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ホントに偶然…なのか?

ホントに偶然…なのか?

作者: 佐原朝希

別サイトに置いている話を加筆修正したものになります。BL表記がありますが、要素は皆無に近いです。(すみません)

小話みたいなものなので、下部に設定を置いておきます。


 ガヤガヤ、ザワザワと賑やかな店内。俺の話に耳を傾けてくれているのは“ミコサマと愉快な仲間達”なんかではなくて――…






 「あ? どうして、俺がミコサマの旅に付いて来ているのかって? そりゃー、あんたワレラガミコサマのゴメイレイだからでしょー」


 でなけりゃ、こんな毎日毎日飽きもせずくっっっだらない茶番劇(内容は、ワガママミコサマの奪い合い。ったく、うんざりだよ)を繰り広げながら、のんびりと“世界を魔王から救う旅”になんて付き合う訳ないじゃん。


 カララン…と氷と琥珀色の酒の入ったグラスを傾けながら。楽しそうな表情の隣のやつの質問に答える。


 「あははっ、キミは神子の事が好きではないの?」

 「いやー、ないわー! ないない。好きな訳ないでしょー、あーんな自己中で自分大好き! 美形も大好き! 俺は可愛いから誰からも愛されていて、誰からも愛されるべき存在に決まっている! と全く疑わない上に、引き立て役だか何だか知らないけど嫌がる小市民、あ。俺の事ね。を無理やり同行させるヤツ、どーうやって好きになれってのよ」


 グイッとグラスに僅かに残っていた酒を全部喉に流し込む。うん、美味い。


 「ふむ。それは――…確かに。むしろ、そんな神子を好きな者の方が異質に感じてしまうね。まあ、私は神子に会った事は無いのだけど、聞いている話と随分違うんだなぁ」

 「だろー? わかってくれるー? つか、会わない方が幸せだと思うよー」


 俺は、先程までの事を思い出した。


 



 


 ――今日の宿も決まり、ミコサマと取り巻き共(剣士、ちなみに国の第三王子サマね。と、武闘家。あと、黒魔法使いと白魔法使い)は出かけて行った。

 ちなみにミコサマは最初、俺の事も誘ったが、剣士と黒魔法使いが何やらごちゃごちゃ言って、ミコサマを言いくるめサッサと出て行った……うん、実に有難い事だ。アイツ等たまには良い仕事をする。


 そして、一時とは言え心の平穏を得た俺は、その宿の地下にあるバーで一人ちびちびと酒を楽しんで居た訳なのだけど――…


 途中。カウンターで隣り合わせになった、真っ直ぐ艶やかな漆黒の長髪を、上質な布で作られているのが装飾品に大して詳しくも無い俺でも解る位、高価そうな赤いリボンで一つに緩く束ね、明るい紫の目が印象的な長身の美形男が妙にフレンドリーに話しかけて来たので、軽い世間話から、いつの間にか、だ。

 俺は自分が、神子の旅に同行している事や、普段は見た目平凡らしく大人しくしているのだが、本性を晒してしまっていたのだ。


 「ん? 私の顔に何かついているかい?」


 可笑しそうな様子で男が笑う。


 「あー…いや、あんた不思議な人だなって。いくら酔っていたとしても俺、簡単に素を出したりはしないんだけど、あんたにはペロッと喋っちまったから調子狂うっつーか」


 ましてや、ミコサマ連中に対する不満なんて滅多に口にできないのに。(あんなミコサマ方でも見た目だけは、めちゃくちゃレベル高いから崇拝してる人達も多いんだよ。だから、迂闊に愚痴れないんだよな)


 「そうなんだ? 私は今のキミが好ましいけどな。それに溜まってた鬱憤も晴らせたのならば何よりだよ」

 「そうか? そのー…ありがと、な」

 「はは、どういたしまして。私も興味深い話が聞けて楽しいよ」

 「お話中に申し訳ありません、失礼致します。魔…いえ、あるじ様、そろそろお戻りになられるお時間でございます」


  例えるなら漆黒。そんな感じに上から下まで黒一色の執事服姿(ネクタイやシャツも微妙に色が違うけど黒い)の糸目で口元には微笑を浮かべた、一見穏やかそうな男が、俺の隣の男に声を掛けてきた。

 

 え? 気配…解らなかったんだけど。何者?


 「…ああ。もうそんな時間か。キリト、話の途中なのに済まないね。私は、そろそろ仕事に戻らなければならないみたいだ。良かったらまた話をしてくれるかい?」

 「ん? そっか。おー、勿論。えーっと、あんたの名前…」

 「ああ、名乗っていなかったかな。私の名はオルトレイン。オルトとでも呼んでくれ」

 「ん。解った、オルト。またなー」


 多分、この町に長くは滞在しないだろうし…また目の前の男、オルトに会えるかは解らなかったが頷いた。オルトも俺が(嫌々ながらも)神子の旅に同行していると解っている訳だから、ここに長く滞在しない事も解るだろう。ま、社交辞令みたいなものだよな――…


 …――なーんて、思っていたのだけれど。


 「やあ、キリト。こんばんは、偶然だね」

 「ええっ!? オルト!? 凄い偶然だな!」


 次の町の酒場(例によりミコサマ方とは別行動中の自由行動中だ)で偶然にもオルトと再会し、暫く酒を飲んだりしながら話をして。また前と同じ様な挨拶で別れたのだけど――…


 「やあ、キリト。良かったら隣に座らないかい?」

 「お、おう? オルト。あ、うん…座ろうかな?」


 更に。次の町の酒場でも偶然、オルトに会った。うん…偶然。



 しかし、なんだ。行く先々で、よく会うよな。

(これって本当に偶然、なのだろうか――…?)


【設定】

キリト→見た目は、おっとりしていて普段は敬語口調の魔法剣士(ミコサマの仲間達からは平凡と呼ばれている)。神子の旅(魔王を倒して世界を救え!的な)に嫌だけど命令が下った為に同行している。本当は口が悪い。それなりに強いけど、目立つと神子&神子の取り巻きが五月蝿いので普段は3分の1程度の力も出していない。

オルトレイン→正体は魔王。ミコサマが一目見たら取り巻きをアッサリ切り捨てて飛びつく位の美形(笑)

糸目くん→魔王の右腕的な存在。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 何だキリト君天然か!(笑) [一言] 続きが欲しくなる短編です~ ミコサマが魔王にフラれるところが読みたいけど、すごく混沌とした状況になりそう(笑)
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