枕
枕
深くてやわらかな
途方もない闇
雲のようにふわりと
頭はすーっと枕の中に沈んでいく
魂は抜かれ
時間は消える
記憶や思い出が
泡のようにふわりと浮かび上がり
多くの話を紡ぎ出す
消えた時間が夢の中で
とろとろと
シチューのようにゆっくりと
煮込まれていく
どこにもいない
魂と
横になっている
体
切り離された魂と体は
空と大地のように
他人のように見つめ合う
手を差し伸べることもなく
柔らかな枕の窪みの中
ただの傍観者になった私は
ふーっと息をつく
落ちていった枕の中は
無限に深く広く
ブラックホールのように
恐ろしい力が働き
目覚めた時には
枕についた濡れた模様と
うっすらと頭の形を残した窪み
消えた時間を物語る夜々
ふっくらと膨らんだ枕に
布団をかぶせる




