プロローグ 2
空中にモニターウィンドウが二つ現れた。そこには兄とその長男。姉とその長女。親友。そして見知らぬ中年男性が映っていた。
「ゆりあっ!」
「ゆりちゃん!よかった……」
「ゆりあぁぁぁ ……」
姉と姪、それに親友の美南海が泣いている。兄と甥の鼻も赤い。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん。美南海。龍君と深春ちゃんも来てくれたんだ。心配かけたね。ごめんね。」
「ゆり姉、よかったよぉ… あ、優樹も美雪も夏樹もね、来たがってたんだけどね、一度に押しかけてもって我慢させたんだよ」
「深春ちゃん、ありがとね」
「あの、よろしいですか?私は警視庁の山崎と申します。蒼井さんに事件当時の状況を聞かせていただきたいのですが」
中年男性が話しかけてきた。
「あ、はい。大丈夫です。でも……突然大きな音と衝撃を感じた後は……何もわからなくなりましたが」
「施設内を移動されていたんですよね。爆発の前に物音なり不審な人物や物を見かけたとか無かったですか?」
「ラボアイランドを訪れたのは3度目でしたが… いつもと変わった様子は……」
「無かったと」
「はい」
「あの、一ヶ月ほど経っているそうですが、まだ捜査をされているんですか?」
「いえね、まだ事故か故意による犯行かわかってないんですよ」
「犯行……?」
「ええ。爆発現場はとある研究室で現場にいた研究員が一名亡くなっています。研究中の事故か研究員が故意に爆発を起こしたのか第三者が関わっているのか」
「亡くなって…… 他に被害に遭われた方は」
「死亡はその一名だけです。位置関係で蒼井さんが一番重症でした。他に重軽傷者合わせて40人近くの被害が出ています。蒼井さんもロボットが身をもって庇いビーコンを発信していなかったら救助が間に合わなかったと聞いています」
「ドルフ君が庇ってくれたんですね。あ、ドルフと言うのは助けてくれたアテンドロボの愛称で。そのドルフは無事でしょうか?」
「発見時は辛うじてビーコンを発信するのがやっとだったみたいです。その後ドルフですか?それのデータをバックアップして解析に回しています」
「かなり壊れてたってことですね。バックアップを元に修理してもらえると良いんですが。お礼を言いたいですわ」
「それではご家族ともお話があるでしょうから私は失礼します。またお伺いすることもあるかもしれませんし何か思い出すことがありましたら些細なことでも結構ですのでご連絡ください」
「はい。ご苦労様でした」
山崎氏はそう言ってモニターから消えて行った。
「お兄ちゃん、仕事はどうなってる?」
「そんな事は心配しなくて良い。休職の手続きを取ってもらっているし仕事先での事故だから会社も悪いようにはしないとだろう。爆発した研究室が所属する会社も事故であれ故意の犯行であれ責任を持って補償を行うと言って来ている」
「そうよ。ゆりちゃんは安心してゆっくり治してもらいなさい」
ドルフ君達は普段施設で受付や案内をしています。
海にある施設なのでロボ達には海の生物の名前が付いています。
ドルフィンのドルフです。
他にはペンちゃんとかラッコちゃんとか。
ゆりあの甥姪のうち年長組は叔母のゆりあを「ゆり姉さん」「ゆり姉」と呼びます。
年少組はおばちゃん呼び(^^;
ゆりあ・38歳、兄・48歳、姉・45歳、龍樹・21歳、深春・20歳くらいのつもりです。
兄も姉もまたその配偶者達も歳の離れた妹を可愛がってきました。
ゆりあもその分、甥姪を可愛がっています。
人物の性別とか役割とか旧式でどこかモヤモヤしたりもするんですが、微妙な面を描き切る力が無いもので……安直に逃げてますm(_ _)m