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其の四



勇者がR15の本領発揮したのでご注意下さい。




 などと魂抜けかけていたら、とんでもない事になっていました。

「と、まあそう言う訳ですので、これからさっそくちょっと一戦交えてきますね?」

「!?」


 はァ!?今何と仰いましたか!?

 神聖なる大社で、“一戦交える”ですと!?


 え!?今から!?まだ真っ昼間なんですが!?

 勇者の癖に発言が俗っぽいですよ!!戻ってきて下さい!!

 だからそもそも許可した覚えありませんよ!!

 やー!!!


 じたばたもがいても、勇者様にがっちり抱えられては逃げ出す事も出来ず。

 というか、姫神様見てないで助けて下さいーーー!!!


「うむ。…ああそうそう、こ奴は年齢が年齢じゃが、わらわに仕えているという時点で純潔は保証されておる。その辺の心配はいらんが……」

 助ける気無いんですか!?姫神様!?


 勇者様に出会った頃は、あんなに警戒心剥き出しだったのに!

 今はもう勇者様に懐き過ぎて、私の事なんてどうでも良くなっちゃったんですね!?

 被害妄想だとは自分でも分かっていますが、何で助けてくれないんだと理不尽な気持ちでいっぱいです。


 一方勇者様はしたり顔で頷き、

「十分承知してますよ、姫神。大事に大事に頂きますとも。ねえ、私の姫君?」

 耳元に息を吹き込まれて思わず硬直、鳥肌がぶわっと立ちました!

 う、ううううう、その低い声は反則ですよう。


「ひっ!?ちょ、姫神様、助け……!!!」

 私の言葉に被せる様に、勇者様の甘い(?)妄想は続きます。


「きっと貴女に似た可愛い女の子が生まれるでしょう。今から楽しみです。まあ男の子が生まれても、それはそれで姫神様のいい遊び相手になると思いますが」

「うむうむ、何とも楽しみな事よ」

 ぜんっぜん楽しみじゃありません!!

 本気で“私達”の子供を巫女、いえこの場合は“巫子”にするつもりなんでしょうか?


 勇者様は姫神様に向かって真面目な顔で……、

「姫神、しばらく向こうの部屋には近づかない様に」

 私抱えたまま何言ってるんですか!


「あい分かった。ゲームは止めて山で遊んで来る事としよう。何も心配する事は無い!しっかりやれよ!」

 あああああああ、姫神様どこでサムズアップなんて覚えて来たんですか!?

 ネットですか!?ネットですね!?


「ええ、勇者の名に懸けて、ここで逃すなんて無様な真似は致しませんとも」

 見逃して下さい!!是非に!!


 壮大な何かが始まりそうな事言ってますけど2人共、実際の内容は割に下世話な事ですからね!?分かってますか2人共!?

「何とも頼りがいのある事じゃな、どれ、わらわも山の法師共に報告してくるかの」

 よっこらせ、とでも言いたげな様子で、姫神様はようやく立ち上がりました。

 しかしその向かう先は、私達のいる方では無く、庭に続く縁側の方で。


「ちょ!?ひめかm」

「さ、私達はこちらですよ。まずは一緒にお風呂に入りましょうね」

「誰か、誰か人の話聞いてくださいいいいい!!!!!」





 結局、抵抗虚しく勇者様に美味しく頂かれる事となりました。

 百戦錬磨、とか、千人斬り、とか、決して誇張では無かった事をここに記しておきます。

 あの飴と鞭のラッシュに勝てる女性がいたら、是非お目にかかってみたいです。ええ、割と本気で。

 そしてそれから逃れる術をご教授願いたいものです。ええ、割と真剣に。





 こうして、私が姫神様、いえ、世界に名だたる邪神様の巫女になってから、1年が過ぎました。









次章で最終章となります。



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