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殺人事件ライラック (ブリキの花嫁と針金の蝶々)  作者: 尾崎諒馬
第五部 アンチ・ミステリーに読者への挑戦状は付くか否か?
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母屋の二階を確認

 

    母屋の二階も確認 

    

 二階の扉の前にゴミ袋が無造作に置かれていた。中を覗くと生首が二つ――勝男の生首ともう一つの生首。首猛夫にはそれが誰なのかわからなかった。

 

 寝室に入ると奥のダブルベッドに首が切断された遺体があった。ネグリジェの裾が捲られ膝までショーツが降ろされたうつ伏せの死体――

 首は切断されて、少し横を向いてそのまま置かれていた。

 女性だと思ったが、誰なのかは首猛夫はわからなかった。顔も知らず、身体の特徴も知らない。一応、股間を覗いてみたが、やはり女性だった。

 勝男の妻良美ちゃんなのだろう、とは思った。会長に電話しようかとも思ったが、会長が息子の嫁の身体の特徴を知っているはずもなかった。

 ――首はすべて持ち帰って会長に見せるんだったな。

 それで殺し屋首猛夫の仕事は終わるのだった。

 

 念のため他にも何かないか? 調べてみたが確かに机の上にクーラー・ボックスがあった。開けてみると空っぽだったが、内側が血で汚れていた。

 ――勝男はこれに姉の生首を入れて持ってきたのかもしれんな……

 首猛夫はベッドの生首を無造作に持ち上げ、廊下のゴミ袋に一緒に入れた。

 勝男以外の顔は知らないので、知らない顔の二つの生首の耳の形をぼんやりと頭に入れた。

 そうして再び――

 

 いや、ここからは尾崎諒馬が書いた方がいいんじゃないだろうか? 彼は死んだが彼の脳内を完全に学習したAIが……


 殺し屋、首猛夫は勝男を始末する命令を受け、二十数年前、あの別荘にやってきた。そして――

 勝男と女性二人(勝男の姉と妻、つまり二人の良美と思われる)の生首、計三つと、黒服に代わり後半のカメラ映像をコピーしたリムーバルディスクを持って帰った。

 

 それは間違いない。ここまで嘘はない。

 

 生首は三つ。首のない胴体は別荘に二つ、佐藤稔宅に一つ。足し算はあっている。バスルームのあれは間違いなく人体模型。生首のおもちゃはたぶん離れの玄関脇の靴箱の上に置かれたお面を着けた二体の人形の首がそれだったと思われる。

 

 確かにゴミ袋の生首は重かった。

 ただ首猛夫にとっては与えられた使命の方が重かった。

 しかし……

 尾崎諒馬にとってはどうだったのだろう?

 

 彼は()()を愛していた――心から愛していたはずだ。

 首猛夫にもそれはわかっていた。

 

 ここまで長くなったので少し疲れました。

 一旦筆を置きます。

  

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