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人もすなるVRMMORPGといふものを、我もしてみむとてすなり-8


 さてホームに戻ったけどこの後はどうしようかな。

 とりあえず買って来た素焼きの水瓶を小川に据え付けてみよう。


 小川の中の石を組んで瓶の下三分の一ほど水に浸かるように調節してその上にも水が染み込むように外側から濡らしておいた。

 そして泉でもう一つの水瓶と水差しをよくすすいで湧き口辺りの水を汲んでインベントリに仕舞ってキッチンへ運ぶ。

 からっぽの瓶だけでも随分重い。水を満たしたならリアルの体ででも私では持ち上がらないだろう。ましてや今のこのステータスではねえ。それがインベントリがある事によって可能になる。素晴らしい!


 日暮れまでまだ少し時間があるのでクッションに綿を詰めて口を縫い閉じよう。


 黙々と作業をしていると三つ目が出来上がる頃ピポッと通知音とともに《スキル・裁縫を取得しました》と文字と共にアナウンスがあった。

 成る程、前もってスキルを取っておかなくてもリアルで出来ることは同じ行動をすればスキルとして取得出来るってこういう感じなのね。

 結構簡単に取れるんだね。

 それでは残りも仕上げたら調理スキル目指して料理を作ろう。


 それにしても作業していると耳が暇だ。リアルでなら音楽を流したりテレビを表示させたりするのだけれど。ここにはそういった機能は無いのかしら。現実社会のニュースもチェックしておきたいし。姪達が来たら訊いてみるか。

 そんなことを考えながら手を動かしているとスキルの影響か先程よりもスムーズに出来上がった。

 これでヌードクッションが六つ完成。クッションカバーが出来上がるまでこのままで使おうとソファーに並べる。



 次は調理だけれど何を作ろうかな。さっき汲んできた泉の水でお茶を入れてノートを広げる。

 姪達のリクエストはお菓子だけれどそれは明日の午前中の仕事にしよう。手慣らしに材料が手に入りやすくって簡単な物からね。

 パンケーキ、クッキー、ドーナッツ、クレープも良いよね。プリンやパイも出来るかな。メレンゲを手で泡立てるのは体力要りそうだからあの子達が来たら手伝ってもらおう。


 これから作るのは唐揚げが良いかしら。お醤油が無いけれどオイスターソースとコンソメキューブを粉にして使ったら良いんじゃないかな。ニンニクも生姜もあったから。

 このコンソメキューブはコッカコウという鳥からのドロップ品だそうな。喧嘩っ早い一メートルほどの鳥で倒すと1~5個のコンソメキューブと肉と羽毛を落とすらしい。


 うどんも材料が単純だからまとめて打ってインベントリに仕舞っておくと便利だよね。沢山作るのにまた体力いるからこれも姪っ子達待ちにしようか。


 みんなが大好きなカレーはスパイスは色々売ってるのにカレー粉としては売ってなかったのよね。これもあの子達が来てから粉にして貰おう。リアルではブレンドしてからひと月ほど寝かせてなじませた方が良いんだけれど、こちらではどうかしら。


 そして今夜は唐揚げとサラダと今日買って来た長粒米でパエリアを作ろうか。

 あ、魚介類は買ってあるけれど貝類は生きていてインベントリに仕舞えないから買ってないわ。

 エビとイカと白身魚があるからそれだけでも良いかしら。それとも……、うん、まだ明るいから急いで買ってこよう。



 中央噴水広場に転移して港方面に歩くと魚屋が並んでいる。その中の貝類と甲殻類の専門店らしき店でアムール貝というムール貝とヒオウギガイが混ざったような色んな赤い色をした綺麗なハート型(!)の貝を買って急いでホームに戻った。


 ニンニクを潰してオリーブオイルで炒めて切り身にした魚と輪切りにしたイカと足を取って殻ごと縦に背中を切ったエビとアムール貝を加えてコンソメキューブと水を入れて煮る。

 味を見て薄めの塩加減と胡椒で仕上げたら具とスープに分けて置いて大きめのフライパンにニンニクのみじん切りとオリーブオイルたっぷりを温め、そこに玉ねぎのみじん切りを加えて炒める。ライス(長粒米をライス。短粒米をお米と呼び分けることにした)を洗わずに入れて焦がさずに透き通ってくる程度によく炒めて湯むきしたトマトを潰して加えて火を通した後角切りにしたパプリカを入れて炒める。

 そこに保温して置いたスープに乳鉢で潰したサフランを加えてライスに注ぎ焦がさないようにスープが減ったら足しながら煮る。スープを注いでからは極力混ぜないのがコツらしい。

 最後に彩りよく具を並べて水分が飛んだら出来上がり!


 ピポッ!

《スキル・調理を取得しました》


 ふむ、調理のスキルもゲット!


 出来上がったパエリアをお皿に分けて盛り付け、インベントリにしまう。

 次は唐揚げね。


 パエリアを煮ている間に適度な大きさに切ったコッカコウの鳥肉と一角兎の肉と美味しいぞって勧められたので恐る恐る買ってみた走りトカゲの肉を調味料につけて置いてあった。ウサギや爬虫類のお肉って鶏肉に似ているって何かで読んだことがあったので一緒に唐揚げにしてみようと思ったのだ。

 それぞれの肉に薄く片栗粉をまぶして油で揚げて行く。

 カリッと揚がった揚げたてを一つずつ味見しよう。

 コッカコウ。うん、安定の鶏の唐揚げだね。

 一角兎。美味。食べやすいお肉だわ。

 で、最後に走りトカゲを恐る恐る口にしてみる。

 カリッ、ホワッ、美味しい!

 適度にふんわり柔らかく適度に弾力があって噛みしめるほどに滋味が口に広がる。

 良いな、走りトカゲ。良いよ、うん、良いよ。ちょっと他のお肉よりお高めだったけどね。臆病でうまく近づかないと高速で走って逃げちゃうんですって。



 結局、料理中にポーションを二本飲んでしまいました。


 


 

ゲーム初心者のゆりあさんは些細な便利設定にも物珍しくて感激してしまいますww


作中の料理はかなり適当ですので作ってみようと思われた方はクッキングサイトなどでご確認くださいませm(_ _)m

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