~時間は待ってはくれないの~
文章もまだまだで、幼稚ですが、どうぞ読んでください。
登場人物や組織は、実在しません。
プロローグ
T、R、二人は、真夜中、ある学校に忍び込み、慣れた手つきで、あるコンピューターシステムの全ての情報を、特殊な機械に入れ込み、コンピューターを閉じた。
その間に掛かった時間は、五十二秒九二。
普通の人間ではありえない早さだ。
コンピューターが侵入されたのは、九月七日の真夜中の事だった・・・。
Ⅰ アリマンテイル学校
九月八日。午前五時十九分。
ジリリリリッ
非常ベルが、けたたましい音を立てて学校中に響き渡った。
「何事!」
「みんな大広間に集まるのよ!」
学校中の生徒達は、真剣な顔付きで、真っ黒のコートを翻しながら、大広間へ向かった。
大広間に、三千人を超える生徒が集まった。
集まっている全員を見まわせる高さの場所には、この学校の校長、オリエンヌ・ジェーキンソン。
いつもは厳しく、目を吊り上げている女の校長が、少しやつれた顔をして、みんなを見下ろしていた。
その様子には、生徒全員が驚いた。
(きっと、すごく大変なことが起こったんだ・・・。)
この学校、アリマンテイル学校の生徒の一人、アンドリンナ・ラウ・ナノは、校長先生の顔を見て思った。
ここ、アメリカ合衆国のワシントン通りには、東京タワーを横倒ししたものを五つくらい並べたくらいの大きな学園がある。
その学校は、他の学園とは少し違った。
まず一つは、赤ん坊の頃から通い、そこで住み、休暇のときだけ家に帰る事。
皆、同じ黒いコートを着ている事。
世界的に関係するような仕事をし、報酬まで貰える事。
勉強は、体の作り、騙し方、武器の使い方、変装、武術、コンピューターの仕組みや、様々な機械のコントロール、色々な状況に応じて、対処出来るようにするために、色々な訓練を受けている事。
この説明で解っていただいただろう。この学校が、他の学校と少し、いや、ものすごく違うことを。
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ナノは、真剣な顔で校長を見つめた。ナノだけではない、他の生徒も、この事態の悪さにとっくに気が付いている。
校長の口が開いた。
「生徒の皆、我が校のコンピューターシステムが、何者かによって侵入されました。」
その言葉を聞いた瞬間、大広場がパニック状態になった。
絶叫をする人や気絶する人までいる。
普通の学校は、コンピューターシステムが侵入されても、ここまでの騒ぎにはならない。
でも、この学校が、他の学校と違い、秘密組織校だとしたら・・・?
そう、この学校は『スパイ』を育てるための、重要な秘密組織学校なのだ。
面食らったナノ。絶叫はしなかったものの、目まいがした。
コンピューターに侵入される――それは心臓を刺されたのと、ほとんどかわらない。いや、もっとひどいかもしれない・・・。
ナノの隣にいる親友の、ラリーク・マキと、ヘンリー・シャルルが、ナノの腕を握った。
「ナノ~!私の学校もう終わりだよ~」
情けない声で言うのは、カールがかかった金髪に、長い髪が特徴の、背が低いシャルル。ものすごく男子にモテる。
「ああ、きっと政府に情報を売って、うちらを全員まとめて逮捕させるんだよ~」
早口で言うのは、黒髪をいつもポニーテールにしている長身のマキ。
「大丈夫っしょ、十八年生(高校三年生)の頭脳派のS級の人達が何とかしてくれるよ!」
ナノは、いつもの明るい声で言った。だが、その声はかすかに震えていた。
「静かにっ大丈夫、手は打ってある」
校長がいつもの刺々しい口調で言った。
(そう言えばそうだよな、手を打ってないで、みんなに知らせるなんて、パニックを起こすだけだもん。)
ナノは思った。
「すでにS級のコンピューター専門の者にどうにか修正をさせている。だが、まだ犯人を掴めていない。皆、心して生活するようにっ以上っ部屋に戻れっ」
校長の声で、みんなはすごい速さで部屋に戻った。
S級とは、最級ランクのことで、A、B、C、D、E、F級とあり、F級が最低級。
ちなみにナノはF級。
「シャネル・ミフ・レオは、ここに残りなさい。」
校長が止めたのは、冷血の理屈バカの、でも、A級で超天才の、ナノが大っ嫌いな、同じ十四年生の男子だ。
そして、ナノは、生まれてからずーっと、レオと同じクラスだ。
「はい。」
レオは、真剣な顔で、でも少し嬉しそうな顔で、校長の近くで残っていた。
「あたし、あいつ、大っ嫌い!」
ナノが、レオの背中にあっかんべーをしながら言った。
でも、シャルルは首を横に傾けた。
「そう?私は結構タイプだな、かっこいいし、かっこいいし、かっこいいもん。」
「シャルル・・・かっこいいしか言ってないよ・・・。」
そう、あのレオは、なぜかモテる。
そこがまた気に食わない。
「でもいいよね、レオの奴、頭いいからきっと犯人探しの手伝いをするんだよ、十八年生(高校三年生)と混ざってさ。」
マキが、羨ましそうにレオを見る。
「でしょうね。早く部屋に戻ろ!朝食もまだだし、授業の用意をしなくちゃ!」
ナノは話題を変えて走り出した。
「待ってよ~ナノ早すぎ。」
「そうそう、ナノは運動だけはすごいんだから~」
シャルルとマキが、その後を急いで追いかける。
ナノの部屋は畳八畳分くらいの広さで、マキとシャルルと共同だ。
読んでくださってありがとうございました。続きも書くつもりですので、どうぞよろしくお願いします。