進むと他の大陸やもう一つの月や母星ガイアまでも行けるんじゃないかとプレイヤー達は予想しているらしい。
もしかすると他の国の月にも行けるかもという話も出ているらしいが現在の技術上三倍速ではラグが有って戦闘など素早い反応が必要なシーンには対応出来ないらしい。
観光程度なら行けるんじゃないかとか今後ラグの解消技術が進んだら可能になるとか噂しているらしい。
最初の町は全員が同じ場所から始まるのではなく違う場所にランダムに送られるようだ。
βテストでは三ヶ所だったのが公式からは六ヶ所になるらしい。
(ちなみにβでは期間が二ヶ月間で六倍速。ゲーム内で一年のテストだった!)
第一期の定員は一万人。平均すると一ヶ所に千六百六十六人。
なるほど開始直後に予想される混雑も多少はましになるだろう。
追加の三ヶ所は開始まで未発表。
どこかそのままずっと住んでいても良いと思える場所があるかな。
あれば良いな。
そしてそこで始められると良いんだけどな。
龍樹達は公開直後から始めるらしい。
姉と美南海は私が少し落ち着いた頃に始めるそうだ。
私は翌日、ゲーム内では四日目から始めようと思う。
何故かって言うと先に始めたみんなの情報を参考にしてのんびりプレイしようと思ってるから。
βまでの情報はある程度出ていると思うんだけど公式版での変更や追加をある程度把握して平和なゲーム生活を送りたいから。
ゲーム開始まで後三日。
その三日+一日はゲームの情報集めと溜まったメールの処理とたっぷりの睡眠で過ごそうと思っている。
プロローグはこれでおしまい。
次回は人物紹介を1時に予約しています。その回は裏話とか未確定な内容も含むので気になる方は読み飛ばし推奨です(^^;
次々回は開始初日を、その次からゲーム用のキャラを設定する辺りを書こうと思います。
六つの月からお互いや母星ガイアや太陽はどう見えるんだろう、これからどう表現しようなんて考え始めると収拾がつかなくなって……
もうええやん、天動説でも円盤の大地をゾウさんが支えててもおじさんが天を担いでても、ゲームやん、ファンタジーやんとやさぐれたくなります(^^;