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殺人事件ライラック (ブリキの花嫁と針金の蝶々)  作者: 尾崎諒馬
第四部 以下、事件の真相に触れる箇所が……
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文言が違う (藤沢)


   文言が違う (藤沢)

 

 藤沢「あのう、鹿野信吾さん、いや尾崎諒馬さん。一つ、いいでしょうか? 別荘の事件とは関係ない話なんですが――」


 しかし、彼は返事をしない。藤沢は構わず続けることにする。


 藤沢「例のあれです。世界の【悪意】のすべてを一身に引き受けたような、そんな探偵小説を書くんだ。中井英夫があの人に言ったというあの重い言葉――」


 尾崎凌駕「『思案せり我が暗号』で出てきて、このWeb小説『殺人事件ライラック~』でも再三出てきている例の言葉ですね?」


 藤沢「ええ、私もちょっと調べたんですよ。中井英夫とその人で検索したら見つかりました。ただ、文言が少し違うんですよ」


 信吾(諒馬)「文言が違う? 嘘だ!」


 鹿野信吾=尾崎諒馬がすぐ反応する。AI合成音声のため感情までは完全には読み取れないかもしれないが、反応速度から「信じられない」といった感じだった。


 信吾(諒馬)「僕がその言葉を間違うわけがない!」


 藤沢「いえ、中井英夫はその人にこう言ったそうです。『世界中の悪意を一身に背負ったような探偵小説を書くんだよ』よく似てますが、ちょっと違う」


 信吾(諒馬)「嘘だ! そんなわけはない!」


 藤沢「いや、インターネットで検索すれば出てきますよ。その人がインタビューで答えている」


 かなりの時間沈黙が続いた。


 尾崎凌駕「なるほど、藤沢さんの言われる通りですね。ネットで検索するとちゃんと出てきますね。『世界中の悪意を一身に背負ったような探偵小説を書くんだよ』そうはっきりその人が答えている」


 信吾(諒馬)のウィンドウは消えてしまった。


 尾崎凌駕「藤沢さん、これでお開きです」


 尾崎凌駕のウィンドウも消える。

 藤沢もログアウトする。

 

 しばらく考えていたが、AI(ChatGPT)に訊いてみることにした。

 

 藤沢:一身に背負う と 一身に引き受ける のニュアンスの違いがわかりますか?

 AI:「一身に背負う」と「一身に引き受ける」は、日本語の表現であり、似たような意味を持ちながらも微妙なニュアンスの違いがあります。


 一身に背負う : この表現は、責任や重荷を自分一人で負うことを指します。背負うことで、責任や重要な役割を担い、その結果や影響を一人で受け入れる覚悟が含まれています。背負うことは、他人からの期待や社会的な役割を自覚して引き受ける行為を示します。


 一身に引き受ける: この表現は、責任や役割を自発的に受け入れることを指します。引き受けることで、自分自身がその役割や責任を受け入れる決断をする意味があります。一身に背負うと同様に、他人や状況からの期待や役割を受け入れるが、背負うよりもやや前向きで自発的なニュアンスがあるかもしれません。


 簡潔に言えば、一身に背負うは、外的な圧力や責任を自分が負うことを指し、一身に引き受けるは、自発的に責任や役割を受け入れることを指しますが、両者の違いは微妙で、文脈によって意味やニュアンスが異なることもあります。


 藤沢:ありがとうございました

 AI:どういたしまして。もし他に何か質問があれば、いつでもお気軽にどうぞ。お役に立てれば幸いです。

 

 何となくわかった気もする。

 あとは「世界中の悪意」と「世界の【悪意】のすべて」の違いだが……

 藤沢は一晩中考えて徹夜してしまった。

 

 朝を迎えて、例のさわやかな歌が聴こえてくる。

 

 世界中に今、朝が訪れている♪

 

 いや、無理だ。世界は広すぎる。



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