事後というか何というか
切れるううう!ストックが切れるううう!
翌朝、俺は窓から射し込む光で目を覚ました。
「ん……」
小鳥のさえずる声が聞こえる。窓から見える景色はいつもより美しく見えた。
俺は、生まれて初めて朝チュンを体験した。
とはいえまだ中二、年齢にして14歳。平均的に見ても童貞卒業が遅い訳ではない。ゆえに、別に焦ってもいなかったのだが……。
卒業した。
完全に卒業した。
焦らない方がいいなんて成功者の自慢だと思っていたが、しかしこの結果を見るにそうではないのかもしれない。
まあしかし、多くを望みすぎるのもよくない。
朝起きると、隣にフィレスの寝顔がある。それだけで十分じゃないか。
まあ、フィレスとしてもピロートークなど求めてないと思うので(性格上俺の顔を見ただけで赤面しそうだ)一足先に服を着て部屋から出る。
扉の横にはシャールが壁にもたれ掛かっていた。
「……正直、驚いてるの」
「なんだ、ハリウッド映画みたいなこと言って」
壁にもたれ掛かる、なんてかっこいいポーズでそんなこと言われたら女でも惚れるかもしれない。
「はりうっど?……ともかく、私が言いたいのは、ヒカルにしてもフィレスにしてもその時になったらヘタレて何もできないんじゃないかと思ってたの」
「あれだけ煽っといてよく言うな」
「うるさいの。私だって隣から聞こえる声で夜眠れなくなるとか予想外なの」
赤面するのは俺だった。
筒抜けじゃねえか。
「……まあ、フィレスもきっと喜んでると思うの。あげた童貞の代わりにもらった処女を大事にするの」
「あけすけな言葉だな……」
しかし、俺はそうするべきなのだろう。
もらった処女を大事にする、それはフィレスを責任もって幸せにするということなのだから。
そうする、義務がある。
「そこまで深く考えなくていいの。フィレスにもヒカルを幸せにする義務があるの」
それでも考え続けていると、シャールが唐突にため息をついた。
「はぁ……。それは贅沢な悩みなの。私の体なんかロリロリすぎて誰も興味を持たないの。処女をあげる相手がいないの」
「OLの猥談みたいだな」
「そのイニシャルが誰を指すかは知らないけど、ヒカルの悩みが独り身に辛いものであるのはきちんと理解して欲しいの。それとも……」
シャールはにやりと妖艶に笑った。
「ヒカルが、もらってくれるの?」
とても12歳が出せるような色気ではないのだが、俺はそれに気づかずただ顔を背ける。
「冗談でも彼女持ちを誘惑するのはやめろよ」
「結構本気なの。私だって人並みに興味はあるの」
「あーうるさい。そういう話をするなら俺は部屋に入ってフィレスの寝顔でも見てる」
「……まあそれはフィレス以外の誰にも止められる行為じゃないの。好きにすればいいの。ただ、二回戦を始めないでほしいの。私は今度こそ寝るの……」
ふあ、とあくびを一つして、シャールは俺を手で追い払った。俺はそれに従って部屋に入る。
ベッドは装飾が多くて扉の位置からは見にくいが、フィレスがまだ寝てるのは分かった。なんだかまだ眠いような気がしたので、ベッドに潜り込む。
手が寂しかったので、目の前に居るフィレスを抱き締める。
「ん……」
少し力が強かったようで、フィレスが目を覚ました。
「あ……ヒカル……」
「すまん、起こしたな」
「ううん……いいよ……」
やはりまだ半分寝ているようだ。目も半開きだし、微妙に呂律も回っていない。その無防備な感じが、特別な気がして可愛い。
「ヒカル……」
「ん?」
「ふつつかものですが、これからもよろしくね……」
そんな台詞を聞いて。
「……ああ、俺も絶対幸せにするよ」
俺はやはり、こいつが居ればなにも要らない、なんて思ってしまうのだった。
ーーーおまけーーー
「ふあぁ……」
朝目が覚めると、ボクは心地いい倦怠感とお股の違和感に襲われた。その感覚は、否が応でも昨晩の行為を思い出させてしまう。
「ボク、ヒカルとしちゃったんだ……」
確かめるように、そっとお股に手を当ててみる。なんだか熱くて、手の先がぬるぬるしたもので濡れた。これがボクのものなのか、それともヒカルが出したものなのかはわからないけど、なんだか幸せな気持ちになれた。
少し……というかかなり痛かったのを思い出す。今日から何日かごと……もしくは毎日あれを味わうのか。ちょっと嫌だけど……でも、ヒカルの温かさを感じることができるから、少しだけ楽しみ。
でも、次からは気持ちよくもなるって聞いた。それならもっと期待しちゃおうかな。入ってくるまでは気持ちよかったんだし。
隣を見ると、ヒカルが居た。
服を着て。
「……むー」
残念。っていうか、なんで一人だけ服着てるの……?ずるいや。ボクはまだすっぽんぽんだというのに。でも冷静に考えたら、昨日寝たときは着てなかった。きっと朝一回起きたんだろう。でも、それにしても……。
なんて思って、気づく。昨日は暑くて布団をかぶっていなかったけど、起きたらかぶってた。少しでも見えないようにっていう配慮なんだろう。
「……まったく、ヒカルったら」
なんだかいとおしくなって、ヒカルのおでこにキスを落とした。昨日したみたいなえっちなのじゃなくて、もっと軽いキス。愛情表現のためだけのキス。
「服、着よう」
そう言ってベッドから立ち上がり、服を着た。
昨日のことは、きっと一生忘れないと思う。
次は遅れる可能性大です…




