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彼まで×××  作者: 森草華
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女児誘拐ではありません

 お昼ごはんも食べ終わり、桜は真未の机に項垂れるように突っ伏した。因みに煉はじゃんけんに負けて飲み物の買い出しに行き、佐竹は西尾に次の教科の課題の解説をしてもらっている。いつもなら桜も佐竹と同じように必死になっているはずだが、今日はそれどころではなかった。


「…ちょっと聞いてよ、真実」

「どうしたの?」


 …そう、あれは昨日のデートでの事だったのよ。

 桜は煉とのデート中にカフェで少し席を外していたら、魅惑的なボディを持つお姉様達が煉に話しかけていたのだ。しかも、桜が席に戻ってもお姉様達は煉しか眼中にない。

 …そりゃ、確かに煉は背も高いし、顔も整ってるからそれなりに…いや、かなりモテる。でも、彼女の私が隣にいるのに話し掛けるってどういうことよっ?


「そりゃ桜が小さすぎて見えな……いってぇ!」

「いきなり出てくんな馬鹿佐竹。殴るよ」

「殴ってから言うな!」


 ちゃっかり桜の話を聞いていたらしい佐竹は正直な感想を述べると、桜の制裁が下った。佐竹は暴力反対!と言いながら、西尾に助けを求めるが当然のごとくスルーされている。

 桜は小さくため息をついた。


「私ってそんなに煉の彼女に見えないかなー?」

「まあ、はっきり言って他人からしてみれば彼女に見えないわね」


  …うっ。さすが女王様。気持ち良いほどズバッと言ってくれるね…。


「はあ…。昨日の人達も私の事を見て妹?とか言ってきてさー」

「それはまた命知らずな」


 西尾が苦笑しながら桜を見る。普段の佐竹とのやり取りや、煉関連の女子達との話し合いを思い浮かべているのだろう。

 桜は気にすることもなく、気難しい顔からすぐに口元を緩めた。


「でも煉が、俺の彼女になんか文句あんの?って、もう!すっごくかっこよかったんだからー!」

「「「結局ノロケか」」」


 煉は元々目つき悪いこともそうだが、顔が整ってる分、すごむとこの世の終わりのような怖い顔になる。本人にもその自覚がある為、面倒な誘いがかかるといつも顔を顰めている。見慣れているはずの桜でさえ一瞬だが、煉に話しかけるのを躊躇ってしまう。

 …まあ、そのおかげで大体の女の人は逃げてくんだけど。

 煉の言葉を思い出しにやにやしている桜の肩に真未はぽん、と手を置いた。


「安心しなさい。私には桜たちは兄妹には見えないから」

「真未…!」


 友人の言葉に心がじーんとして、桜は薄っすら嬉し涙を浮かべながら真未に抱き着いた。

 そこへやって来たのは桜の愛しい人。


「桜ー、牛乳買って来たぞ」

「ほら来たわよ、桜。誘拐犯が」


 …女児誘拐じゃありません!


「ん?何でこいつら笑ってんの?」

「…知らないっ!」


 何も知らない煉が不思議そうにお腹を抱えて笑う三人を見る。桜はその横で口を一文字に結び、頬をこれでもかと膨らませていた。

 それを見た三人が一層、笑いを深めたのは言うまでもない。




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