表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刀とチートと時々魔法  作者: sitis
20/32

決着

 戦場は、静かだ。

 踏み込みの音、衣擦れ、たまに当たる刀の音。あと、俺の左腕から血が落ちる音。

 そんな楽しい戦いも、終わろうとしていた。


「そろそろ決めようぜ、カイン!」

「ああーーーそうだな、化け物!」


 いくら楽しくとも、早く終わらせなければならない。俺の中の血液は、そろそろ枯渇してきた。

 だから、終わらせる。すぐに。

 秘策を、使って。


「喰らえ、化け物!」


 来る。間違いなく。放たれた斬撃は、俺をーーー俺の左腕を狙ってきた。

 明らかな死角。圧倒的な弱点。

 だからこそ。

 だからこそ、分かる。

 最後の一手は、ここに来るだろうと。


「が、あああーー!!?」


 上げられた悲鳴は、しかし、俺のものではなく、カインのものだった。

 

「な、何故!どうやった、化け物!」

「くははっ、刀使いに死角は無いのさーーーまあ、結構頑張ったがね」

「しーーーしかし!拙者はお主が刀で防御するのに間に合わぬタイミングで……!」

「忍者が横文字使うなよ。瞬間、だろ?まあでも、その読みは当たってたぜ……というか、そのタイミングを作ったんだが」


 その通り、本来間に合わぬタイミングだった。最短ルート(・・・・・)を通らなければ。

 その最短ルートの代償として、右胸から左胸にかけては薄皮一枚が斬られており、肩は深い刀傷がついていた。


「か、肩に自分の刀を刺して、切り裂いたというのか!」

「くははっ、駄洒落みたいになったな」


 笑いながら、しかし自分の命の長さを考える。

 左腕の出血は止まらない。肩にも傷が増えた。そろそろ意識も朦朧としてきた。

 あー、これはもう、駄目かなー……。


「使え」


 ぽい、と包帯と薬、それに腕が投げられた。


「その薬をかけておけば多少の傷はふさがる。腕にもかけて、包帯で固定しておけ。さすれば、すぐに治るだろう。そうだな、3日といったところか」

「……いいもん持ってるな」

「これでも、この島で最強だからな」


 なんと。

 つまり、こいつと互角に戦い、一応勝利を納めた今(フィレスかシャールを起こせば勝てるだろうから勝利だ)この島で恐れるものは無いということだ。


「そう簡単にはいかんぞ。お主らは三人編成だ。つまり、三人までなら向こうもーーー拙者からするとこちら側だがーーー手を組んでくる可能性があるということだ。あるいは金で雇えばもっとだな。用心しておくことだ」

「なら」


 ならば、人を増やせばいい。


「なら、うちに入らないか?男一人で肩身の狭い思いをしていたんだ」

「……生憎だが、やめておく。こんな子どもに負けたのだ。修行だな」

「そうか……残念だ」

「それに、フィレス殿といったか。彼女と恋仲になったのだろう?他の男を近づけてもいいのか?」

「寝取ったら殺すよ」

「恐ろしい話だな……。お主があらゆるものを捨てて戦えば、さぞかし強いのだろうな」

「どういうことだ?」

「分からぬのか?お主は今回、常に眠っている女性陣との間に入って戦っていた。それに、拙者を殺さないようにしていた。……お主、何を狙っておるのだ?拙者を殺すならば、もっと早く殺せたはずだろう。ーーーさては、まだ人を殺したことが無かったり……」

「殺したよ」


 純然たる初体験の記憶。

 人の命を刈り取る、嫌な感触。


「殺した。ミールって悪徳貴族を」

「さっきも言っていたな……。ミール?誰だその男は?」

「ロードで幅を効かせていたやつだよ」

「む、お主らロードから来たのか。今まで知らなかったのも頷けるな」


 納得したようにカインが腕を組む。そんなところが気になっていたのか。


「それと、もう一つの質問にも。俺たちが狙っているのは、このリンダ。リンダを征服するのさ」

「な……!それはまだ誰もやったことのない偉業だぞ!」

「知ってるよ。だからやる」


 そう言うと、カインは諦めたようにため息をつき、首を振った。


「ならば言うことは無い。ーーーああ、そうだ。教えておいてやろう。最近、妙な奴が出たらしい。なんでも、見たこともない魔法を使うとか……。まあ、直に見たわけではないのだがな」

「そうか……。わかった。気を付けるよ」

「うむ。ではな。拙者はそこの山で修行することにする。困ったことがあれば、そこへ行ってくれ。拠点は頂上だ」

「……まあ、頂上に行くほどの用事なんか無いと思うがな」

「そういうな。何かあるかも知れんだろう」


 そう言って、カインは笑う。そういえば、彼が笑ったのは初めてかもそれない。


「では、達者で」

「ああ。じゃあな。薬、ありがとう」

「礼には及ばんよ」


 ぼふん。

 煙玉だ。煙幕をつくって帰っていった。


「……おお、すごい。肩の傷がもう塞がってる。腕も軽くは繋がってるな……」


 俺は、彼の薬の効果を実感するのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ