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別荘での殺人事件

  

    別荘での殺人事件

    

 その深夜――

 別荘の二階の寝室――

 

 勝男はネグリジェから浴衣に着替える。

 ダブルベッドにネグリジェ姿の妻の良美が横たわっている。左腕に注射針を刺し、チューブで血を抜いている。いつも行っている瀉血処理……

 尾崎諒馬が呆然とそれを見ている。まるで立ったまま気絶しているかのよう……

 父から彼のその症状は聞いたことがあった。 

 多重人格(解離性同一性障害)

 今、彼は人格が交代している。主人格は気絶し夢を見ているのかもしれない。今、彼の身体を支配している副人格は大人しく従順で難しいことは何も考えてはいない――幼児のような人格かもしれない。

 尾崎諒馬はクーラーボックスの中を見てしまった。

 それでショックを受けて……

 

 勝男は良美に何か注射したのかもしれない。

「もう、おやすみ。いい夢を見るんだ」そう声を掛けたのかもしれない。

 勝男はマスクとサングラスで顔を隠す。ベッドの良美にも鬼の面を付ける。

 良美は眠たくなったのか、微かに寝息を立てた。

 しかし針とチューブはまだ腕に刺さっている。

 血は延々と抜かれ続ける……

 そうして良美は緩やかに死んでいく……

 それを勝男と尾崎諒馬がただ眺めている。

 いや、尾崎諒馬は勝男の頭にバケツを被せる。

 それが合図だったのだろうか?

 勝男は手にした肉切り包丁で……

 良美の胸を……

 そして抉る……

 瀉血で血が抜かれているので返り血は浴びない。

 

 肉切り包丁を抜き、遺体をクルリとうつ伏せにする。

 姉の首は仰向けの状態で切り落とした。

 うつ伏せとどっちが斬首しやすいか? 確認したかったのかもしれない。

 実際、介錯は後ろから行う……

 

 妻、良美の首を……

 やはり、血を抜かれているので出血は少なく、返り血は浴びなかった。

 

「良美、大丈夫だ」尾崎諒馬が勝男に声を掛けたかもしれない。「僕が何とかする。だから言う通りに……」

 

 女装して仮面を付ければ、勝男は良美と入れ替わることが可能――。そういうトリック。それをミステリー作家の尾崎諒馬自身が証明した……

 

 確か第一部の八章にそんなことが書かれているが、尾崎諒馬は変装した勝男を良美と思い込んで……


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