第一話
「近頃、ここらで通り魔が往来している。」
これが、専ら今協会 で注目されている話題である。
新緑の茂る頃。動植物が活発になるように、殺人鬼も活発になていた。
・・・・・・・・・・
「…暑い」
今は7月中旬。今年は例年になく暑い。そして今日は雨が降り、今は雨上がりで特に全体的に蒸している。
さっきまでは割と温度は低かったのに、雨上がりで湿気ているうえに太陽が顔をだしてやがる。
「よう」
公園の中にある蝉の声が響く並木道。暑さでボーっとしながら歩いていると突然見知らぬ人に声をかけられた。
「…誰ですか?俺に話しかけないでくださ」
ガスッ
「俺を無視しようとはいい度胸じゃねーか」
「……」
いたい。
無視はしてない。一応会話はした。うん。ただ知らないふりはしたけど……。
「……関わりたくなかっただけだよ。」
そう、けして知らない人ではない。
僕の通っている高校の同級生で、幼馴染の腐れ縁という関係の銅 敦だ。
ちなみに学力は並みまっただ中の僕と同じだが、運動神経はずば抜けていいという、うらやましい奴だ。いや、僕もそこそこいいからね。そして、まあ俗に言うイケメンというやつだ。……べ、別にうらやましくなんかないけど。
「ひっで、歩けば逆ナンされる色男に向かってかかわりたくないだって」
いらっ
「まあ、顔だけ(・・)はいいけどな。今の格好を見直してから来い。」
きぐるみ
ちなみに今いる場所は公園の並木道だ。
今の時間はそれほど人はいないが……きぐるみ。
子供がいたらさぞかし喜ぶんじゃないだろうか。
「へぇ~、顔がいいのは認めてくれるわけだ。」
「別に」
食いつくのそこか。事実だが
「ふぅ~ん?まあ、お前もそこそこいい顔してるんだから自信持てって」
「…自信持って何をしろと?」
「そう!そこでだ、今夜合コンがあるんだが…」
「断る」
「まだ何も言ってないだろ!人の話は最後まで聞け」
「断る!」
「そこは断んなよ!」
…なんてことを言いつつ。
結局うまく言いくるめられて引きずられていくこととなった。