AIの力を借りて読み返す尾崎凌駕
AIの力を借りて読み返す尾崎凌駕
少しAIの力は借りる――そう書いた。情けない気もするが、将棋のプロ棋士は研究にAIを導入している。していない棋士もいるが、やはり藤井聡太を始めとするトップ棋士はAIでの研究で腕を磨いている。
しかし――
このテキストを読んで密室トリックが解明できるような気はしない……
気になるのは……
とにかく、AIに(ごく一部をだが)テキストを読み込ませてみる。
藤沢さん――首猛夫とは別のAIサービスを使ってみる――
登場人物
本名佐藤稔 小説上の名前水沼 ペンネーム坂東善
本名佐藤稔 小説上の名前鹿野信吾 ペンネーム尾崎諒馬
※この二人の本名は同姓同名
本名不明 小説上の名前藤沢
この三人があるミステリーをパートごとに書いています。現実の事件とリンクしているので本名と小説上の名前があります。
長いので途中省略ありますが、添付しますのであとでこれについて会話いたしたく。よろしいでしょうか?
そう、きちんと説明した上で、
第四部の
鹿野信吾の手記 2 に代えて、ある姉妹の会話
水沼の手記 3
の二つの章を読み込ませてみた。
そうして、まずこう訊いてみる。
登場人物の関係をまず整理したい。同姓同名がいますので小説上の名前をメインにしますが、水沼と良美が結婚して良美には弟勝男がいる。その弟に婚約者良美がいて、弟勝男と良美が結婚すれば良美に義理の妹ができる。そういうことですよね?
これに対してのAIの回答
AI:
はい、整理しましょう。ご認識の通り、水沼(坂東善/佐藤稔)と良美(佐藤良美/姉良美)が結婚しており、良美(姉良美)には弟の勝男がいます。
そして、弟の勝男に婚約者の良美(妹良美)がいます。
もし勝男と良美(妹良美)が結婚した場合、良美(妹良美)は、姉である佐藤良美(姉良美)にとって「義理の妹」 になります。
ポイントを整理すると:
佐藤稔(坂東善/水沼) と 佐藤良美(姉良美) が 夫婦。
佐藤良美(姉良美) の 弟 が 勝男。
勝男 の 婚約者 が 良美(妹良美)。
勝男と良美(妹良美)が結婚すると、良美(妹良美) は 佐藤良美(姉良美) の 義理の妹 になる。
同姓同名でややこしいので、区別するために、
結婚している佐藤稔の妻の方を 「佐藤良美(姉良美)」
婚約者の良美の方を 「良美(妹良美)」
と呼ぶことにしましょう。小説上の名前は、今のところ姉良美の方しか明確には書かれていませんね(テキスト中では「良美」としか書かれていませんが、便宜上「姉良美」とします)。妹良美の小説上の名前はまだ不明です。
まとめると、あなたの理解は基本的に正しいです。 良美という名前が二人いることと、義理の妹という関係がポイントですね。
なるほど、読み込ませたのは小説の一部だけなので、
妹良美の小説上の名前はまだ不明です。
そうなるわけか……
更にこう訊いてみた。
良美という同名の(義理の)姉妹が楽し気に話している。妹の初恋の人は鹿野信吾(ペンネーム尾崎諒馬)ですが、義理の姉の良美はその尾崎諒馬と別れて水沼(ペンネーム坂東善:本名佐藤稔)と結婚した。これでいいですよね?
AI:
はい、それで概ね正しいです。少しだけ補足させてください。
正確に整理すると:
良美(妹良美) の初恋の相手は 鹿野信吾(ペンネーム:尾崎諒馬) です。
佐藤良美(姉良美) は、かつて 鹿野信吾(尾崎諒馬) と交際していましたが、別れました。
その後、佐藤良美(姉良美) は 水沼(ペンネーム:坂東善、本名:佐藤稔) と結婚しました。
ポイント:
姉妹は義理の関係 です。血の繋がった姉妹ではありません。佐藤良美(姉良美)の弟・勝男と良美(妹良美)が結婚することで義理の姉妹になります。
佐藤良美(姉良美)と鹿野信吾(尾崎諒馬)は過去に恋人関係 でした。
佐藤良美(姉良美)の現在の夫 は 水沼(坂東善/佐藤稔) です。
良美(妹良美)の初恋の相手 は 鹿野信吾(尾崎諒馬) ですが、現在の婚約者は 勝男 です。
まとめると、
良美(妹良美)の初恋の人である尾崎諒馬は、義理の姉となる佐藤良美(姉良美)の過去の恋人であり、現在の夫は水沼(坂東善/佐藤稔)である、という関係になります。複雑な関係ですね。
とまあ、こちらのAIも正しく理解しているようだ。
それでAIも――
――同姓同名でややこしい
――複雑な関係ですね
そう言っている。
つまり、ここに何らかの叙述トリックが仕掛けられてはいないだろうか?
そこでAIにこう尋ねてみる。
叙述トリックが隠されているのですが、わかりますか?
AI:
叙述トリックは、ミステリー作品において読者を巧妙に欺くための重要な仕掛けであり、その発見は作品の理解を深める上で非常に重要です。
これから、以下の点に注意して、叙述トリックを探してみたいと思います。
語り手の視点: 誰が語っているのか? 語り手の視点に偏りはないか? 語り手が読者に意図的に誤った情報を伝えている可能性はないか?
情報の提示方法: 情報はどのように提示されているか? 断定的な表現とそうでない表現の使い分けは? 情報の順序や強調されている点は?
登場人物の言動: 登場人物の言葉や行動に、表面的な意味とは異なる裏の意味が隠されていないか?
読者の先入観: 読者がミステリー作品に抱きがちな先入観を利用したトリックはないか?
細部の描写: 何気ない描写の中に、実は重要な意味を持つ情報が隠されていないか?
特に、同姓同名の登場人物が二人いる という設定は、叙述トリックを仕掛けやすいポイントです。 名前の混同、人物の誤認などを誘うトリックが考えられます。また、「佐藤稔」と「鹿野信吾」という二人の作家が登場する ことも、物語の構造を複雑にし、トリックを隠蔽する効果を持つ可能性があります。
※あれ? 二人の作家というからにはペンネームで呼んだ方が――とか思うが……。まあAIも少し混乱しているのかもしれない。そのまま指摘しないでおく。
このミステリー作品に隠された叙述トリック、見つけ出すことができるよう、全力を尽くします。
現時点で見つけた叙述トリックの可能性として、最も有力なのは、「語り手=佐藤稔(坂東善)の視点」 に潜むトリックです。
具体的には、以下の点に注目しました。
1.「俺=佐藤稔」という語り手の自己認識の曖昧さ
冒頭で、語り手は以下のように自己紹介しています。
佐藤稔――つまり俺は、近藤良美――いや、〇〇良美か、どっちでもいいだろう、どっちでも同じだ――と結婚した。それは隠すつもりはもうない。
ここで注目すべきは、「〇〇良美か、どっちでもいいだろう、どっちでも同じだ」 という部分です。 自分の妻の名前について、「どっちでもいい」「どっちでも同じ」 と述べるのは、非常に不自然です。 通常、自分の妻の名前をこのように曖昧にすることは考えられません。
これは、語り手である「俺=佐藤稔」の自己認識が揺らいでいる、あるいは意図的に読者を混乱させようとしている 可能性を示唆しているのではないでしょうか?
2.名前の混同と人物の誤認の誘導
物語の中で、「佐藤稔」 と 「鹿野信吾」 という二人の人物が登場し、どちらもペンネームを持っています。
佐藤稔 → ペンネーム: 坂東善
鹿野信吾 → ペンネーム: 尾崎諒馬
※うーん、水沼が消えてしまったし、鹿野信吾の本名も佐藤稔なんだが……
さらに、「良美」 という同姓同名の女性が二人登場します。
佐藤良美(姉良美):佐藤稔の妻
良美(妹良美):勝男の婚約者、後に義妹となる
このように、名前が非常に複雑に入り組んでいる状況は、読者に人物の誤認 を引き起こさせやすく、叙述トリックを仕掛けやすい構造と言えます。
特に、「良美」 という名前が二人いることで、
どちらの「良美」について語られているのか?
どちらの「良美」が「思案せり~」や「死者の微笑」のモデルなのか?
どちらの「良美」が尾崎諒馬の恋人だったのか?
など、読者が誤った解釈 をしてしまうように誘導することが可能です。
3.「信吾、お前も彼女――俺の奥さんと以前付き合っていたんだろう?」という問いかけ
語り手は、鹿野信吾に対して、以下のように問いかけています。
信吾、お前も彼女――俺の奥さんと以前付き合っていたんだろう? 「思案せり~」と「死者の微笑」の良美のモデルなんだろう? 実際の性格はまるで違うが……。
この問いかけは、読者に「佐藤稔の妻(姉良美)と鹿野信吾は過去に恋人関係だった」という先入観 を植え付ける効果があります。
しかし、この問いかけはあくまで語り手の推測 であり、事実であるとは断言されていません。 もしかすると、これは語り手が読者をミスリードするための意図的な情報操作 である可能性も考えられます。
4.「藤沢による挿入」の存在
物語の最後に、「藤沢による挿入」 として、佐藤稔の妻の名前が明記されています。
藤沢による挿入
ここで読者の混乱を避けるために伏せていた佐藤稔の妻の名前を書いておく。
佐藤良美
この「藤沢による挿入」は、読者に「これで妻の名前が確定した」という安心感 を与えます。 しかし、これもまた、ミスリード である可能性があります。
もしかすると、この「佐藤良美」という名前自体が偽り であり、真実は別の名前である、あるいは、「佐藤稔の妻」 という関係性自体が偽り である可能性すら考えられます。
現時点での仮説:
以上の点を総合的に考えると、考えられる叙述トリックの仮説は、
「語り手である『俺=佐藤稔』という人物の認識自体が、読者に提示されている情報とは異なる可能性がある」
ということです。
つまり、
語り手は本当に「佐藤稔」なのか?
語り手が語る「妻・佐藤良美」は、本当に「佐藤稔の妻」なのか?
語り手が語る過去の出来事は、本当に事実なのか?
これらの点について、読者は疑念を持つ必要があるのではないでしょうか?
うーん……
凄いな……
とも言えるし……
流石にちょっと違うでしょう?
とも思える。
ただ、読み込ませたテキストが一部分だったため、AIがおかしな方向に考察し過ぎている傾向があるような……
ただ、やはり同姓同名や、本名とペンネームなどに関する叙述トリックがどこかにあるような気がする。
良美が二人――
AIもその点を気にしている。
佐藤稔が二人――
いや、AIはそう認識していない? いや、してる?
あれ?
ふーむ……
やはり、自分で考えよう……
余計混乱するだけだ……




