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刀とチートと時々魔法  作者: sitis
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刀とチートと時々魔法:特別編 シャールの休日


「二人ともいっちゃったのー……」


 部屋に残る静寂。いや、むしろ音が残らなかったとも言えるの。そんな中、私は一人残されていたの。……例によってこれも、私以外の二人が出ていったからなの。


「ヒカルにはああ言ったけど、やる事なんて無いのー……暇なの……」


 ヒカルとフィレスが恋仲になった。これは凄く喜ばしいことなの。でも何なの?このモヤモヤする気持ちは。

 ……これはあれなの?婚期を逃したババアと同じ気持ちなの?まだ12なのに。


「……仕方ないの。ここでなんかクソムシがっ!とか言っていじめられる部下とか居たら楽しいけど、そんなの居ないの。……そうなの。本を買いに行くの」


 私の固有能力『未知の食材(アンノウン・イーター)』を使えば、本を買ってはパク、買ってはパク、とできるの。そうすれば私はより便利になるの。それに、もし召喚魔法の本があれば戦力増強にもなるの!


「早速行くの!」


 本屋なんていいものはここリンダには存在しないの。だから行商人に頼むの。


「行商人さん、持っている本ありったけ出して欲しいの。お願いしていいの?」


 そう言うと、行商人さんは持っている本を地面においたの。……これは一日じゃ食べきれないの。そもそも本って美味しくないの。

 普通より多くの知識を蓄えているけれど、そもそもが両親(とは呼びたくないけど)の本を食べただけなの。だからここにある本はほぼ読んでいないはずなの。……でも、きちんと吟味しながら買うの。節約は大事なの。


「これとこれとこれ以外を買うの。いくらなの?」


 言われた額を即座に出して帰るの。……ちなみに、彼らは当然のようにアイテムボックス持ちなの。私もほしいけど、こればっかりは生まれつきなの。

 帰り道、買った本を召喚魔法の本から順に食べていくの。……ふんふん、召喚魔法はモンスターだけを召喚するものではない。人を召喚することや物を召喚すること、果ては概念の召喚までできる……しかし、それがどんなものか理解していないといけない……なるほどなの。物体を召喚しようと思ったら物質を理解しなければならない、というわけなの。

 なお、人を召喚する時は名前、出身、生年月日でよい……なんとも簡単なの。これで本当に召喚できるの?

 と。

 いい所に現れた。


「ほー、これは上玉じゃねえか。まだまだ幼いが、将来性は抜群だな。……おい姉ちゃん!ちょっと俺らに着いてこいや!」


 ……絵に書いたようなチンピラなの。変な歩き方、下からの威圧、裏返ってるような妙に高い声。そして沈黙の時に私に絶え間なく発している「おお?やんのかコラ?」の声。笑いを堪えるので精一杯なの。


「……あんまりやりあう気とか殺す気は無いの。命が惜しければどこかに行くの」


 我ながら悪役の台詞なの。当然、チンピラは顔を真っ赤にして怒るの。……こいつに脳みそは存在するの?ちょっと考えれば挑発だと分かるの。


「上等だぁ!やってやろーじゃねえかぁ!」


 そう言ってナイフを抜くの。……なんでこういうのって毎度ナイフなの?ナイフって奇襲とか闇討ちとかじゃないと価値の無い武器なの。……ヒカルは例外なの。


「んー……光、とかできるの?」


 光……は召喚できないようなの。残念。

 じゃあ、闇は?光が無い状態が闇なの。


「……あ、できたみたいなの」

「く、暗い!なんだ!?何も見えねえ!何しやがった!?」


 チンピラの目のところだけ塗りつぶされたように真っ黒なの。こういう使い方ができるの。なるほど。

 せっかくだし、苦しい死に方を選ばせてあげるの。音が振動であることは理解しているの。なら、その振動が無い状態が静寂。静寂を召喚するの。


「な、何も聞こえねえ?……あれ、声も出せねえ?」


 しっかり出てるの。

 何も見えない、聞こえない状態なら人は発狂死すると聞いたことがあるの。せっかくだし、こんな殺し方もありなの。


「じゃあ、またなの」

「何も見えない……聞こえない……あ、ァァァァァアアアアア!!!」


 さようなら、なの。

 そういい残して、今度こそ家に帰るの。これこそ、私の存在がヒカルの言うところのチートになった瞬間なの。

「の」71回(ひらがなの「の」全て)

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