第一章 カタオモイ
ありきたりってくらいありきたりなお話です;
感動モノが書きたかったのですが…
お楽しみください!
私は諸星萌愛。身体が昔から弱く、性格も控えめで、人見知り。
体調不良でいつも入院してて学校に行ってなかったから、友達はあまりいない。
遊んだ記憶があるのは、幼なじみの同級生、瀧澤晴夜くんだけ。
強引で見えっ張りで短気でナルシストで俺様だけど、私はそんな彼に惹かれていた。
ヤンキーっぽい友達ばかりとつるんで、見た目も派手だし、もちろん私なんか眼中にないってわかってるんだけど。
3歳の時から、16の今まで、気持ちが変わったことはない。
高校になってからは体調は順調で、普通に登校できるようになった。
心の支えは、晴夜くんと同じクラスで、一緒に登校してることだけ。
親が身体が弱い私を気遣って無理矢理決めたのだけれど。
文句を言いながらも晴夜くんは毎日付き合ってくれる。
一度もしゃべらない時もあるけれど、私は嬉しさを感じる。
それは、普段は俺様で他人のことなんて考えない晴夜くんが、私の歩幅に合わせて歩いてくれるから…。
「晴夜くん、いつもありがとう…」
私がぽつりと言うと、
「は?」
と言ってギロリと睨む。
それでも私は彼が好き。
私は知ってる。
いや、私だけが知ってるんだ。
晴夜くんは、本当はとっても優しい人なんだってこと。
でも絶対本人に言う日は来ないだろう。
言ったって、
「は?お前頭おかしいんじゃねぇの?」
と言って睨まれるだけ。
私は晴夜くんに片想いをして一生を過ごすんだ。
晴夜くんが誰か綺麗な女の人と結婚したとしても私はただ、2人の幸せを願うだけ。
どうせ先が短いことなんて、タイムマシーンを使わなくてもわかってるんだから、こういう未来を想像するしかない。
今日も私は晴夜くんと学校に行く。
その大きな背中は一生触れられない遠い存在に思える。
だけど、いつも無言で車道側を歩く晴夜くんの優しさは、痛いほどに私の胸を突く。
晴夜くんは本当に優しい…。
私が傘を忘れた雨降りの帰り道、ぶつくさと文句を言いながらも傘を貸してくれて、自分は雨に濡れて歩いてたし、登校中に私が咳込んだ時も、
「俺に移すんじゃねーよ」
とか言いながら、私の背中をさすってくれた。
クラスの人は、
「諸星さんって瀧澤くんと仲良いよね」
と、軽蔑した目で見てくるが、気にしたことはない。
ただ、晴夜くんってそんなにイメージ悪いのかなって落ち込むだけ。
やっぱり、晴夜くんの良さを知ってるのは、私だけなんだって実感する。
【第一章・終】




