自宅にて(藤沢) 開封
自宅にて(藤沢) 開封
Web小説「殺人事件ライラック~」の連載は停滞していた。お茶会も開かれない。
藤沢は前に尾崎凌駕からもらっていた封筒を開封した。いや、封はしてなかったが……
戸籍謄本(全部事項証明)
本籍地:xx県xx市xxx x丁目x番x号
筆頭者:尾崎 勝男
戸籍編成日:200X年5月xx日
氏名 生年月日 続柄 婚姻日 備考
尾崎 勝男 19xx年4月15日 本人 200X年5月xx日 祐天寺良美と婚姻
200X年5月xx日死亡
祐天寺 良美 19xx年8月8日 妻 200X年5月xx日 姓を「尾崎」に変更
200X年5月xx日死亡
証明事項:上記の内容が法務局の記録と相違ないことを証明します。
発行日:200X年6月xx日
発行役所:xx県xx市役所 戸籍課
署名・公印:
xxxx市長 印
封筒の中身は戸籍謄本だった。紙は少し色あせていた。
そこに証明されている事実は藤沢も知っていることだ。流石に日付までは――二人が結婚した日付までは……
あ!
――色あせた戸籍謄本……
藤沢はその戸籍謄本をじっと見つめる。
――しかし、それにしても……
この戸籍謄本を小説に取り込んだら、ここまで伏せられてきた、苗字「近藤」が本名では「尾崎」であることが読者にわかってしまう……
現実に起きた事件なので、それだけはずっと伏せられてきて、近藤グループ、近藤社長、近藤会長……で通してきたのだが……
それが、今後、尾崎に替えられるのだろうか?
それは、尾崎凌駕、または尾崎諒馬――つまり作者サイドが決めることだ。
――とにかく、私は書いて尾崎凌駕にメールする。
それだけだ。
尾崎凌駕追記
いえ、小説では近藤で通します。やはり実際にあった事件ですので。そこはよろしく……




