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其の八

糖度高めターン、スタート。






「あの、どうして分かったんですか?」

 お見合いの話、ここの人(神含む)達には言っていなかったのですが。


「貴女の様子がおかしいと思っていたら例のお嬢さんが来て、そのすぐ後にあの外出の話でしょう?何かあったとすぐに思いましたよ」

 そ、そんなに分かりやすかったですか?私。


「姫神への修行の最終試験という事にしてオモイカネを巻き込み、お嬢さんを、ひいては“あの家”を抑え込んで妨害に走る事にしたんです。……貴女のお見合いなんて、この私が見逃すはず無いでしょう?それと姫神の封印についてですが、案外あっさり解けましたね。まあ、オモイカネの助力もありましたが」

 せ、先輩!?良いんですかーー!?


 あ、ああの、あのあのあの、ちかいちかいちかいですって!!

 隣の席から身を乗り出して顔を近づける勇者様。

 青い瞳は潤み、真っ直ぐに私を捕えます。

 うう、その目力は反則です、逃げられないじゃないですかー!!


 いつの間にかしっかり両手を握られ、拘束されているも同然で、おまけに顔はあと少しで触れてしまいそうなほど近く、私の顔はきっと真っ赤に染まってしまっている事でしょう。


「あのお見合いはね、例の家の差し金ですよ」

「えっ!?」

「まったく、酷い事を考える。いや、考えないから手段を選ばないのかな。……神に仕える巫女は純潔を求められるのは知っていますね?」

「あ………」

 そういえば、あの男もそんな事言っていました。


「目的は、私の処」

 っと、とんでもない事を口にする所でした!!

「まさにそれです。貴女に巫女としての資格がなくなれば、エトワール様が巫女になる。そうあの母親は、……いえ、あの家は考えたのでしょうね」

 そういえば不思議だったのです。

 あの過保護な母親が、なぜ今回は口を出さなかったのか。

 裏で確実に、私という障害を排除する為だったんですね。


「妨害自体は上手く行きかけていたんですよ。姫神様の神力のコントロールも上手く行っていましたし」

「あの不自然な現象は、やっぱり姫神様のせいだったんですね……?」

「ふふっ、余程気合が入っていたのでしょうね。その証拠に、あれだけの至近距離でも貴女には一切被害は無かったでしょう?貴女をこのまま奪われてなるものかと、それは一生懸命頑張っていた様ですよ」

「はあ……」

 そして、それを楽しそうに見守る勇者様の姿が目に浮かぶ様です。


「まあ、何があったかの想像はおおよそつきますが、姫神が暴走したんで、結果こんな事態になったんですけどね」

 そこはオトさなくて良いです、勇者様……。


「あの、あの男性は……」

「気にかかりますか?」

「はあ、あの」

 な、なんでそんなに迫力のある笑みなんでしょう?


 ずい、と寄られて思わず上半身が仰け反ります。

 すかさず勇者様の片腕が私の背中に回りました。……相変わらず早いです。

「今調べていますが、あの家の手が回っている辺り碌な人物じゃない事は想像が付きますね。そうそう、ご家族も無事ですよ。あの黒服連中はのして置きましたから」

「あっ、ありがとうございます!!」

 うわ、今の今まで頭からすっかり抜け落ちていました!!


 後で電話しておいた方がいいでしょう。無事なら、良かったです。

 ほっと胸をなでおろしました。

 でも、それならあの顔色の悪さは……


「御両親にも、あの家の手の者が接触していたんでしょうね。何か心当たりはありますか?」

「脅される様な事は何もない、と思うんですけど。まあ“あの家”ですから」

「……逆に、良縁だからと言い含められた揚句、暴力で脅されたというのもありそうですね」

「……」


 私のせいで、両親にまで酷い目に合っていたなんて……。

「大丈夫ですよ、今回の件は明らかにやりすぎです。貴女のご家族にも、もう誰も手出し出来ない様処置がとられると思いますよ。もちろん、他の神の巫女も同様にね」

 う、背中をぽんぽん叩かれました。

 顔が熱くて涙が出そうですが、それ以前にこの体勢に異議があるのですが!?


「で、先程の話に戻ると、あの男は無事ですよ」

「あ、そう、ですか」

「まあ、無傷とは行かなかった様ですがね」

 みしっ、とかいっていましたからね……。酷くない事を願うばかりです。


「詳しく聞きたいですか?」

「いえ、いいです」

 首を横に振りました。

 正直生きてさえいれば、もう二度と目の前に現れて欲しくない、関わり合いにもなりたくない、出来れば忘れてしまいたい人でしたから。


「あの男の事を気にかける様なら、ちょっと自分でもどうするか分りません」

 苦笑、といった声色でしたが、目は笑っていない気がします。

 それから改めて、勇者様は私に回した腕にゆっくり力を込めました。


「………」

「貴女が、無事で良かった。……本当に、良かった」

「勇者様…」

 私の首筋に顔を埋め、その表情は今は見えません。

 でも、その言葉にはどこか苦いものが混じっている様でした。





今回のお相手の男性は、金で主人公を籠絡しろとエト様の家に雇われた人です。元ホストとかその辺り。

雇われた後になって色々握られた為(そこまで考えての人選でした)、ここであきらめるわけにはいかないと落ちない主人公に強制手段を取ろうとしていました。


結果ドでかいバチがあたりましたが。


邪神様が降臨したホテルには、その後高天原の方から補償交渉があったらしいです。



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