人もすなるVRMMORPGといふものを、我もしてみむとてすなり-7
ダドリー氏の事務所を出て、まずはタオルなど日用雑貨を買い揃えに行く。
タオル・ハンカチ・石鹸シャンプー類・ゴミ箱等々。
それに追加分の初心者のポーション。
あ、歯ブラシみっけ!よかったぁ……
それにパジャマとルームウェア、下着も置いていたので購入。
お店の人に気になっていたゴミの処理について聞いてみた。
なんと!ゴミ箱に入れておけば朝になると綺麗に消えてしまうとの事!良いなぁ、リアルでも欲しいわ、そんなゴミ箱。
ただしうっかり間違ってなくなっては困る物をゴミ箱に入れてしまわないように、ですって。そのうちやっちゃいそうな気がするわ、わたくし……気をつけよう。
それと蓋付の大きな素焼きの水瓶を二つ。同じく素焼きの水指しを一つ。
せっかく美味しくて冷たい湧き水が出る泉があるのだから冷たいままに飲みたい。素焼きの器に入れておくと気化熱でそれなりに冷えるはず。
まだ冷蔵庫を買っていないので物を冷やしたり凍らせたり出来ない。
インベントリは冷たいものは冷たいまま、熱いものは熱いまま保存してくれるが冷却機能は無い。
魔導冷蔵庫はやはり氷の魔石とやらで冷やすものらしいが魔導コンロや魔導オーブンなどに比べてかなり割高になっている。
その内に冷却や凍結の魔法を見つけたいと思っているので購入を見送ったのだ。
そこで大きな水瓶を二つも買ってみた。一つはキッチン用にだけれどもう一つは泉から流れる小川に設置して外側から水を吸わせてその気化熱で内部を冷たくすることができないかと考えたのだ。
まあ、この目論見が外れても植木鉢にすれば良いかな。
次の目的地、画材文具店に行く途中で大きな穀物商店を見つけたのでお米がないか聞いてみた。
出してきてくれたのは細長めの長粒米、所謂外米。パラパラしてパエリアなどには向くけれどほかほかの白ごはんには向かないね。
詳しく尋ねるとリアルの日本で食べられている短粒米も嘗ては東の島国・秋津国から船で入荷していたそうだが何年も前に航路に海洋性の魔物が多く現れるようになりレイド級のモンスターまでが出没。さらに海が激しく渦を巻く箇所があり船の行き来が出来なくなってしまったらしい。
秋津国、おそらく日本をモデルにした設定だろうね。そのうち航路の解放が大型クエストになる伏線かしら。
とりあえずはシトロネラとエメロードの国境を南に行った国が主な産地だという長粒米を買っておく。海産物も豊かなこの街だからきっと美味しいパエリアが作れると思う。
次にこの街で一番大きくて品揃えが良いと言うダドリー氏お薦めの文具店へ。
ノートとスケッチブックを何冊か。ルーズリーフとファイルもあったのでそちらも。鉛筆と消しゴム。ペンとインク。色鉛筆。
本格的な絵を描くつもりはないけれどこれから色々作りたい物のアイデアを記録する為。手仕事のアイデア以外にも貰ってしまった創造魔法のスキルでもイメージを明確にした方が多分成功率が上がると思うし。
最後に老舗だと言う楽器店へ行った。
何種類もの楽器が並んでいる中で選んだのはハープとリュートだった。
リアルではギターとピアノを弾いていたんだけれどせっかくのファンタジー風世界にはハープとリュートが似合うと思ったから。
どちらもリアルでは弦の数が多くチューニングが大変な楽器なんだけれどこちらではHz指定で自動チューニング機能がついているそうだ。
ハープもリアルでは足でペダルを操作して半音の上げ下げをするグランドハープと手でレバーを上げ下げする少し小ぶりのレバーハープ(アイリッシュハープ・ケルティックハープとも呼ばれている)が一般的だがこちらでは思念操作で半音の上げ下げをするタイプになっていた。
その中でも中型のハープとロゼッタ(ボディの前面に丸く開いた穴に嵌め込まれた飾り模様)のデザインが気に入ったリュートを購入した。
はじめて触る楽器だけれど時間はたっぷりあるのだからネットの情報などを参考に独習しようと思う。
次は街着を何着か欲しいな。今は野外活動向きの初心者の服とマントだけだから。
でもそれはまた次回にして帰ろう。今日は午後だけでもすでにポーションを二本飲んでいる。
それに姉が来たら作ってくれるんじゃないかと思うし。
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