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自宅にて(藤沢) 藤沢はふと思う

 藤沢はふと思う。

 ――現実に基づいて書かれているこの小説だが、この中では私は「藤沢」なんだな……

 勿論、実名――本名は「藤沢」ではないが、この世界では「藤沢」なんだ。

 ――今、「私はふと思う」ではなく「藤沢はふと思う」と書いてしまった。既に私はこの世界に取り込まれているようだ。ただの読者だったはずだが、いつの間にか登場人物になっているような……

 与えられた役割はやはり経験を生かした探偵役か?

 いや、この文章がそのまま使われるのなら、作者の一部でもあるのだろうか?

 メタミステリとフェアミステリの融合か……

 AIも面白いことを言うな……

 いや、融合というか、重ね合わせかもしれない。

 そうだ、今の時点では結局何もわからない。いろいろな可能性が重ね合わせの状態にある。

 ――ただ、この物語が閉じるとき、それは一つの真実に収束しなければいけない。

 それは強くそう思う。そうでなければミステリーではないはずなので……

 いや、ミステリーでないとすると……

 アンチ・ミステリー?

 うーん、すると……

 いろいろ考えているうちに「水沼」という苗字についても考えてしまう。ここは南国だが、北国なら水は凍って氷となる。「水沼」は北国では「氷沼」となる。そうすると……

 虚無への供物……

 確か小説内でも鹿野信吾が言及してたな。

 そもそも「水沼」という人物は実在したのだろうか?

 藤沢はこうして考えていることをそのまま文章に綴っていた。

 それにしても……

 このWeb小説「殺人事件ライラック~」はこのあとどう展開していくのだろうか?

 今書いているこれ――藤沢が書いているこの章をそのまま作者にメールで送ってみるが、果たして取り込まれるのか?

 いけない、すっかり夜が明けてしまった。徹夜してしまった。

 テレビを点けるとさわやかな歌が流れてきた。

 

 世界中に今、朝が訪れてる♪

 

 朝、月面も笑っている、とかいう歌らしい。

 笑う月は狂気の象徴ではなかったのか? 令和の今ではそうではなくなったのだろうか?

 そういえば、青い薔薇も……

 歌と言えば、ライラックという歌もヒットしているらしい。

 

 おかしい…… いや、可怪しい……

 世界中に「今」つまり「同時に」朝が訪れることは決してない! そんなことは地学的にすぐわかるだろうに……

 あ、可笑しいから笑っているのか? いや、そんなはずはないだろう……

 

「世界の【悪意】のすべてを一身に引き受けたような、そんな探偵小説を書くんだ」

 

 すべて……

 それは無理だ……

 世界は広すぎる……

 

 

 ※藤沢さん、尾崎です。いただいた文章、非常に興味深く読ませてもらいました。ほぼ、そのまま、第三部の冒頭に使わせてもらいます。(ただ一部省略してます)

 


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