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第5話:『絶望の淵、そして真の覚醒』

ゴーレムを討伐し、伝説の鍛冶師の素材を手に入れた私たちは、ギルドで大金を受け取った。

「す、すごい……!これ、全部私たちの報酬なの!?」

私は初めて見る金額に目を丸くした。神殿にいた頃には、想像もできないような大金だった。

「ああ、そうだぜ。これでお前はもう、誰も何も言えない立派な冒険者だ。」

キルシュがそう言って、私の頭を優しく撫でた。私は、彼の言葉に胸が熱くなった。

「さあ、リリアン。この報酬で、新しい武器を作るわよ。」

エリスはそう言って、私を町の鍛冶場に連れて行った。エリスは、集めた素材を惜しみなく使い、私のための特別な武器を打ち始めた。彼女の持つハンマーが、赤く熱せられた鉄を叩くたび、火花が飛び散る。その光景は、まるで魔法のようだった。

「できたわ!リリアン、これがあなたの新しい武器よ!」

数時間後、エリスは一つの杖を差し出した。それは、まるで星の光を閉じ込めたかのような、美しい杖だった。

「ありがとう、エリス!」

私は、その杖を手に取った。すると、私の体に秘められた力が、杖を通して溢れ出すのを感じた。

「この杖には、あなたの力を最大限に引き出す力が込められている。これを使えば、あなたは誰にも負けない最強の聖女になれるわ。」

エリスはそう言って、にっこりと微笑んだ。私は、その杖を大切に抱きしめた。

その夜、私たちはギルドで、新たな依頼を探していた。すると、一人のギルド職員が、深刻な顔で私たちに話しかけてきた。

「あなたたちにしか頼めない依頼がある。この町の近くにある森で、原因不明の瘴気が広がっているんだ。このままでは、森がすべて枯れてしまう。」

私たちは、その依頼を受けることにした。

翌日、私たちは瘴気が広がる森へと向かった。森の木々は、見るも無残に枯れ果て、動物たちの姿も消えていた。瘴気は、私たちが歩くたびに、私たち自身の魔力を少しずつ削り取っていく。

「すごい瘴気だ……このままでは、森が死んでしまう。」

エリスが悲痛な声を上げた。

私は、この瘴気をどうにかしなければと、強く思った。私は、新しく手に入れた杖を手に、瘴気へと向かっていく。

すると、瘴気の中から、巨大な魔物が出現した。

それは、これまでに見たこともないほど巨大で、その体からは、どす黒い瘴気が噴き出していた。

「リリアン、あれは……!?」

キルシュが叫ぶ。

「大丈夫です!私の力で、この瘴気を浄化してみせます!」

私は、杖を構え、魔物へと向かっていく。私の放つ光と、魔物の放つ瘴気がぶつかり合い、あたり一面に眩い光が広がった。

しかし、魔物の力は、私の想像を遥かに超えていた。

「ぐっ……!?」

私の放った光は、魔物に吸い込まれ、逆に魔物の力を増幅させてしまった。

「リリアン!危ない!」

キルシュが私を庇おうと、前に飛び出す。

その瞬間、魔物の放った瘴気が、キルシュの体を包み込んだ。

「う、うわあああああああ!」

キルシュの悲鳴が、あたりに響き渡る。

「キルシュ!!!」

私は、絶望に打ちひしがれ、その場に立ち尽くすことしかできなかった。瘴気に包まれたキルシュの体は、見る見るうちに紫色に変色し、苦悶の表情を浮かべていた。

「おい、リリアン!何やってるんだ!早く何とかしろ!」

魔法使いの女性が叫ぶ。彼女の声は、恐怖で震えていた。私は何もできなかった。私の『浄化』スキルは、魔物の瘴気を浄化するどころか、逆に魔物の力を増幅させてしまったのだ。私のスキルは、武器を作るためのものではない。仲間を助けるためのものだ。

その時、エリスが私の腕を掴んだ。

「リリアン、諦めないで!あなたの力は、毒を生命の力に変える力なのよ!キルシュを助けて!」

エリスの言葉に、私はハッと我に返った。そうだ。私のスキルは『変換』。負のエネルギーを、正のエネルギーに変換する力だ。私は、震える手で、新しく手に入れた杖を握りしめた。杖からは、温かい力が伝わってくる。

「私は……私は、負けない……!」

私は、キルシュに向かって杖を構えた。そして、心の中で強く願った。

『私の力よ、キルシュの毒を、生命の力に変えて!』

私の手から放たれた光は、これまでにないほど強く、そして温かい光だった。光がキルシュの体を包み込むと、彼の体に浮き上がっていた毒の紋様が、まるで嘘のように消えていく。

「な……なんだこれ……」

キルシュは、信じられないという表情で、自分の体を見つめていた。彼の顔から、苦痛の表情が消え、みるみるうちに血色が戻っていく。

「キルシュ、大丈夫!?」

私は、キルシュの体に飛びついた。彼は、私の頭を優しく撫でた。

「ああ、大丈夫だ。お前のおかげで、もう大丈夫だ。」

キルシュの言葉に、私は涙が止まらなかった。

「リリアン、すごかったわ……」

エリスが、感動した表情で私を見ていた。

「あれが、あなたの本当の力だったのね……」

私は、自分の力を制御できたことを、心から嬉しく思った。

その時、私たちは、瘴気を放っていた巨大な魔物へと向かっていく。

「リリアン、頼む!」

キルシュが叫ぶ。

私は、彼に頷き、再び杖を構えた。私の『変換』スキルは、魔物の瘴気を吸い取り、私の力へと変えていく。魔物は力を失い、その巨大な体は、みるみるうちに小さくなっていった。

「すごい……!魔物の力が、どんどん弱くなっていく……!」

エリスが驚きの声を上げる。

私は、魔物から吸収した力を、キルシュとエリスに分け与えた。二人の体から、眩い光が放たれる。

「リリアン、いくぞ!」

キルシュが叫ぶ。彼の剣は、これまでにないほど強く輝き、魔物へと向かっていく。

エリスの武器もまた、太陽のように輝き、魔物を焼き尽くしていく。

二人の攻撃によって、魔物は一撃で倒れた。

私は、その場に崩れ落ちた。魔物の瘴気を吸収しすぎたせいで、体中の魔力が底を尽きてしまったのだ。

「リリアン、大丈夫か!?」

キルシュが駆け寄ってくる。

「大丈夫……です……」

私は、かろうじてそう答えた。

「無茶しやがって……!でも、お前のおかげで、助かった……」

キルシュはそう言って、私の頭を優しく撫でた。私は、彼の優しさに、再び涙が溢れてくるのを感じた。

こうして、私たちは森を救った。そして、私は、自分の本当の力を知った。

私の力は、毒や呪いを浄化するだけではない。負のエネルギーを、仲間を、そして世界を救うための、最強の力に変える力だ。

私は、キルシュとエリスと共に、これからも冒険を続けていこうと、心に誓った。

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