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否定する首猛夫
否定する首猛夫
いや! そんなことはない。あの廃墟は実際に事件のあった別荘の廃墟だ!
大体、尾崎凌駕さん、あなたは医療センターで別荘と麓の住宅街の火事で焼け出された二人の男を救急搬送で受け入れている。あれは青森ではないでしょう? 南九州でしょう?
確かに叙述トリックとしてはあり得るのかもしれませんが、やはり流石にそれは……
読者が納得するとも思えない。
いや、それより、訊きたいことがあるんです。
これですよ。あなたが斬首の断面図から作った、創作漢字ですよ。国構え、合呂、左右にチョンチョン――
これは何なんです?
しかし変だな?
何かが可怪しい気がする……
尾崎凌駕はそう書いている。何が可怪しいのです?
これに鹿野信吾=尾崎諒馬も何も答えていない。
この創作漢字は一体何なんですか?




