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キャラクタークリエイト (改変済)

今回は少し長くなってしまいました。

出来るだけ漢数字で表記していましたが今回からアラビア数字も使おうと思います。


2018/4/4。アドバイスをいただき課金価値等一部訂正・変更いたしました。

 翌四月三十日。いよいよ今日からゲーム世界での生活が始まる。


 九時の回診で再度注意を受けて設定に時間をかかるだろうから十時より少し前にログインすることにした。


 鷹原医師とアイハラさんに行ってらっしゃいと見送られる。


「では行ってきます!」



 まずは自分のIDのVRパーソナルターミナルを呼び出しダイブする。

 パーソナルターミナルとはネット上に設定された個人用のヴァーチャルルームであちらこちらのヴァーチャルサービスに繋がる分岐ポイントだ。


 私のルームは本棚に囲まれたデスクやソファーを置いた書斎風の部屋に設えている。

 病室と違いここなら多少は体の動きをなぞれる。

 ただここは自分しか入れないスペースなのでここ数日はほとんど病室で過ごしていた。


 デスク表面のコンソールからクリラビのHPにログインして龍樹達から貰った招待状のコードを入力する。

 その後パーソナルデータの読み込みを許可しついでに10万円ばかり課金しておく。


 多いかな?

 でもこれからはあちらで生活するのだから生活費としては妥当じゃ無いかしら。どれくらいで無くなるか判らないけれど。

 それにもしかしたらアメジスティアまで護衛の依頼をしないといけないかも知れないしね。

 もっともまだ課金のお金がゲーム内通貨に交換出来るか判らないんだけど。


 それではログイン!



 大きくCrystal Labyrinth の文字が浮かび弾けた後クリラビのHPで見たオープニング動画が今度はVRな視点で流れる。

 迫力倍増!

 そしていつの間にか湧いてきた雲に包まれ視界が遮られる。

 その雲が薄れた時には大小の水晶の結晶があちこちに生えた高い山の頂に立っていた。

 山自体も貴石で出来ていてところどころから宝石で出来た草花が生えている。

 眼下には雲海が広がり群青の天には星が瞬き三つの月が浮かんでいた。


「ようこそ。クリスタルラビリンスへ」


 その声に振り返ると若草色に桜色を重ねた天平か奈良時代頃かそんな遥か昔の衣装を纏った若く美しい女性が立っていた。

 薄紅を帯びた銀色の髪の一部を結い上げ残りを後ろに長く引いた裳裾に垂らしている。


 天女様みたい。

 思わず見惚れていると彼女は少し頬を染めて言った。


「今回ゆりあ様のお手伝いをいたしますサクヤコでございます」


「あ。蒼井ゆりあです。この度はお世話になります。ゲームの事はあまり知らないのでよろしくお願いします」


「ふふ。こちらこそ。丁寧な方ですのね」


「いえ、いい歳の大人ですからこのくらいの礼儀は」


 互いに微笑み合う。


「ここは惑星ガイアのクリスタルパレスです。これから地球の子・テランである貴女がガイアの月の一つ輝夜(カグヤ)に適応出来るようにお身体を作り変えます。カグヤに住んでいる人類はガイアの子・ガイアーンと呼ばれます。あなた方テランをPCと呼ぶ場合ガイアーンはNPCと呼ばれたりもしますがNはネイティブのNである事を心に留め置きくださいませ。ではまずは種族を決めましょう」


 通常選べる種族はヒューマン、エルフ、ドワーフ、獣人の猫タイプ、犬タイプ、兎タイプ、熊タイプ、鳥タイプとそれらのハーフタイプだそうだ。

(ちなみに今回からβでは無かった兎と熊と鳥とハーフが追加されたそうな)

 ランダムを選ぶとその他のレアな種族に当たるかも知れないが変更は出来ない。

 その為中にはリセットマラソンと呼ばれる希望に合う種族に当たるまで有料でリセットを繰り返す猛者もいるらしい。

 招待で受け取ったオーブを使うランダム選択の場合は三つの種族が選択肢に加わって三つの種族プラス通常の種族から選べるようになるらしい。三つの種族はレアとは限らないのだけれど。


 私もオーブを使ってランダムに挑戦してみようと思う。

 気に入ったのが出なければエルフにするつもり。


「ではこのオーブを投げてください」


 手渡されたひんやりと固く透き通ったテニスボール程のオーブをポーンと放り投げる。

 パーンと地面に落ちたオーブが弾けると光に包まれた三体の人影が現れた。


「まぁ!三体共レアですわ!それもレア度の高い種族が二つも!」


 サクヤコさんが驚いたように言う。

 三つともレアな種族が揃って且つレア度が高いのは珍しいのだそう。


 一番小さい人影はホビット。明るい色の髪と瞳。陽気で可愛い感じの女の子がにっこりと笑っている。


 真ん中はエルダール。レアなハイエルフの中でも更にレア度が高いそうだ。気高くすらりとした姿に薄い色の長い髪。涼しげな微笑み。ホビットもそうだけどおそらくファンタジーの元祖の物語に登場する黄金の森の奥方様がモデル。


 最後はかなり背が高く黒い縞の入った白い髪をワイルドになびかせたとても強そうでかっこいい女性。ニヤッと笑ってみせた口元から尖った犬歯が溢れる。神獣族の白虎だそうだ。



 この中では白虎が一番レア度が高くてゲーム中で一人しかなれないらしい。

 その次がエルダールで三人。まだ一人もなった人はいないらしい。

 ホビットは割と下の方のレア度なんですって。


 白虎はとてもかっこよくて憧れはするけれどいかにも戦闘向きでのんびりしたい私にはとても使いこなせないと感じた。

 猫に小判。

 うん、他の人に回そう。相応しい人に当たりますように。



 後はエルダールとホビットでかなり迷ったのだがせっかくなのでエルダールにすることにした。

 某奥方様の高貴さには及びもつかないが憧れのファンタジーのエルフだもの。


「エルダールでお願いします。白虎は私が選ばなければ他の人にチャンスが回るんですよね?」


「はい、了解しました。そうですね。ただとてもレアなのでこれからも当たる人はなかなか出ないと思いますが」

そう言ってサクヤコさんは微笑んだ。


「では次にステータスを調べましょう。ステータスはゆりあ様から受け取った地球でのデータと今選ばれた種族にランダムの三つの要素から決定されます。ステータスオープンと唱えてください」


「はい。ステータスオープン!」


 目の前に半透明なモニターウィンドウが現れて文字が並んでいった。



 HP=25

 MP=600


 STR=8

 DEF=8

 MND=36

 INT=42

 AGI=21

 DEX=39

 LUK=96



 なんだか極端にバランスが悪い気がする。

 HPとMPの意味はわかると思う。

 HPはリアルの体の状態を反映して低いのかな。

 とするとSTRとDEFも体関係かしら。

 MPが高いのはエルダールだからかな。


 あらあら、サクヤコさんが呆然としている。キャラクタークリエーション担当のAIでもびっくりするんだね。

 AIだよね?


「あの。バランスが悪そうに見えるのですが、解説してくださいます?」


「ぁぁ……失礼しました。バランスが極端なのもですがLUKの高さに驚いていたのです。先程最高レアの種族が出たのも当然ですね。これは幸運度が高いと言うことです。今までカグヤに行かれた方達の中で飛び抜けて一番の高さですわ。LUKの値はアイテムのドロップや攻撃のクリティカル率、採取や生産の質や成功率に影響します」


「幸運?自分ではとてもそうだとは思えないのですよ。今も瀕死の重傷を負って治療中ですし」


「そのことが逆に反映したのかも知れませんわね。HPは単純に言えば体力・生命力です。重傷を負われているから低いのでしょう。MPは魔力です。高いのは種族の影響が強く出ているからですね。STRは筋力や攻撃力。DEFは防御力・耐久力でこの二つもお身体の影響で低いのだと思います。それにしても低すぎる気がしますが。そしてMNDが精神力。これは集中力や魔法での攻撃と防御にも関係します。INTは知力、魔法や生産に影響します。MNDと共にゆりあ様の元々の能力と種族の影響が現れています。AGIは敏捷性、DEXは器用さでゆりあさんの元々の能力でしょう。MND・INT・DEXは平均よりかなり高いですよ。LUK以外の高い値の中には身体関係の低さの影響で逆に上がっているものもあるかも知れませんが」


「極端に魔法と生産に向いているタイプなんですね。もう少しバランスが取れるような振り分けポイントは無いのですか?」


「残念ながらありません。これからの行動でステータスは自動的に増減しますのでトレーニングを少しずつから始めて鍛えていくとよろしいかと思います。後は空腹値・EPと脱水値・DPが有りますので気を付けてください。値が下がりますとバッドステータスが付いたり最悪死に戻りします。ちゃんと食べたり飲んだりしてくださいね」


「はぁ……、ため息です。元々戦ったりはしたくないのですが安全圏から下手に出ちゃいけなさそうですね。最初の場所で生活するにも体力が無さすぎて困るかも…… ゆっくりと静養することにします」


「そうですね。でも魔力と運が高いので案外大丈夫かも知れませんよ」


「そうだと良いのですが」


 苦笑いとため息です。


「では気を取り直して姿と世代を決めましょう。性別は基本変えられません。異性的な容姿にする事は可能ですが性別自体を変えるには診断書などが別に必要です。ゆりあ様は診断書のご提出が無いので女性になります。ではこちらの鏡をご覧ください」


 さっきまで無かった大きな鏡が現れた。白い簡素なワンピースを着たちょっとぽちゃりはじめた現実そのままの私が映っている。う〜〜〜。


「地球での容姿からある程度変えてくださいね。身バレとやらを防ぐために必要なのだそうです。身長は地球の体に戻った時に違いが大きすぎると問題が生じる場合があるそうなのであまり大きくは変えられませんが」


 10cmヒールに慣れてる人は楽勝なんじゃないかな。

 まあ当分リアルボディに戻れない私にはあまり関係ないかもだけどね。

 タンクから出られたらリハビリしないといけないんだろうし。

 せっかくだから少し伸ばしてみよう。


「エルダールの成人がいくつか判らないですが大人の姿で顔は私を元にしてエルダール風に変化させてください。身長は5cm伸ばして170cmに。全体にスラリと細身にして胸も控えめに。髪はストレートで腿のあたりまで伸ばしてみてください。耳はあまり長くなく少し尖っている程度で」


 リアル年齢のエルフだと未成年になってしまうそうだ。

 エルダールだと幼女ですって。誰得?

 私は大人で良いです。

 もっと歳を取ったら若くしたくなるかもしれないけど。

 そしてエルフ系は成人した後は晩年まで見た目がほとんど老化しないんだって。美魔女種族!


 鏡の中の私が希望に合わせて変わって行く。

 見た目、二十代だ。

 あまりやりすぎるのもと思いつつ折角エルダールになったのだからと少し美人度を上げてみる。

 少しだけね。リアルであまりに美人過ぎる知人がいるがその為によく煩わしい事で悩まされていたのを今まで幾度も見てきたから。

 程々の美人が良いです。


 目をちょっぴり大きく黒目がちにしてまつ毛も少し長く少し量を増やして。

 少しずつ少しずつ。


「髪の色は白銀に。そう。あ、極々薄ーく青や紫がかったシェイドを幾筋か入れられますか?もう少し細かく。あ、良いですね。そして前髪を眉にかかる程度に短くして見てください。それから左肩に寄せて一本に編んで」


 髪に入れたシェイドが三つ編みにすると映えるね。

 眉とまつ毛は髪と同じ色だと印象がぼんやりするので落ち着いた青系で髪よりもかなり濃くした。

 目の色は青か紫か緑で迷って色々試して見た結果、澄んだラベンダーブルーに落ち着いた。


 こういう作業は楽しいなぁ。

 さっきステータスを見て落ち込んだ気分が消え失せたのは良いけどやり過ぎて無いかしら。


「どうですか?変じゃ無いですか?」


「素敵ですよ!不自然なところもありません」


 サクヤコさんに満面の笑顔で褒められて安心する。


「では次にスキルを決めて行きましょう。最初のスキルは十種類選べます。ウィンドウオープンと唱えると出てくるモニターの項目にスキルという欄がありますので選んでください。声に出さないで念じるだけでも構いません。選択も指でウィンドウを触っても良いですし念じても良いです」


(ウィンドウオープン!)


 オォ、出せた!先程と同じようなウィンドウにステータスやその他の項目と共にスキルの項目も有った。


(スキル欄、ポチッ)


 ふふ、出来た!

 沢山あるわね。それではまず才能有りの魔法から選ぼうかな。


 あれれ、火と水と風と土の四種類の「魔法の才能」しかないのかしら。とりあえず四つとも選んでみよう。


 おや、新しく項目が追加された。

 生活魔法。生活に便利そう。選ぼう。

 後は魔力操作が良いかな。魔法が上手くなりそう。

 これで六つね。


 生産は現実で出来る事は選ばなくても使えるんだったよね。

 では錬金と魔法陣作成と鑑定と一応採取も取っておこう。

 これで十個。

 んーっと、言語スキルも欲しいんだけどな。それが無いと読めない本があるかもだから。

 採取と取り替えようか。

 でも採取が一番初めにお金を得る手段になりそうだしな。

 うん。収入は大事です。いくら課金できると言ってもね。

 採取にしておきましょう。

 言語はそのうち取れる方法を探してみよう。


「選びました。これでどうでしょう」


「体力的に武具などはまだ使えないでしょうから魔法を充実させるのは良いと思いますよ。生産系も錬金と魔法陣作成は熟練が要りますが簡単に始められる採取と鑑定でバランスが取れていると思います。それぞれのスキルを鍛えて行くと出来ることが増えて上位スキルや発生スキルを取ることができます。スキル屋さんで売っている場合もあります。レベルアップやクエストなどでスキルポイントが与えられるのでスキルポイントとゲーム内通貨で買うことができます。それ以外にも特殊な条件で得ることが出来るスキルもありますので探してみるのも良いと思いますよ」


「ありがとうございます。それで次は何をすれば良いですか?」


「次は身に着けるものを決めましょう。と言っても初心者の服ですのであまり種類はありませんが」


 今度のウィンドウはサクヤコさんが開いてくれた。

 何種類か基本になる形があってそれぞれに色違いがある中から落ち着いたオリーブ色の長めで簡素なチュニックシャツとダークグレーのパンツに茶色のショートブーツを選んだ。

 それに合わせて鏡の中の衣装も変わって行く。

 後は小さいながら30種X99個も入るウェストポーチ型のマジックバッグだ。

 初心者の間は十分だよね。

 マジックバッグの中には1,000(ズィール)のお金と初心者のポーションが五つと採取用ナイフが入っている。



 Zはクリラビ内の通貨で1Zがおよそ10円ほどの価値になるそうだ。

 マジックバッグに1,000Z入ってるから1万円貰った事になるのね。

 課金した円は通常、食品や生活用品など生活に必要な場合のみ1 円が500Zで換金出来るとの事です。

 通常って事は例外もあるんだろうか。

 10万円課金したから500倍で5000万Z?多すぎたかしら。まあ、長いことお世話になるから良いかな。


「さてそれでは最後にお名前を決めて残りのオーブを使いましょう。なんと名乗られますか?」


 前もって龍樹から出来るだけ人と被らない名前にした方が良いとアドバイスされて幾つか考えて来た。


「ルーリ・リーラ・ローレではどうでしょう?同名は多分無いと思うのですが」


「ルーリ・リーラ・ローレ様ですね。はい、他にはいらっしゃいません。決定します」


 瑠璃=蒼井、リリー=ゆりあ+ラ行でまとめてみました。


「では残りのオーブを一つずつ投げてみてください。LUKが高いルーリ様は良いものが出やすいと思いますよ」


 さっきと同じように投げたオーブが弾けて光の中から一枚の金色のカードが出て来た。


「マイホーム権です!それもS級です!上から二番目の級ですよ。マイホームを置きたい場所の商業ギルドか役所で交換してください。では最後の一つをどうぞ」


 マイホームがすぐにも持てる!これは嬉しい!

 次は何が出るかな。ワクワクしながら放り投げる。


 ポーン。弾けたオーブの光の中から出て来たのは大きめの宝箱だった。


「おや、これも期待が持てますね。開けてみてください」


 よいしょっと。

 あ?

 えーっと…… これはちょーっとまずく無いですか?


 金貨がぎっしりと宝石が沢山と巾着袋と巻いてリボンをかけた羊皮紙とかが入っていますよ。


「……」


「……」


お互い黙って顔を見合わせてしまう。


「あのぉ……」


「と、とりあえず羊皮紙を拡げてみてください」


 気を取り直したサクヤコさんが咳払いした後そう言った。



・目録


   創造神の加護

   創造魔法

   プレミアム種苗セット

   ペット券三枚

   魔晶石詰め合わせ

   無制限インベントリ

   9,999,999Z


  神々の気遣いの巾着

   隠蔽のスキル玉

   偽装のスキル玉

   インベントリに通じるバッジ



 しばらく二人無言で見つめ合った後思わずメタな叫びをあげてしまった事は誰にも責められないと思う。

 だってお金だけでも円に直して9,999万ですよ!

 ほぼ1億円じゃ無いですか。マジックバッグのお金も加えると1億円超えてます。


「運営さーーーん!! これってなんなんですかーーーっ!すっごくまずく無いですかーーーーっ?!贔屓じゃないですかーーー!」


 どうやら叫びはコールとして通じたらしい。

 サクヤコさんの横に光と共に先日会った茜沢さんが現れた。


「アラァァァ、当たっちゃったんですねぇ。いえいえ別に贔屓はしてませんよ。創造神が冗談で入れたもので非常にヒジョーーーに確率を低くしてあったんですけど。あ、先日はどうも。え?LUKが96?あり得ないけどあったんですねぇそんな数字。んー、別に不正は確認出来ませんねぇ。出ちゃったものは仕方ないのでどうぞ受け取っといてくださいな」


 軽っ!ほんまかいな。疑わしいけど。

 それに創造神って運営の偉い人のことだよね、多分。

 冗談キツイわ。


「ぅぅぅぅぅ……妬まれてトラブルの元になるのはイヤなんですよ……受け取らないとダメですか?」


「出ちゃったものは戻せませんよ。他の神々がリカバリーに隠蔽とか付けてるのでまずいと思う部分は隠しちゃってください。中には鑑定で自分よりレベルの低い人のステータスを見られる人もいますから。勝手に見るのはマナー違反なんですけどね。バッジはカバンなどの内側に付けておくとカバンとインベントリが繋がるのでインベントリ持ちなのが目立たなくて良いですよ。お金は有っても困らないでしょう」


 神々の気遣いって偉い人がやらかしたののフォローだな、多分。


「ハァァァ……(ため息……)誤魔化せるスキルは嬉しいんですが……」


「何でも使い方次第ですよ。せっかくなのでインベントリに嵩張るもの全部入れちゃいましょうね。それとステータスの一部も偽装したりしましょう」


「その前にインベントリって何ですか?」


「マジックバッグの高級版みたいなものです。異次元に容量無制限の倉庫があると思ってください。生物以外は何でも入りますし時間も経過しません。食べ物も腐らず熱いものは熱いまま、冷たいものは冷たいままいつまでも保存出来ます。マジックバッグはゆっくりとですが時間が経過するのであまり長期の保存には向かないので注意してください」


 その後収納方法を教えて貰ってため息を吐きつつビー玉ほどの二つの玉だけ取り出して宝箱ごとインベントリに入れてしまう。

 インベントリに入れたい物に触れて入れと意識するだけだった。

 出すのも意識するだけ。

 大きな物も重い物も関係なしに持ち歩けるからすっごく便利なんだけど……


 二つのスキル玉は胸に押し当てると吸い込まれてしまった。


 そしてステータスの種族欄のエルダールをハイエルフに、MPを300に上書きし、特殊スキルに追加された創造魔法と隠蔽と偽装とインベントリとやはり称号に追加された創造神の加護を非表示にした。



「あのぉ、フードの付いた上着はありませんか?ログインの時に目立たないように被りたいのですが」


「通常はそれだけなのですが…… ああ、既に課金されていますね。それで買っていただく事は出来ますよ。効果の付いていない普通の物しかありませんしゲーム内より割高になっちゃいますけど」


 ちょっとした裏技発見かしら。

 見せてもらった中から渋いグレイッシュグリーンの500円のマントを選ぶ。

 フードをすっぽり被ってみる。よしよし、ほとんど顔は隠れるね。

 色々弱い内は地味にしておとなしくしておくんだ。

 ログイン地点で初心者を待ち構えている人達がいるみたいだし。



「では次はサイコロを。おおっとその前に大変なことを忘れていました。痛覚やグロテスク度やその他の設定をしておきましょう。ここで決めた設定は後から変更することも出来ます」


 茜沢さんてばサクヤコさんのお仕事を取っちゃって。サクヤコさんが苦笑いしてますよ。



 十五歳以下や十八歳以下には設定の制限があるそうで私は念の為十五歳以下と同じにして貰った。

 痛覚は30パーセントに、グロもホラーもリアル度を下げた表現になる。

 痛いのも怖いのも気持ち悪いのも勘弁願いたい。


 そして十五歳以下はPvP(プレイヤー同士の決闘)が出来なくて十八歳以下はPK(プレイヤーを殺す事)とPKK(PKしたプレイヤーを殺す事)をする事もされる事も出来ない規定である。

 十九歳以上はできるのか。物騒だなと思ったがPKは原則禁止されているそうだ。PKKにはお咎め無し。

それなら最初から全プレイヤー出来ない設定にすれば良いのにと思ったんだけど、それでもやらかす奴は隙をついてやらかすからとの事。

 それ以外でも現実の犯罪行為はゲーム内でも禁止されていて現実で犯罪傾向のある者の疑いってマークされるそうだ。

 国民ID使ってダイブしている時点で身元もバレてるのに愚かな事をする奴もいるもんだね。

 私はもちろんPvPもPKもPKKもする・されるどちらも不可にした。


 それからなにか犯罪や迷惑行為を受けた時はGMコールをしろと教えられた。

 後、関わり合いになりたく無い相手はブラックリストに登録すると相手からは個人判別も接触も出来なくなる。



 パーソナルゾーンの設定も細かく出来、直接接触は登録したフレンドのみに、設定した知人との距離は30センチ、それ以外は60センチに設定してみた。

 セクハラ対策にも有効です。


 新しい事ばかりで飲み込むのに少し疲れた気分。

 詳しいことはまた後でゆっくり龍樹達に聞いておこう。



「ではサイコロを振ってどこに転移するか決めましょう」


 バスケットボールの二倍程の大きさで各面ごとに六色に色分けされたサイコロを渡される。

 LUKさん、出番ですよ。良い仕事してくださいね。

 アメジスティアは紫色だったよね。

 紫出ろーっ!エイッ!


 ヤッタ!紫だ‼︎ LUKさん、グッジョブ!


「アメジスティアに決定です。もし質問や要望があれば運営メールで問い合わせしてくださいね。緊急の場合はGMコールで受け付けます。では気をつけて楽しんでください。またお会いしましょう」


「ルーリ様がカグヤで楽しく過ごされますよう祈っております。行ってらっしゃいませ」


「はい。サクヤコさん、茜沢さん、色々お世話になりました。ありがとうございました。行ってきます」


 頭を下げるとサクヤコさんもお辞儀を返してくれた。

 茜沢さんは手を振ってくれている。


 足元に魔法陣が現れ光を放つ。眩しくて目を閉じる。

 ふわっと体が浮き上がる感覚。

 さあ次に目を開けたらアメジスティアだ。




 あれ?さっき茜沢さん、またねって言ったよね?





 

いつもより長く書いたら息切れしてしまいました(^^;

体力無いんです。。。


ゆりあ、少しづつなんて言ってましたがかなりの美形に仕上げてしまってますww

自覚はないですが元々それなりの容姿をしていました。

比べた知人が美人すぎるだけ。


ゆりあの人生の三大不幸は若くして母が亡くなった事と夫を失った事と今回の事故。

二度あることは三度ある。

もう三つ出揃ったんだからこれからは良いことばかり起こるよ、きっと。

だから頑張ってね、ゆりあさん。

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