序ノ二
各設定については所詮夢クオリティとなっております、ご注意ください。
グーグルさんマジ天使。(訳:ありがたや)
神様が実在するこの現代社会において、八百万という世界でも有数の神の過密地域であり、日本の幕末当時に起こったとされる“黄昏”、あるいは世界を巻き込んだ1999年の神々の大戦以後、緩やかに海外からの移住を、厳しいながらもそれなりに認めて来た経緯のある日本において、“邪神”と言う存在は、そしてその邪神に仕える巫女が金髪美少女だったりする事は、そんなに珍しくもありません。
とはいえそんな現代日本でも、本州からちょっと離れた、それほど大きくもない日本一の邪神様をお祀りするこの離島においては、それなりに大事件だったりする訳です。
本来ならば、島の10代の女子が選定対象の筈でした。
それが何処から話を聞いたものか、他県からも有力な候補が立ちまして。
私達は、その子やその子の保護者様方を丁重にお出迎えしなければならない為、いつにも増して気を張っている状態です。
申し遅れましたが、私、ここ泡島市役所神務課担当の「崎守 真帆路」と申します。
先祖代々住んでいるこの島で生まれ育ち、島外の短大を卒業してから地元に戻り、この役所勤めももう10年近くなりますか。
……そこ、年齢を数えないで下さい。誰ですか四捨五入して三十路、とか言った人。
ああそうそう。ついでの様に言って置くと、私今彼氏とかいませんから。
島外にいた頃はお付き合いもあったんですが、特に何事もなく帰って来てしまいました。
お互い焦らなかったのが敗因でしょうか。
島に戻ると言ったらそれっきりでしたね。
それはともかくとして、清めの儀式の終わった女の子達を、御山の参道から本宮前にある舞殿の前に移動させるお仕事も、もうすぐ終わりです。
気を抜いたのか、見るからにお偉いさんで気の強そうなお母様が金髪の美少女に声を掛けて励ましているのが見えました。……いつの間に。
一応神事なので私語厳禁なんですが……。
「あれが今回のVIP様よ」
と、隣にいた同じ神務課所属の職場の先輩がこっそり耳打ちして来ました。
ですから先輩、私語は駄目ですってば。
いくら10年に1度程度しか行われないからといって、緊張しすぎな私の事を慮ってくれているのだとしても。
なにしろ相手はあの、邪神様なのですから。
「はあ」
返事とも溜息ともつかないものが、私の口から零れました。
……今はとにかく無事に終わりたいです。