漢字の間違いを指摘する乱入者
漢字の間違いを指摘する乱入者
藤沢さん、いや、首猛夫、違います。
被れる
は漢字が違う! それは帽子を被る、の被り、で、ウルシに気触れる、こう書くのが正しいようです。
気触れる
① 漆、膏薬などの成分に冒されて、一種の皮膚病になる。 皮膚がまける。
② あるものの影響や刺激を受けて、すっかりその風に染まる。
ああ、そうなのだ。尾崎諒馬は気触れているのですよ。
純文学に――
太宰治に――
梶井基次郎に――
埴谷雄高に――
中井英夫に――
いや、本格ミステリーにも――
文学気触れの作家もどき……
でも、ミステリー作家だったのは確かだ。
本格には気触れただけだが、ミステリー作家だった。
横溝正史賞佳作でデビューしたのは事実だから……
気触れた人間
ああ、この小説の表紙に「針金の蝶々」が小さく載っているでしょう? 右上に小さく……
あれは本当に蝶々でしょうか?
皆に愛される美しい蝶々でしょうか?
いや、ひょっとしたら嫌われ者の蛾かもしれない。
すると――
気蛾触れた……
気が触れた……
そう狂人ですよ
僕はオカシイのですよ
でも小説家なんです……
尾崎諒馬は小説家なんです。
ただ、そういう病院の鉄格子の内側にいるのですよ。




